F1第4戦スペインGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンがレースの大半をリードしたものの、積極的な2ストップ戦略を遂行したメルセデスのルイス・ハミルトンがタイヤライフの差を活かしてオーバーテイク。今季3勝目を挙げた。
予選では、0.036秒差でフェルスタッペンを上回り、通算100回目のポールポジションを獲得したハミルトン。しかしバルセロナのカタルニア・サーキットはスタートからターン1までの距離が長く、スタート直後のターン1ではフェルスタッペンがイン側に飛び込んだ。
■ハミルトン、メルセデスの”ギャンブル的”戦略に感謝「素晴らしい決断だった」
ハミルトンはフェルスタッペンとターン2で接触寸前まで近づいたものの、ターン1でのブレーキングであまり抵抗せず、意外なほどあっさりとポジションを譲ったようにも見える。
フェルスタッペンの動きについて訊くと、ハミルトンは次のようにmotorsport.comに答えた。
「ターン1に入った時、僕はマックスにできるだけスペースを与えるようにしたんだ。僕の頭の中では、(レースは)スプリントではなくマラソンなので、常にロングゲームのことを考えているんだ」
「確かに、もう少しアグレッシブにいけたかもしれない。でもそうする必要があるかな?」
「必要がない時にはあまりアグレッシブにならないようにしているから、僕は今のポジションにいるんだ」
ただハミルトンは、グリッドから飛び出た直後、フェルスタッペンが自分のマシンの後ろについた数秒の間にイン側に動けば、「そこで仕事を終わらせる」ことができたかもしれないと認めた。
「チームメイトのバルテリ(ボッタス)が3番手スタートであることは分かっていたし、目標はチームとして機能することだったから、僕は左にいたんだ」
「あとから考えてみれば、マックスが一瞬、僕の後ろに入ってきた時に僕が横に動いて、そこで仕事を終わらせることができた瞬間があったかもしれない。でもそうはならなかったんだ」
レース後半、ハミルトンは2ストップ戦略に切り替えて猛然と追い上げた。タイヤのアドバンテージを活かしてフェルスタッペンを仕留めたその様は、さながら”スプリント”だった。だがこれもハミルトンの言う”マラソン”のペース配分の一部なのかもしれない。ハミルトンが培ってきた強さが垣間見えるコメントだと言えよう。
ターン1での出来事について、フェルスタッペンは次のように振り返った。
「蹴り出しは良かったし、メルセデスに比べてウイングを少し寝かせて走ったので、ルイスの横に並ぶのに少し役立った。そして、ターン1で狙っていったんだ」
ボッタスはこの2台の後ろについていたが、フェルスタッペンに抜かれて失速したハミルトンに詰まる形でターン3への加速が遅れ、アウト側からシャルル・ルクレール(フェラーリ)に追い抜かれてしまった。ルクレールはフェルスタッペンやハミルトンのペースにはついていけず、ボッタスのレースに大きな影響を及ぼすことになった。
レース後の記者会見で、ボッタスは「正直に言うと、ターン3でシャルルのことは見えていなかったんだ」と語った。
「彼がアウト側にいるのが見えた時、僕よりもずっと速くて、時既に遅しだった。見直してみる必要があるね」
ハミルトンとフェルスタッペンがターン2で接触しそうになったことで、勢いがなくなったのではないかと聞かれたボッタスは、「確かにそうだけど、ターン1~2はラインがひとつしかないから、ほとんど何もできないんだ」と答えた。
「僕は自分のポジションをキープしようと思っていて、ターン3ではルイスの後ろについていこうとイン側にいた。その時、シャルルがとても近くにいて、アウト側で良いグリップとラインを得ることができていたので、ノーチャンスだった」
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