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【ホンダ CL250速攻試乗!】スクランブラーであり、実は「出来の良いロードスポーツ」でもある

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【ホンダ CL250速攻試乗!】スクランブラーであり、実は「出来の良いロードスポーツ」でもある

ホンダ CL250のコンセプト、ターゲットとは

ホンダ CL250は『あなた自身を表現しよう』というコンセプトの下、若者を中心としたユーザーを意識した要件で開発された。それは以下の3点だ。

【画像20点】ホンダCL250の足つき性、全カラーバリエーション、装備を写真で解説

1.ストーリーへの共感→個々のライフスタイルに寄り添える(スタイリング)
2.タイムパフォーマンス重視→気軽に幅広く使える(走行性能)
3.自分らしさ→背伸びをしない。ちょうどいい(パッケージ)

開発陣は、それが「カジュアルさや気軽さ、自由な感じ」を実現していると説明したが、要するに、どこにでも、誰にでも、という『間口の広さ』を持ったモデルと言うことである。

開発ベースはレブル250だが、エンジンやフレームは専用に変更が行われている

実はCL250の開発メンバーの中には、過去にレブル250の開発に携わった者も少なくないそうで、その時代に相応しい新しいバイクのカタチを作ることに、こだわりを持っているようだ。CL250は、そのレブル250をベースに開発されている。その相違点は以下の通り。

エンジンは基本的に共通だが、出力特性をやや低中速寄りに振っている。最高出力を26→24psと少し抑えつつ最大トルクは0.1kgmアップし、ファイナル(二次減速)をやや上げている(ドリブンスプロケットを36Tから37Tに)。
車体ではメインフレームは共通だが、前後のサスペンションの動きを拡大し(フロントはストローク150mm、リヤはホイールトラベル145mm)、リヤのシートレール(サブフレーム)は「後端をループ形状として、最適な剛性と、シンプルな外観を実現するために苦心して作り込んだ」という新作だ。

タイヤサイズはフロント19インチ、リヤ17インチを独自に採用(レブル250は前後16インチ)。キャスター・トレールもやや軽快方向に変わっている。その結果、当然ながらレブル250とは全く別物のバイクに仕上がっている。
結論から言うと、『スクランブラー』というイメージでカテゴライズはされているものの、実際のところ、乗り味は良く出来た普遍的なネイキッドバイクである。

乗りやすいポジション、扱いやすいエンジン

その見た目は少し大柄(ホイールベースはレブル250より5mm短い1485mm)で存在感もあるが、またがると予想以上にフレンドリーだ。フラット形状のシートは高さ790mmだが、燃料タンクのニーグリップ部分がかなり絞り込まれていて、足着きは抜群に良いし(筆者の身長は170cm)、ライディングポジションもアップライトで自然な感じだ。
シートは硬めの味付けだが、意外なほど座り心地が良い。開発陣によれば「サスペンションストロークを確保できたから、シートを硬めにできた」というが、その感触には、長時間の走行でもお尻が痛くなりずらいのではないか、という期待もできそうだ。いずれ長距離も試してみたい。

走り出しはクラッチワークだけでスルスル出て行くほどスムーズ。そこからの加速は軽快で力強い。高回転まで引っ張らず、早め早めのシフトアップで小気味よく速度を上げていくし、交通の流れを容易にリードできる程度の頼もしさがある。
特に、2→3→4→5速の守備範囲は広く、低速の市街地走行から高速道路まで、これらのギヤでカバーできるような幅広さがあるのだ。この点で、その扱いは非常に気楽だ。しっかり加速したいときは、高回転までスムーズに吹け上がるし、120km/h制限の高速道路を走れるレベルの最高速も出る。

6速はオーバードライブ的な設定なので、実用的な加速が得られるのは5速までと言えるかもしれないが、「80km/h前後が快適で楽しいように考えた」の言葉通り、6速で流すような走りは穏やかで平和だ。
また、高回転域での振動も大きなものではなく、一般的な250cc単気筒という感覚からすると、穏やかなレベルだ(さすがに最高速付近ではミラーがブレてくるが)。排気音もしっかり弾けた感じがするが、不快なものではなく、「マフラーが高い位置にあるので音がクリアに聞こえて、走っている気分を盛り上げてくれる」という小気味良さがある。

CL250のハンドリング「素直な特性で、足まわりも安定感あり」

ハンドリングは速度が高まるにつれて弱アンダー傾向となっていくものの、基本的にはニュートラルなフィーリング。車体の動き自体は落ち着いているが、妙な重さも感じさせない。
特に低中速の扱いでは、まず気を使うことがないだろうから、そのエンジン特性と相まって操作性は非常にイージーだ。あるいはエンジン以上に扱いやすいのは、車体の方かもしれない。
また、足の動きの良さと19インチの前輪のおかげで、ギャップなど路面の凹凸に対する安定感にも優れており、車体がガタガタしないところは美点である──この性格はオフロードでも利いてくるわけで、フラットダートなど条件が良い場所なら、あまり気負うことなく入っていける。

この点で『スクランブラー』というニュアンスをちゃんと持っているわけだが、この時にも低中速のあるエンジン特性が車体と相まって扱いやすさを生んでいる。そういった意味では、まさにコンセプトにある『気軽で幅広く』『ちょうどいい』という言葉通りの性格なのだが、これは決してチョウチン記事ではない。
何しろ「自分が乗りたいと思えるバイクにしたかった」と開発陣のひとりが言うほど、思い入れを持って作られているので、シンプルな構成の中にも創意工夫やこだわりがある。

スポーツネイキッドではなく、オーソドックスなロードスポーツという存在感

だからこそ、試乗する機会があれば、それを確かめてみるだけの価値があると思うのだ(当然ながら、開発メンバーの多くがCL250を購入しているそうだ)。
また『ライフスタイルに寄り添える』という点では、車体色にもこだわっており、ホンダ車では珍しいオレンジ(キャンディーエナジーオレンジという名称がイイ)を始めとした3色(CL500を加えると5色)を用意。
「CLでは、色の表現ができるのは燃料タンクだけなので、光の当たり具合で色合いが違って見えるような、こだわりのある色とした」そうだ。加えて、アウトドア志向の『クロススタイル』と、ツーリング志向の『ツアースタイル』という2方向で、豊富な純正アクセサリーを揃えているのも500を含めたCLシリーズの特徴だ。

よく考えてみると、ホンダの250ccラインアップにはCB250Rがあるが、言わばこれはスポーツネイキッドで、もっとシンプルで普遍的なネイキッドモデルは長い間存在していなかった。「尖った性能を求めたのではなく、幅広さを求めた」CL250はまさにその穴を埋めるべく登場したと言ってもいい、多くのライダーに勧められる間口の広さを持ったモデルだろう。

■ここが気に入った!
こだわりのタンク塗色、フォークブーツやタンクパッド、シート前半分のワディング仕上げに加え、「なるべく樹脂成形部品を少なくした」という外観のクオリティは◎だ。安っぽさを感じさせない仕上がり、そして扱いやすくキビキビ走る性格によって、ベテランライダーにも勧められる。また、シートの脱着はキー式のワンタッチなのも良い。

■ここがちょっと気になる……
あえてアラを探せばサイレンサーのサイズ。これは見映えの良さや存在感、コストを意識してCL500と共用しているが、排気量が倍違うことを考えると250専用設計ではどのようなサイズになるのか、そこが気になった(そうすると、価格は上がる可能性があるが)。リヤタイヤは、使い切るという意味では、やや幅が狭くても良いような気がする。

■ホンダ CL250の足着き&ライディングポジション

シート高は790mmでレブル250より100mm高い。内股部分の角が落ちたシートと絞り込まれた燃料タンク形状により、170cm・76kgだとベタ足に近い。

ホンダ CL250主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:76.0mm×55.0mm 総排気量:249cc 最高出力:18kW<24ps>/8500rpm 最大トルク:23Nm<2.3kgm>/6250rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:2175 全幅:830 全高:1135 ホイールベース:1485 シート高:790(各mm) タイヤサイズ:F110/80R19 R150/70R17 車両重量:172kg 燃料タンク容量:12L
【車体色】
キャンディーエナジーオレンジ、パールカデットグレー、パールヒマラヤズホワイト
【価格】
62万1500円

レポート●関谷守正 写真●山内潤也/ホンダ 編集●上野茂岐

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