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【英国スポーツカーの新時代】ロータス 新代表インタビュー 「復活」をかけた劇的な変化

掲載 更新 4
【英国スポーツカーの新時代】ロータス 新代表インタビュー 「復活」をかけた劇的な変化

復活と躍進を目指して

text:Mike Duff(マイク・ダフ)

【画像】新時代を築くロータス・エヴァイヤ【エキシージ、エリーゼ、エヴォーラとじっくり比較】 全190枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ロータスは長い低迷期を経て、2028psのハイパーカー、エヴァイヤを筆頭に、すべてのラインナップを一新して復活する。AUTOCARは英国の伝統的なスポーツカーブランドの劇的な変化を指揮する人物に会った。

ロータスのトップはこれまで何度も入れ替わってきた。ダニー・バハールが同社を去ることになってからまだ9年も経っていないが、新マネージング・ディレクターのマット・ウィンドルはそれ以来5人目のトップとなった。前任者のフィル・ポップハムは、CEOに就任してから2年が経過したばかりである。

しかし、前任者の多くとは異なり、元エンジニアリング・ディレクターのウィンドルのトップ就任は整然としており、ポップハムが策定した「ビジョン80」計画へのコミットメントを維持している。この計画は、早ければ来年にも新型車を投入し、電動化への移行と販売台数の大幅増に向けて積極的に動くというものだ。

愛想がよくて親しみやすく、エネルギッシュなウィンドルは、飄々とした前任者たちとは対照的な人物であり、新たな挑戦への意欲を示すような経歴を持っている。ウィンドルは、1998年にロータスに入社し、初代ロードスターの開発に携わった後、テスラに移籍した。その後、日産、ケータハム、ボルボなどでキャリアを積み、スポーツカーのスタートアップ企業であるゼノスにも参加した。

ジーリーがロータスの買収を完了した2017年に再入社し、「ここにはちゃんとした自動車会社があり、必要なのは製品と投資だけだ」と気づいたという。そして、「それが今わたし達が行っていることだ」としている。

「ヘセル(ロータスの本拠地)はこれまでで最も現代的で、世界で最も新しい自動塗装工場を持ち、まったく新しい製品を生み出す世界クラスの製造施設となるでしょう」

人が望むものを作る

1月にウィンドルがマネージング・ディレクターに就任した時点で、エヴァイヤとエミーラ(これまでタイプ131として知られていた新モデル)の開発はすでにほぼ完了していた。エリーゼ、エキシージ、エヴォーラの後継となるエミーラの開発は、ウィンドルにとって大きな課題となっている。

「今日、『発売まであと80日だ』と言っている人に会いました。”何か月”ではなく”何日”と言っていて、それだけ間近に迫っているということです」

エミーラは、ロータスにとって最後の内燃機関車であると同時に、これまでのトリオよりも幅広い訴求力を持つことを目指している。

「これまでのロータスは、人々が欲しがると思われるものを作って、それを市場に出すことに少し罪悪感があったのかもしれません。わたし達は今、人々が本当に望むものを作ろうとしています」

エミーラは、さまざまなアクティブ・セーフティ機能によって日常的な使い勝手が向上しているが、独自のハンドリング特性を生み出す電動油圧パワーステアリングなど、長年確立された技術も継承されている。

「EPS(電動パワステ)の方が簡単ですよ」とウィンドルは言う。「ですが、そこはまだ譲れません。ただ、2027年に欧州で施行されるGSR2(車両安全規制)では先進安全装備の搭載が義務化されるので、EPSが必要になるでしょう。安全装備は本当に重要なものです」

独自のプラットフォームを開発

エミーラのプロジェクトに意外にも含まれていなかったのが、ロードスター仕様だ。ウィンドルはこの決定が難しいものであったことを認めているが、最終的には別の新モデルがギャップを埋めることになる。

ロータスはすでに、アルピーヌと共同で次世代の電動スポーツカーのプラットフォーム開発に着手している。ウィンドルは、アルピーヌA110のケータハム版を手がけていたため、「合弁企業がどのように失敗するか、よく知っています」と語っている。

しかし、その前に、中国製のロータスモデルは、新しい特注プラットフォームであるエレクトリック・パフォーマンス・アーキテクチャーをベースに作られることになるだろう。ウィンドルによると、その最初のモデルであるタイプ132はすでにかなり開発が進んでいるという。

「わたし達は、さまざまな市場とセグメントに参入する必要があります。また、販売台数を増やすことで収益を上げ、その収益を製品への投資に充てるという好循環を生み出す必要があります」

「ヘセルをスポーツカーの製造拠点および開発本部とすることを計画していますが、中国の武漢ではライフスタイルカーの製造拠点を設置する予定であり、それはジーリーの施設となります」

肝心なのは、そのプロセスをロータスが主導したことだとウィンドルは主張する。

「ジーリーのプラットフォームを利用してクルマを開発することは簡単でしたが、それでは真のロータスにはなりませんでした。わたし達は独自のプラットフォームを開発し、そのプラットフォームが拡張性と柔軟性を備えていることを証明するつもりです」

クルマを「ロータス」にする技術

ポルシェ718ケイマンやポルシェ911などのライバルをベンチマークにしているだけあって、エミーラでは新しいターボチャージャー付き2.0L 4気筒エンジン(ウィンドルは詳細について言及していない)と、エヴォーラのスーパーチャージャー付きV6エンジンのどちらかを選択することができる。

4気筒にはデュアル・クラッチ・トランスミッションのみ、V6にはMT/ATが設定される。

「可能な限り多くの基礎を確保しようとしました。2つのパワーユニットがあれば、市場のほとんどをカバーすることができます。(エミーラは)幅広い訴求力を持ちますが、それでも素晴らしいスポーツカーであり、ベース仕様からRまで様々なモデルが用意されています。人と共に歩んでいけるロータスです」

「EVのスポーツカーやライフスタイルEVを作りたいと考えているメーカーには、ぜひわたし達と話し合って、このプラットフォームをどのように共有できるかを検討してほしいと思っています」

では、EVのクロスオーバーやSUVは、真のロータスといえるのだろうか?ウィンドルは次のように語っている。

「わたし達はプレミアム・ラグジュアリーを実現することもできますが、同時に、クルマを『ロータス』にするための技術も持っています」

「確かに、標準的なロータスよりは重くなりますが、そのクラスでは最も軽いモデルになります。ドライビング特性はギャバン(開発部門を率いるギャバン・カーショウ)が設定しますが、彼がロータスの核となるDNAをどう捉えているかはご存知のとおりです。そして、見た目にも素晴らしいものになるでしょう」

事業の健全化が重要課題

エヴァイヤは、技術的には力作と言えるかもしれないが、販売面ではまだ輝いていない。しかしウィンドルは、たとえ売れなくても、この製品を作るという決断とそれに費やした資金は正当なものだと主張する。

「130台以上を作るつもりはなく、注文されない限り作ることもありません。エヴァイヤは販売台数ではなく、ブランドのために何ができるかを考えた結果、将来の方向性を示すハロー・プロダクトとなりました。わたし達は、このクルマでロータスを再び有名にしたいと思っていましたし、実際にそうすべく取り組んでいます。今年後半には性能レベルを証明することで、さらに前進できるでしょう」

ウィンドルは、ロータスがファクトリーレースに参加していないことが、ブランドの歴史的なレガシーと一致していないことを認めている。

「毎日、エントランスの外にある、7つの(F1)ワールドチャンピオンシップが記された大きな看板とマシンの写真を見ながら歩いています。それがわたしを悩ませているのです」

F1への復帰はすぐには望めないが、ウィンドルは、ロータスが来年、エミーラを使ってGT4レースに控えめな復帰を果たすだろうと言う。そうなれば、スポーツカーブランドとしてのロータスの地位がより正当化されるだろう。ウィンドルは、自分の率いる会社に対してどのように向き合っていくのだろうか?

「持続可能なビジネスに変え、収益が新製品の資金源になるようにすることで、常に借金したり、資金を調達したりしなくても済むようにしたいと考えています。わたしの仕事は、次の70年のために準備することだと思います。過去70年を振り返ると、生き延びるのがやっとという状況もありました。ビジネスの持続可能性は非常に重要です」

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みんなのコメント

4件
  • このインタビュー、かなり新情報多いですね!

    エミーラは2リットル4気筒ターボでDCTのみ。
    そしてV6はキャリーオーバーということなのでトヨタ製となりますね。
  • ポルシェ如きを今だライバルにしているようじゃ
    お里が知れるというものだ
    黙っていても売れるようじゃなきゃ
    一流とは呼び難いね
    だからロータスなんてバックヤードスペシャル
    プラスアルファでソコソコやってりゃ良かったんだ
    ヘンな背伸びはケガの元
    イギリスの他のスポーツカーメーカー達が
    生暖かく見守ってるよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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