乗る人の心に強く作用するクルマ
「EVは乗る人の心に強く作用するクルマかもしれない……」
【画像】EVに「RS」!? 標準グレード/同門の兄弟と比較「ディテール」 全93枚
アウディの新しい電気自動車、eトロンGTクワトロとRS eトロンGTに試乗しながら、わたしはそんなことを考えていた。
EVに限らず、最近の自動車は軒並み静粛性が高くなっていて、1000万円を越えるプレミアムサルーンともなれば、高速巡航中はエンジンノイズをまったく感じさせないモデルも少なくない。
それはエンジンが発するバイブレーションについても同じこと。つまり、静かで滑らかな走りは別にEVだけの特権ではない、といえるだろう。
ただし、そういったコンベンショナルなクルマからeトロンGTやRS eトロンGTに乗り換えると、やはりそこに歴然とした差があることに気づいて驚かされる。
それは「まるで無音のように感じられる静粛性」と「本当に無音な世界」との、決定的な違いといっていいような気がする。
もちろん、eトロンGTやRS eトロンGTにしても完璧な無音ではないものの、通常のエンジン車から乗り換えると、その静けさや滑らかさはまるで別世界。
どんなに静かなクルマでも、アイドリングストップが利いた瞬間に「あ、いままでエンジンが回っていたんだ」と気づかされるのと同じように、eトロンGTやRS eトロンGTにはエンジン車と別格の静粛性が存在する。
そして、「あたかもアイドリングストップが利いたのと同じ世界」がずっと続いているような心地よさを味わっていられるのだ。
いざとなれば驚くべき性能
この静けさ、無粋なバイブレーションが排除された世界に身を置いていると、なんだか自分の心が浄化されたような気持ちになる。
ちょっと大げさにいえば、精神的なステージが一段階、上がったように思えてくるのだ。
たとえば、背筋がぴっと伸びる。心が穏やかになって、マナーのいい運転を積極的にしたくなる。そしてクルマを自然とよりていねいに操作するようになる。
つまり、ゆったりと構えて品のいい紳士もしくは淑女になったような心持ちでステアリングを握っていられるのである。
だからといって運転に対する積極性であるとか、高揚感や期待感が損なわれてしまうわけではない。
その最大の理由は、eトロンGTもしくはRS eトロンGTが、いざとなれば驚くべき動力性能やコーナリング性能を発揮できることを、ドライバー自身が深く自覚しているからに他ならない。
そうしたパフォーマンスの高さが、ある種の官能性となってドライバーを穏やかに刺激し続けてくれるのだ。
だからハイウェイを坦々とクルージングしているだけでも、2台のeトロンGTは心地いい高揚感を味わせてくれる。
これもまた、アウディの新しいEVが備えた特徴の1つといっていいだろう。
「エンジンつきスポーツカー」に酷似
RS eトロンGTが秘めた動力性能の高さはまさに驚異的といっていい。
最高出力と最大トルクは598psと84.6kg-mを発生し、0-100km/h加速は実に3.3秒で駆け抜ける。
超高速走行が苦手なモデルが少なくないEVにあって、250km/hの最高速度(スピードリミッター作動)を実現しているのも異例なことだ。
ただし、これだけの高性能を、よくあるハイパフォーマンスEVのように「これ見よがし」に発揮しないところが好ましい。
ご存じのとおり、EVに搭載される電気モーターは0rpm時に最大トルクを発揮することが多い。
言い換えれば、発進した直後の加速Gが最大で、その後はこれが徐々におだやかになっていくのがEVの特徴で、前述したタイプのハイパフォーマンスEVでは、電気モーターのこの特性を最大限に生かし、動き出した直後に首が後にのけぞるような加速感を発揮するようなクルマが少なくない。
しかし、RS eトロンGTは素早くすっと発進してから、車速が高まるにつれて加速感も次第に強まっていくキャラクターに仕上げられている。
つまり、われわれが長年親しんできた「エンジンつきスポーツカー」に酷似しているのだ。
おかげで、巷に多くあるハイパフォーマンスEVとは別次元のドライバビリティを実現していて、実に扱い易い。
ドライバーが意のままにパワーをコントロールしている感覚が強いといってもいいだろう。
同じ傾向はハンドリングにもあって、なにも考えずにただステアリングを切るだけで驚異的な横Gを発生させるハイパフォーマンスEVとは趣が大きく異なり、しっかりと前荷重を作ってからターンインさせたくなる、自然な操縦性に仕上げられているのだ。
結果的にタイヤの接地感が掴みやすく、その分だけドライバーは自信を持ってコーナーを攻めることができるはずだ。
スタンダードなeトロンGTのほうがお勧め
そうした優れた特徴を備えたRS eトロンGTは、乗り心地や操作感覚という意味でも従来のアウディRSモデルと共通のテイストに仕上げられている。
いや、正確にいえばひと世代前のRSモデルといったほうがいいだろう。
つまり、いかにも踏面が硬そうなタイヤからは路面のザラツキが常に伝わってくるし、路面に大きな段差があれば、これもそれなりのショックとなって乗員に伝えられる。
ステアリングやペダル類の操作力をやや大きめに設定してあるところもRSモデルらしい。
実は、最新世代のRSモデルがこういった点が大幅に洗練されているのだけれど、RS eトロンGTはこの点だけがなぜかひと世代前の水準に近い。
端的にいえば十分に洗練されていないのだ。
RS eトロンGTが備えた乗り心地面や操作性の「骨太さ」は、スポーツモデルを積極的に選択する多くのドライバーに受け入れられるレベルのものだが、冒頭で述べたような特別な世界観をより明確に味わいたいのなら、RSでないスタンダードなeトロンGTクワトロのほうがお勧めだ。
試乗車が装着していたタイヤサイズがRS eトロンGTの21インチに対して20インチとされていたことも効いているのだろうが、乗り心地はとにかくマイルドで快適。
だからといってステアリングレスポンスや絶対的なコーナリング性能ではRS eトロンGTとまったく遜色がない。
476psの最高出力と4.1秒の0-100km/h加速タイムにしても不満を感じないどころか、多くのドライバーが「ありあまるパフォーマンス」と感じるはずだ。
上品なウッドとシックなファブリック(レザーフリーパッケージに設定された素材)に包まれたインテリアも魅力的だし、オプションでカーボンルーフがおごられたRS eトロンGTと異なり、標準のパノラマガラスサンルーフを装備するeトロンGTは視覚的な開放感が強く、後席の実質的なヘッドルームにも余裕があった。
したがって、わたしがこの2台のうちのどちらかを選ぶなら、おそらくeトロンGTをピックアップするだろう。
アウディRS eトロンGTのスペック
価格:1799万円
全長:4990mm
全幅:1965mm
全高:1395mm
最高速度:-
0-100km/h加速:3.3秒
航続距離:534km
電費:200Wh/km
CO2排出量:−
車両重量:2330kg(カーボンルーフ/スポーツシート・プロ/オールホイールステアリング装着車)
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:93.4kWh
最高出力:64ps(475kW)
最大トルク:84.6kg-m
ギアボックス:1速(前)/2速(後)
アウディeトロンGTクワトロのスペック
価格:1399万円
全長:4990mm
全幅:1965mm
全高:1415mm
最高速度:-
0-100km/h加速:4.1秒
航続距離:534km
電費:200Wh/km
CO2排出量:−
車両重量:2280kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:93.4kWh
最高出力:530ps(390kW)
最大トルク:65.3kg-m
ギアボックス:1速(前)/2速(後)
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