お手頃な価格設定のグランドランド
近年の新モデルの話題といえば、もっぱらハイブリッドやバッテリーEV(BEV)のことばかり。とはいえ、依然として内燃エンジンは自動車の主力といえ、英国の販売ランキングにもその事実が表れている。
英国オペル、ヴォグゾールが展開する中型SUVのグランドランドでも、それは同じ。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も用意されているが、まだ販売台数の80%はガソリンかディーゼルの、エンジン版が占めている。
ただし、現在英国市場に導入されているガソリンエンジンは1種類のみ。選べるのは今回試乗した1.2L 3気筒ターボだけで、130psを発揮する。最大トルクは23.3kg-m/1750rpmと、非常に低回転域から得られるのが特長だ。
トランスミッションは、マニュアルかオートマティックが選択でき、0-100km/h加速は10.4秒。ライバルモデルはホンダHR-V(ヴェゼル)などになるが、動力性能などの面では拮抗している。
インテリアのデザインは、ライバルより冒険的。それでいて、英国ではこのクラスとしてお手頃な価格設定が与えられている。ベースグレードとなるデザインで、2万6270ポンド(438万円)からとなっている。
粘り強く滑らかに回転する3気筒ターボ
今回試乗したのは、トップグレードのアルティメイトで、3万2480ポンド(542万円)から。装備は充実しており、頼れるアダプティブLEDヘッドライトに、19インチのアルミホイール、10.0インチのインフォテインメント用タッチモニターなどが備わる。
シートや内装パネルの一部には、上質なアルカンターラも用いられ、高級感を演出している。ただし、中間グレードのGSラインなら必要に思える殆どの装備が付いて、約3500ポンド(約58万円)を節約できる。冷静に考えたいところ。
トリムグレードに関わらず、1.2Lターボエンジンは選択できる。とても滑らかに回転し、3気筒らしいビートがエンジンルームからかすかに聞こえてくるが、個性的で不快さはない。普通に運転している限り、うるさいとは感じないだろう。
回転数が4500rpmを超えると、やや不機嫌そうなエンジンノイズが響いてくる。といってもホットハッチではないから、ここまで回す機会は限定的なはず。
6速マニュアルはギア比がロングで、郊外の道ではもどかしい場面もある。だが、3気筒ターボエンジンは粘り強く、しっかりスピードは保ってくれる。
燃費は良好といっていい。試乗時の平均では約14.2km/Lといったところだったから、長距離を走るドライバーの懐にも優しいとはいえる。
年間走行距離が短ければ良い選択肢
試乗で少し気になったのが乗り心地。滑らかな路面では至って快適だが、橋桁の継ぎ目やワダチを通過するような場面では、落ち着きに陰りが出ていた。
シートやタイヤ、サスペンション・スプリングの剛性感に、もっと調和があっても良いだろう。グランドランドは、基本的に全体の操縦性が悪くないだけに惜しい。
ステアリングフィールは、手のひらへ伝わる感覚が薄いものの、軽快に回頭する。手早く、交差点やカーブを処理してくれるような印象だった。
オペル・グランドランドでPHEV版を選ぼうとすると、5645ポンド(約94万円)の追加予算が必要になる。年間の走行距離がさほど長くないユーザーにとって、今回の1.2Lガソリンターボ版は悪くない選択肢になるはずだ。
ヴォグゾール(オペル)・グランドランド 1.2ターボ 130 アルティメイト(英国仕様)のスペック
英国価格:3万2480ポンド(542万円)
全長:4477mm
全幅:1856mm
全高:1609mm
最高速度:196km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:15.8-16.1km/L
CO2排出量:139-141g/km
車両重量:1431kg
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:129ps/5500rpm
最大トルク:23.3kg-m/1750rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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全幅:1856mm
全高:1609mm
デケえんだ