キムタクが出演し、ジーンズがフィーチャーされるカローラハイブリッドのCM。テーマは「普段着感覚の気負わないエコ」なのだとか。エコは気負わずとも性能は気ばってほしいハイブリッドの出来をチェックした!(本稿は「ベストカー」2013年9月26日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺陽一郎/写真:平野 学
JC08モード燃費33.0km/L 伝家の宝刀ハイブリッドを試す 今も現役のカローラハイブリッド試乗【10年前の再録記事プレイバック】
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■JC08モード燃費は33.0km/L、走りの質感は確実にアップ。ただし約40万円上昇
フィールダーのほうが40kgほど重いが、乗り心地がよくハイブリッドとのマッチングがいい印象だ
編集長から「渡辺さんはジーンズが嫌いでしょ?」と言われた。
確かに媒体に写真が掲載される時は、スラックスにジャケットだが、それは私がファッションセンスの乏しい小心者だからだ。出版社やウェブの偉い人から、「こんなダサイヤツは使うな」と言われるのが怖い。なので無難な格好をしている。我ながらとても情けない(シュン)。
本当はジーンズが大好き。撮影のない報道試乗会はジーンズで出かける。もはや肌の一部。季節を問わず自宅でもはく。
ベースの1.5Lカローラが109psなのに対し、ハイブリッドのシステム出力は100psなので、パワフルではないがガソリンモデルに比べ、加速がスムーズだ
そしてカローラハイブリッドのCMコピーは「ジーンズになったカローラ」。
肌の一部のようになじめるのか。さっそく、試乗したい。アクシオがハイブリッドの標準仕様(192万5000円)、フィールダーが上級のハイブリッドG(216万5000円)になる。
動力性能や燃費は両車とも共通。エンジンとモーター駆動を合わせたシステム最高出力は100psで、JC08モード燃費は33.0km/L。セダンとワゴンのなかでは最高峰の値だ。
ハイブリッドの機能は基本的にアクアと同じ。エンジンやモーターの出力、駆動用ニッケル水素電池の容量、最終減速比まで等しい。
アクア同様のエンジンルームはカバーくらい欲しいところ
それゆえに動力性能や加速感もアクアに近い。駆動用電池が充電された状態では、発進はモーター駆動のみ。
車両重量はアクアの1080kgに対して、アクシオは1140kg、フィールダーは1180kgと重いが、モーターの駆動力はなかなか力強い。
モーターの最高出力は45kW/61psと余裕があり、新型フィットハイブリッド(22kW/30ps)と比べても、モーター駆動時の加速力は勝る印象だ。このあたりトヨタの「ストロングハイブリッド」を感じる。
パネル類は専用加飾されインテリアの質感が向上している。写真はフィールダーのハイブリッドGのもの
EV状態から発進し時速40~50kmになるとエンジンが始動。カローラハイブリッドにはタコメーターが備わり、針が跳ね上がるので視覚的にもわかるが、アクアと違って急にノイズが高まることはない。プリウスほど静かでもないが、違和感を抱かせないところがいい。
エンジンが始動して巡航状態に入った後の動力性能も充分に確保される。アクセルペダルを少し踏み増すと、モーターの働きで即座に駆動力が向上。速度が滑らかに上がる。感覚的には1.6~1.8L並みの加速力。市街地では特に扱いやすい。
フル加速ではエンジン回転が5000回転近くまで上昇。吹け上がりは鋭くないが、実用的には充分。速度の上昇の仕方は、1.5Lのノーマルエンジンよりも滑らかに感じる。
ハイブリッドシステムインジケーターやEVドライブモードが装着される
EVドライブモード
冬場にありがたいフロントシートヒーター装着車は1万5750円アップ
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■気になる乗り心地をチェックする
ステーションワゴンタイプのハイブリッドといえば、フィットシャトルハイブリッド(JC08モード燃費26.2km/L)になるが、燃費はもちろん乗り味を含めフィールダーが優勢だ
コンパクトな低燃費車で注意したいのが乗り心地だ。足まわりに充分なコストを費やせず、転がり抵抗を抑える目的で、エコタイヤに高い空気圧を充填する。となれば乗り心地が粗くなりやすい。
試乗したアクシオハイブリッドは標準仕様だから、タイヤサイズは15インチの175/65R15。ダンロップ.エナセーブEC300を履いていた。指定空気圧は230kPa。
燃費重視とはいえ、極端に高い数値ではない。ちなみに1.3Lのノーマルエンジン車は、平成27年度燃費基準に合致させるため、14インチタイヤの指定空気圧を250kPaまで高めた。このような無理はしていない。
乗り心地はノーマルの1.5Lエンジンを積んだアクシオに近いが、ハイブリッドが若干快適な印象。それでも路面上の細かなデコボコを拾うが、セダンとしての許容範囲に収まる。
居住性はこのクラスのセダンとしては合格点。改めて乗ると居住性は悪くない
シート下にバッテリーを収納し、居住性、積載性に支障なし
フィールダーの試乗車は、15インチアルミホイールとのセットオプションを装着して、タイヤサイズは185/60R15。銘柄はブリヂストンB250だった。指定空気圧はアクシオと同じ230kPaだが、乗り心地は硬めながら重厚感が増している。フィールダーのハイブリッドを選ぶ時は、このタイヤを装着するといい。
車両価格はアクシオのハイブリッドGが207.5万円で、フィールダーのハイブリッドGは216.5万円。アクシオはノーマルエンジン搭載の1.5Gに対して42.5万円の上乗せだ。減税額を差し引くと、実質37万円の差額になる。
そして1.5GのJC08モード燃費も20.0km/Lに達するので、実用燃費がJC08の85%、ガソリン価格が1L当たり155円として、37万円の実質価格差を埋めるには約10万kmを走らねばならない。
荷室側からレバーで倒せ、こちらの容量は872Lで奥行きは最大2025mmもある
ガソリンモデルと同様トランク容量は461Lと大きいがトランクスルーはない
損得勘定だけで判断するとハイブリッドは割高だが、少しアクセルを踏み増した時の自然な速度の上昇など、走りの質が高まることも見逃せない。
遮音も入念で、セダンとワゴンにふさわしいハイブリッドに仕上げた。
メカニズムはアクアと同じでも、運転感覚や乗り心地には、例えるならばヴィッツとカローラの関係に相当する違いがある。
特にアクシオは現行型になって1.8Lエンジンを廃止した。ハイブリッドはこれに代わる上級仕様という見方もできる。
ジーンズ感覚で運転できる気安さを備えながら、ジャケットも似合いそうだ(渡辺はどうかは読者の判断におまかせします)。
陽一郎氏の評価はアクシオハイブリッド77点、フィールダーハイブリッド80点
フィールダーのほうが長距離ドライブの機会も多いだろうから評価は3点アップ
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■ハイブリッド好調です
カローラアクシオハイブリッド&カローラフィールダーハイブリッドを販売するカローラ店はお盆休みにも精力的な販売活動をしていたが、どの店舗でも予想以上に好評のようだ。
カローラ店はアクアも販売するが、「アクアに比べるとアクシオは質感が高いし、フィールダーの広さはお客さんにインパクトがあるようです」とすでに2台契約を決めたという都内のディーラーマンが話してくれた。
今後どれくらい販売台数を伸ばしてくるか楽しみだ。
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■カローラハイブリッド価格
・カローラアクシオ ハイブリッド……192万5000円
・カローラアクシオ ハイブリッドシートヒーター装着車……194万750円
・カローラアクシオ ハイブリッドG……207万5000円
・カローラアクシオ ハイブリッドGシートヒーター装着車……209万750円
・カローラフィールダー ハイブリッド……208万5000円
・カローラフィールダー ハイブリッドシートヒーター装着車……210万750円
・カローラフィールダー ハイブリッドG……216万5000円
・カローラフィールダー ハイブリッドGシートヒーター装着車……218万750円
・カローラフィールダー ハイブリッドGエアロツアラー……226万円
・カローラフィールダー ハイブリッドGエアロツアラーWXB……234万円
※アクアの価格帯は169万~194万円、プリウスの価格帯は217万~334万円
(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)
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