9月18~19日に第8戦、第9戦となるゴイアニアでのダブル・ラウンドが開催された2021年のSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”は、酷暑となった土曜、通常レイアウトのレース1で2014年シリーズチャンピオンのルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が今季3勝目をマーク。しかし、続くレース2と日曜の高速レイアウト2戦を強豪ユーロファーマRCのリカルド・マウリシオ(シボレー・クルーズ)が制し、僚友ダニエル・セラが選手権首位から陥落するなどシリーズ争いが大きく動く週末となった。
このレースウイークに入り、パラナ州クリティバで開催された前戦第7戦の結果に対し、レース1での「燃料規定違反により」まさかの失格、週末除外処分となっていた日系ドライバー、ラファエル鈴木(フルタイム・バッサーニ/トヨタ・カローラ)の裁定が覆り、晴れてキャリア2勝目が認定されることが伝えられた。
予選最速のラファエル鈴木がまさかの失格。フィッティパルディはトヨタ勢最上位の7位/SCB第7戦
そんななか始まったダブルヘッダー戦のオープニングは、気温が40℃に達しようかという酷暑の天候となり、レース1開始時点の路面温度は53℃、車内温度60℃以上という過酷なコンディションとなった。
その高温条件に車列中段以降の各車が翻弄される事態となり、スタート直後には8台以上が絡むマルチクラッシュが発生。フォーメーションからターン1へと向かう団子状態で集団接触の煽りを受けた、ルーキーのラファエル・テイシェイラ(RKLコンペティソイス/シボレー・クルーズ)は、逃げ場をなくした状態で他車の側面にTボーン状況で激突。下肢の痛みを訴えたことからすぐさまメディカルセンターに搬送され、その後は市内の病院で無事が確認されたものの、このアクシデントで4台のマシンがリタイアに。
一方、フェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)、ギリェルメ・サラス(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)、そしてラファエル鈴木らは応急リペアを施しての戦列復帰となった。
この展開で優位を築いたのが予選最速のポールシッターとしてリードを築いたバリチェロで、リスタート後も難なくルーティンの義務ピットをこなすと、30分+1ラップのレースを制圧。同じトヨタ陣営のセザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)と、ガブリエル・カサグランデ(A.マッテイス-フォーゲル/シボレー・クルーズ)を従えて、TOYOTA GAZOO Racingブラジルのワン・ツーを牽引した。
■バリチェロ「F1時代に戦ったセパン以上の暑さだった」
「アクシデント後の戦略は、とにかく持てるパフォーマンスを総動員してマージンを稼ぐことだった。幸い、ピットストップ分のアドバンテージを築くことができ、フィニッシュに向け燃料やタイヤを節約することもできたよ」と、その勝因を語ったバリチェロ。
「でも、この暑さはすべての要素の中で最大の問題だった。タイヤの摩耗ではなく、車内の熱で大変な状況だったんだ。キャリアを通じてもこんな“ホットラン”は経験したことがないし、F1時代に戦ったマレーシア・セパン以上の暑さだったよ」
「今すぐにでもプールを探して、ひと泳ぎしたいね(笑)。そして、この後のレース2を経て僕らは明日にすべてを賭ける。ここゴイアニアの(インフィールド未使用)外輪レイアウト戦はゲンが良く、2018年の“ミリオン・レース”でも優勝しているからね」
しかし続く土曜のレース2からはシボレー勢、正確にはユーロファーマRCのマウリシオによる独壇場の週末となり、リバースポール発進からまずは土曜フルコースレイアウトの1戦を制すると、シボレーのSCB参戦500戦となった記念すべき日曜のレースに向けては、バリチェロを2番手に降して正真正銘のポールポジションを獲得してみせる。
そのまま勢いを維持したマウリシオは、レース1ではアラム・コデア(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)とリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)を。続くレース2でも、チアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)と新選手権リーダーのカサグランデを従えて、ポール獲得を含む日曜“ハットトリック”を達成。ランキングでも10位から4位にジャンプアップし、タイトル戦線に加わる躍進をみせた。
これで2021年のSCB“プロ・シリーズ”も残すは3戦。続く第10戦は10月23~24日にヴェロチッタで争われ、11月のサンタクルス・ド・ソル、12月の最終戦ブラジリア、ジャカレパグアのアウトドローモ・ネルソン・ピケでチャンピオンが決するスケジュールに。都合3戦、6ヒートの勝負で合計168ポイントのタイトル争いが繰り広げられる。
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