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時代を越えて駆け抜けろ!ハーレーダビッドソン「ソフテイル・スタンダード」が解き放つ唯一無二の魅力

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時代を越えて駆け抜けろ!ハーレーダビッドソン「ソフテイル・スタンダード」が解き放つ唯一無二の魅力

1970年、日本で公開された映画「イージーライダー」のオープニングシーンに誰もが心を奪われた。砂埃が舞う荒野に主演のピーター・フォンダがハーレーに跨がって現れる。彼は何もいわず、右手首から時計を外し、一瞬文字盤を見つめてから、地面に投げ捨てる。そしてもう1人の主演、デニス・ホッパー(監督)とともに、どこまでも続く一本道へと2台のハーレーで、走り出していく。オープニングのタイトル・バックにはステッペンウルフの「BORN TO BE WILD(邦題:ワイルドで行こう)」が流れ、観客の目と心は釘付けとなったのだ。この瞬間、若者たちがハーレーというバイクの存在を強烈に意識し、そのカッコよさに打ちのめされた。以来、ハーレーは体制に対する反逆のシンボルにして、自由を求める若者たちの精神的なよりどころであったように思う。だからこそ「いつかはハーレーに乗ってみたい」という、漠然とした思いを抱き続ける人も多いのだ。

時代に合わせながらハーレーを貫く

フロントグリル、フロントスポイラーのブラックが印象的なメルセデス・ベンツのミドルサイズSUVの特別仕様車「GLC 220 d4MATIC Night Edition」

日常との決別と自由への旅立ちを象徴する映画に登場するハーレーはロングフォークのチョッパー・スタイルだった。これ以降、アメリカン・カスタムバイクの代表例となり、国産バイクや、さらには自転車でも真似する人たちが現れたのだ。せせこましい日本の道路事情の中で、ロングフォークもロングホイールベースも決して乗りやすいものではないが、それでも多くの人たちはハーレーを気取りたかったのである。取り扱いや操縦性のよさ、ワインディングでの速さを意識したヨーロッパや国産のバイクとは対照的な位置にあったことも、反骨精神をくすぐった。

それから約50年、ハーレーはいまだに憧れとして輝いている。もはや反体制のシンボルなどというと、時代錯誤も甚だしいだろうが、それでもバイクに乗るという非日常を支えてくれる重要な主役であり続けている。

そんなノスタルジックな思いを抱きながら、現代の街へと乗り出そうと「ソフテイル・スタンダード」に跨がった。メーカーの分類では「クルーザー」に属するモデルであり、ハーレーらしさのあるスタイルや良好な足つきなどで評価されている1台だ。なによりもクラシカルでシンプルなチョッパー・スタイルのシルエットは、あの映画のワンシーンに自分を投影できるはずだと、勝手に思い込んでのセレクトだ。

さすがにシート高680mmということで、両足ともに地面を捉えることができた。シート高で見れば、比較的に乗りやすいと思うBMWのR nineTが805mm、トライアンフ・ストリートツインが765mmであるから、かなり低い設定だ。多少、ボディの横幅があってもこれならば足つきに不安を感じることはない。それだけでもバイクに乗るときは安心感が大きくなる。なにより、ハーレーに跨がりながら、停車中にバイクを倒してしまう“立ちコケ”といった失態を犯す危険性がかなり減るのである。

足つきのよさにひと安心したところで排気量1,746 ccの45度V型2気筒エンジンをスタートさせる。拍子抜けするほど静かに大排気量のVツインは目覚め、独特の鼓動感を全身に伝えてくれる。ただし白状すれば、もう少しけたたましく、振動も大げさであってもいいのでは、とも思った。それこそハーレーではないかと感じたのだが、すぐにそんな考えは上書きされた。いくら自由への担い手として位置づけようとも、社会性を無視し、周囲を威圧するようなエンジン音や振動を野放しにすれば、ハーレーといえども、この時代に存在できないのかもしれない。

ハーレーに慣れる。その先にある幸福とは。

クラッチを握り、右つま先でシフトペダルを踏むと、ガチャりというメカニカル音とともに振動が伝わり、ギアが1速に入ったことを教えてくれる。アクセルをあおりながらクラッチを繋ぐ。大排気量ならではの強いトルクを感じながらハーレーとともに東京の町中へと乗り出した。すでに頭の中ではステッペンウルフの「BORN TO BE WILD」が流れている。気分はすっかりピーター・フォンダなのである。シフトアップしながら速度を上げていくが、市街地ならば3速ぐらいであっという間に制限速度である。

ここでひとつ気になることといえば、ハーレー独特のライディングポジション。着座位置に対して高くセットされたハンドルバー、そして「ミッドマウントフットコントロール」と呼ばれるステップの位置により、全体とすれば少しふんぞり返って乗るような姿勢である。欧州や日本のスポーツバイクから乗り換えると、シフトペダルが上手く踏めなかったり、ブレーキの踏力が不足したりする。少し走り込み慣れてくれば、そうした操作性の問題も解消されていく。ただハーレーにとってソフテイル・スタンダードのこのポジションはまさに標準。これよりもさらにステップが前にある「フォワードフットコントロール」という仕様のモデルに乗ると、乗り慣れるにはより時間を要することになるはずだ。

このライディングスタイルさえ身につければトップギア(6速)で時速100km/h、エンジンの回転数はメーター読みだが2千回転少々という、ゆとりあるハーレースタイルのクルージングを味わえるのだ。

ただ、郊外や高速での走りに大きな安定感を実現してくれるボディも、そのサイズを見ると取り回しにも慣れが必要なことが理解できる。全長2320mm、ホイールベース1630mm、車両重量297kgのボディは市街地での扱いに最初は、少々手こずるのだ。ちなみにBMWのR nineTは全長2105mm、ホイールベース1490mm、車両重量224kgであり、取り回しの上では楽である。

そしてもう一点、夏場の信号待ちなどで痛感することがある。ガソリンタンクの下にあるエンジンから熱気が容赦なく上がってきて、まるでストーブを抱えているような状況である。走っている限りは気にならないがひとたび止まれば灼熱であるが、これにも慣れなければいけない。この熱への対策もあるのだがタンクを両膝で挟みながらのニーグリップ・ライディングも使えない。両足を開いた状態で“お尻でコントロールする”ことも覚えなければいけない。もちろん慣れてしまえば実に軽快にヒラリヒラリとコントロールは可能なのだが……。

実のところ、数え上げたら切りがないほどの“慣れ”を手に入れなければ、その先にあるハーレーだけに許された世界を見ることはできないのだ。それはまるでイージーライダーのラストシーンの込められた教示にも似ている。自由を手にするには、それ相応の義務を果たし、犠牲を克服しなければいけない。ハーレーはそんなことを教えてくれているようなのだ。

ホイールベースや全長が長く、直進安定性はいい。

フロントに19インチ、リアに16インチのホイールを合わせ、どっしりとしたリアスタイルを実現。

ハーレーのアイデンティティともいえるベルトドライブ。

デジタル表示のメーターパネルはコンパクト。速度計、燃料計、シフトインジケーター、時刻など多くの情報を表示できる。

ブラックペイントとクローム仕上げのパーツが放つ輝きのコントラストが美しい。

シングル・ディスクとワイヤースポークホイールが組み合わされたフロント・セクション。

厚めのクッションと広めの座面のシングルシートが標準装備。

クロームのシールドとマフラーを搭載した2-into-2ショットガンエキゾースト。

丸型ヘッドライトと機能性の高いLEDデイライトを装備。

スペック

モデル名:ソフテイル・スタンダード
価格:1,754,500円(税込み)
ボディサイズ:全長×全幅×全高:2,320×未公表×未公表
シート高:680mm
車重:297kg
駆動方式:ベルト駆動
トランスミッション:6速MT
エンジン:V型2気筒OHV 1,746cc
最高出力:未公表
最大トルク:144Nm(14.7kgm)/3,250rpm
問い合わせ先:ハーレーダビッドソンジャパン:0800-080-8080

TEXT : 佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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みんなのコメント

4件
  • 「イージーライダー」「BORN TO BE WILD」、イメージできる人、少ない気がする。呼び名が「アメリカン」から「クルーザー」に変わった後のバイク世代、ハーレーに「いつかはクラウン」みたいな憧れあんのかな。
  • あまりに遅すぎて恥ずかしいの、これ。

    アドレスV125Gのほうが所有感満たされます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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