’20国産新車バイク完全アルバム
遺産/伝統を意味する”ヘリテイジ”な外観ながら、走りは現代的なネオクラシック。往年の名車リバイバルが近頃の潮流だ。そのトレンドの火付け役となった大ヒットモデルカワサキZ900RSシリーズとクラス大本命のW800シリーズを紹介する。
Early’20国産ミドルスーパースポーツ〈600cc〉新車ラインナップ
●文:沼尾宏明、宮田健一
Z900RS:名車”Z”の末裔は不滅のスタイルと最新メカが競演
ティアドロップ型の燃料タンクに丸眼ヘッドライトなど’70年代の名車「Z1」をオマージュしたスタイルを持つネイキッド「Z900RS」。生産終了したゼファー1100、ZRX1200ダエグに続く、待望のレトロ系ネイキッドとして’17年12月にデビューし、’18年にベストセラーを記録した。水冷直列4気筒+鋼管トレリスフレームの基本構成は、ベース車のZ900とほぼ共通ながら、専用の外装パーツで全く異なるスタイルを実現。装備は最新ながら、レトロさを上手く融合した。走りに関しても、ニュートラルな操縦性と迫力ある重低音サウンドにこだわり、レトロ感を追求している。’20年型では、’74年型の”イエロータイガー”Z1/Z2を彷彿とさせる濃緑×黄ラインを投入。初代Z900RSは’73年の初代Z1″火の玉カラー”(オレンジ×茶色)を踏襲したが、次のカラーとしてこれほど相応しいものはない。
―― 【’20 KAWASAKI Z900RS】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 948cc 111ps/8500rpm10.0kg-m/6500rpm ■215kg(装備) シート高800mm 17L ■タイヤF=120/70ZR17 R=180/55ZR17 ●価格:135万3000円 ●販売中
―― ’18~’19では、火の玉カラーとグラフィク入りの黒を販売。続く’20では、2代目Z1/Z2風のキャンディトーングリーン、シブい単色のメタリックディアブロブラックを用意した。黒は’70年代バイクチームのカスタムを思わせる色だ。
―― φ41mm倒立+ラジアル式モノブロックキャリパーと前脚はZ900より1ランク上。リヤもアルミアームにリンク式水平モノサスと現代的。
―― 伝統の砲弾型アナログ2眼メーターを採用しつつ、中央の液晶パネルが現代的。ギヤ段数や燃料計、航続可能距離などを示す。ETC2.0車載器が標準で、インジケーターもメーター内にビルトインする。2段階+オフのトラコンも装備。
―― 灯火類は全てLED。丸みを帯びたφ170mm大径ヘッドライトは6室構造で、ロービームでも全体が光って見える。テールの形状もZ1風。
Z900RS CAFE:走りが楽しい純正スポーティ”改”
Z900RSにビキニカウルを装着したバージョンで、’18年にデビュー。王道のSTDに対し、レトロカスタムな雰囲気が特徴だ。さらにローハンドルと分厚い専用シートを採用。上体は若干前傾し、シート高は+20mmとなる。カウルにより高速道路は疲れにくく、ライポジの変化でフロントに荷重がかけやすいため、峠道が一段と楽しめる。’20では新色が2タイプ登場した。
―― 【’20 KAWASAKI Z900RS CAFE】■水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ 948cc 111ps 10.0kg-m ■217kg(装備) シート高820mm 17L ●価格:138万6000円 ●販売中
W800:もっとも「W」らしいW
排ガス規制に対応し、STREETとCAFEの2本立てで2度めの復活を果たしたW800シリーズ。それに加えて、’19東京モーターショーでの発表後に発売された3台目のニューカマーが、無印の「W800」だ。フロント19インチのホイールを持ち、W800シリーズのなかで最もオリジナルWが持つ、ゆったりとしたハンドリングを再現。外見も最もクラシカルな雰囲気でまとめられている。ハンドルバーは専用品で、高さはCAFEとSTREETの中間に設定。リラックスしたライディングポジションを実現する。ヘッドライトがLEDとなっているほか、ETC2.0車載器やグリップヒーター、センタースタンドも標準装備とするなど実用面も充実しているのが特徴だ。
―― 【’20 KAWASAKI W800】■空冷4スト並列2気筒SOHC4 バルブ 773cc 52ps/6500rpm 6.3kg-m/4800rpm ■226kg(装備) シート高790mm 15L ■タイヤF=100/90-19 R=130/80-18 ●価格:110万円 ●販売中
―― タンクサイドの立体エンブレムもコイツだけの専用装備となる無印W800のカラーバリエーションは、メタリックダークグリーンのみが国内仕様として設定されている。ただ、US向けには赤もあり、こちらもぜひとも日本向けに欲しいところだ。
―― クラシカルな指針式の2眼メーターとフラットぎみなバーハンドルがクラシカルな雰囲気を高めるコクピット。ミラーも無印W800ではメッキが施された専用形状となっている。
W800カフェ:ビキニカウル&ローハンドル
ビキニカウルとM字形状のクラブマンスタイルハンドルバー、それにシングル風シートを装備。適度な前傾姿勢でのライディングを楽しめるカフェレーサーバージョンが「W800カフェ」だ。2本出しのキャブトンマフラーをはじめ52psを発揮する空冷バーチカルツインの動力スペックは他バージョンと共通。
―― 【’20 KAWASAKI W800 CAFE】●価格:113万3000円 ●発売中
―― 絞りの効いたM字形状のローハンドルとビキニカウルで、前傾すると往年のカフェレーサー気分を満喫できるポジションを再現した。
W800ストリート:アップハンドルのベーシック版
新生W800シリーズのスタンダードモデル「W800ストリート」。アシスト&スリッパークラッチ装備の空冷バーチカルツインを、剛性を高めてリニューアルしたダブルクレードルフレームに搭載。アップライトのハンドルバーがセットされる。ヘッドライトはLEDで、ETC2.0車載器とグリップヒーターも標準装備。前後ホイールは18インチ。ストリートのみグリップヒーターが非装備だ。
―― 【’20 KAWASAKI W800 STREET】●価格:101万2000円 ●販売中
―― STREETは、大きくアップしてワイドな広さを持つハンドルバーを採用。ライディングポジションはもっとも直立したリラックス系だ。
「見た目は往年、中身は最新」仕様が支持され、現在の二輪市場を牽引している感のある大型ヘリテイジスポーツモデル。次ページではホンダ車を紹介。ロングセラーのCB1300シリーズとCB1100シリーズが登場する。
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