2022年のSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権開幕戦が、6月4~5日の週末にスウェーデンのユンビヘッド・パークで開催され、王者ロバート・ダールグレン(PWRレーシング/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が予選“スーパーポール”形式の1発勝負と、シングルレースの決勝をポール・トゥ・ウインで制し、タイトル防衛と3度目の戴冠に向け好発進を決めている。
昨季より増加の全16台が集ったSTCC開幕戦は、2021年に全18ヒート中11勝を挙げ、表彰台を逃したのはわずか3回という記録的な強さで戴冠を決めたダールグレンに対し、ライバル勢がどこまで喰い下がれるかが焦点となった。
元王者2チームがアウディRS3 LMS 2導入へ。強豪PWRらが2022年体制を発表/STCC
「今季のSTCCには多くの新しいドライバーやクルマ、チームが参戦しているし、より厳しい状況に直面するだろうね。でも僕らの準備を考えれば今季も強い競争力を発揮できると思うし、開幕戦の目標は昨年とまったく同じ。予選をポールで通過し、レースに勝つこと。他に何もないよ」と戦前から気を引き締めたチャンピオン。
それに対し、木曜のテストセッションで最速を記録したトビアス・ブリンク(ブリンク・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)は、新型アウディの後押しも得て過去3シーズン連続でタイトル争いに敗北した“リベンジ”を期した。
「僕らが望むのは『ゴールドメダル』であり、ロバートが楽に過ごせると考えているなら、改めさせる必要がある」と続けたブリンク。「もちろん、新型車両の潜在能力について学ぶべきことはまだある。競合たちは数シーズンを過ごしたクルマで戦うだけに、その点では挑戦になるだろう。でもテスト中のラップタイムから判断すると、僕らは本当に強いと感じている」
その言葉どおり、最初の公式プラクティスではダールグレンが、続く2回目のセッションではブリンクがそれぞれ最速を記録し、この開幕戦限定で採用された新フォーマットのシングルラップ予選へ。
2021年開幕戦でSTCC初登場を飾り、かつて軍事飛行学校も併設された100年近い歴史を誇る全長2.1kmのトラックは完全ドライコンディションとなり、前日公式練習の総合結果により、下位のドライバーから1周勝負のシュートアウトへ。
するとブリンクは同じ新型アウディを投入したオリバー・セーデルシュトレーム(アウディRS3 LMS 2/レストラップ・レーシング)を上回ることができず、僚友のヒューゴ・ネルマン(ブリンク・モータースポーツ/アウディRS3 LMS 2)もコンマ2秒遅れでエースの背後に留まる。
そして最後のアタックに登場したダールグレンがブリンクを0.224秒、2番手セーデルシュトレームを0.184秒上回るレコードタイムを記録し、18周のフィーチャーレースに向け最前列を獲得する結果に。
■「1周目から、ひとときも気を抜くことなくプッシュした」とダールグレン
ポールシッターから0.5秒差の3列目5番手には新結成エクシオン・レーシングのアイザック・アーロンソン(アウディRS3 LMS 2)が飛び込み、その隣の6番手にもミカエラ-アーリン・コチュリンスキーの後任としてダールグレンと組む21歳の新鋭アクセル・ベングトソン(PWRレーシング/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が続くなど、新フォーマットが驚きを演出する効果ももたらした。
そのまま現地午後14時30分にスタートが切られたレースでは、ポールシッターのダールグレンが盤石の蹴り出しでホールショットを奪い、3番手発進のブリンクがセーデルシュトレームを仕留めて王者の背後でターン1へと入っていく。
その後方ではターン2で3台が絡むアクシデントが発生し、いきなりのセーフティカー導入となるも、5周目のリスタート以降も王者のポジションは揺るがず。ダールグレンが2秒差の単独走行に持ち込んでトップチェッカーを受け、2位にブリンク、3位セーデルシュトレームの表彰台に。
4位にブリンク・モータースポーツのネルマン、そして5位には10番手発進からオーバーテイクショーを披露したWTCR世界ツーリングカー・カップ経験者、アンドレアス・バックマン(レストラップ・レーシング/アウディRS3 LMS 2)が続くトップ5となった。
「1周目から18周目まで、ひとときも気を抜くことなくプッシュした。トビアスはレースを通じて接近していて、リラックスしてタイヤを節約する時間を与えてくれなかったからね」と語った勝者ダールグレン。
「成功した昨年の記録はもう完全に頭から離れていて、今は強力な結果を出すことに集中している。そして僕らは最大ポイントを獲得してシーズンの完璧なスタートを切った。次戦、僕のホームレースであるシェレフテオでもこれを基盤に物事を構築していくつもりだ」
一方で2位に終わったブリンクも、このスタートについて「満足していない」と、次戦以降の反撃を誓う言葉を残した。
「僕らの目標はポールと勝利だったが、結果的に2位に甘んじなくてはならなかった。その今週末で唯一、満足できる点があるとすればレースでのスタートで、その後も前途有望なペースを維持できた。しかし、僕らチームはトップになりたいと願っている。その目標を達成するため、シェレフテオを前にリロードする必要がありそうだね」
ふたりが語るとおり、STCCことTCRスカンジナビア・シリーズの第2戦は6月17~18日にシェレフテオのドライブセンター・アリーナで争われ、残りのシーズンは昨年の週末同様に3ヒートの形式を維持する予定だ。
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