お得に乗り換えるために注目すべきは「リセールバリュー」
新車を購入して車検を受けたことがない、すなわち3年以内に買い替えていくというのは、経済が成長していた昭和の時代には割合によく聞いた話で、いまでもそうした乗り換え方をしている人はいるという。何百万円の買い物をして2~3年で売ってしまうというのは、いかにも贅沢でもったいないようにも思えるが、クルマの下取り価格(リセールバリュー)が高いうちに売却して、そのお金に足して新車を買うという方法は、うまく回せばコスト負担としては思っているよりも少なかったりするから可能なワザだ。
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では、同様の方法は中古車の購入・買い替えでも使えるのだろうか。
新車を短期間で乗り換えるという手法は、手持ちのクルマを売却したときに、ある程度まとまった金額になるからこそ可能だ。つまりリセールバリューが次のクルマの購入資金に対して、十分な価値を残していなければならないといえる。新車でいえば500万円で購入して、300万円で売却、200万円を足してふたたび500万円の新車を購入するといった流れを作ることが“最低限”求められる。乗り換え時に新しいクルマの価格帯を落としてしまうと、次の乗り換える際の追い金が多額になってしまい、乗り換えサイクルが回らなくなってしまうからだ。むしろ追い金については少しずつ増やしていってクルマのランクをあげていくというのが、昭和的な乗り換えマインドにおいては主流だった。
また、同じ500万円の新車を買ったとしてもリセールバリューの落ち方が激しいクルマを買ってしまっても、このサイクルは維持できない。たとえば250万円の追い金を予算として考えていたとして2年で300万円のリセールバリューが残っていれば、550万円のクルマを買えるが、もしリセールバリューが200万円まで落ちてしまうと450万円のクルマしか手が届かないということになる。そうすると次回の下取り価格はさらに落ちてしまい乗り換えるたびに車格が落ちていくことになる。ダウンサイジングを意識しているのであれば、それは問題にならないかもしれないが、賢い買い替えとはいえないだろう。
未使用車はリセールバリューにおいて不利な傾向にある
というわけで、短期間でクルマを買い替えるポイントはリセールバリューの高いクルマを選ぶことにある。中古車で一定のリセールバリューが期待できるクルマというのは、前述した新車から2年くらいで乗り換えた人が下取りに出したクルマとニアリーイコールだ。具体的にいえば、レクサスRXやトヨタ・ランドクルーザーのようなモデルの2~3年落ちの中古車であれば、そこから2~3年乗ったとしても十分なリセールバリューを有していることが期待できる。ただし、そうしたリセールバリューが高いクルマというのは中古車においても高価格帯となる傾向にあり、初期投資としてはそれなりの予算を用意する必要がある。
逆に、かつて「新古車」と呼ばれることもあった「登録済み未使用車」でよく見かける車種は、一般論としてリセールバリューには不利な傾向にある。ほぼ新車状態で、かなり安く買えるということは、スタート時点でのバリューを下げて売っているということになるのだから当然だ。
ごく稀に20年前のクルマの低走行車が信じられないような価格をつけることもあるが、それは再現性のある方法とはいえない。また、レアなスポーツカーなどで中古車になってから市場価格を上げるケースもあるが、それを確実に狙ってクルマを買うというのも難しい。たとえば初代NSXやオートザムAZ-1などについては、「あのとき買っていれば、いまなら価格は倍になったのに」と思うこともあるが、それは結果論である。その当時に価格が跳ね上がると誰もがわかっていればオークションなどで価格は上がっていたはずで、すなわちプロの業者であっても将来にリセールバリューが上がるかどうかは確実にはわからないということを示している。つまり、アマチュアが投機目的で中古車を選ぶというのは難しい。
結論をいえば、リセールバリューを考慮した中古車選びというのは可能ではあるが、そのためには、そこそこ高価な中古車を選ぶ必要があって、ある程度の初期コストがかかることになる。安価な中古車を買ってきて、高く売り抜けるというのは狙ってできるものではない。安い中古車の場合は、最初から乗り潰すくらいのつもりで乗りつつ、なんらかの事情で市場価値が高まって得になることがあったらラッキーくらいのつもりでいるのが精神衛生上も健康的といえる。素直に欲しいと思うクルマを選んでいたほうが幸せなカーライフが送れるはずだ。
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3年落ちの中古を買って10年乗って廃車の方が安い。