日本最高峰のハコ車レースであるスーパーGTが、4月15~16日に開催される岡山県の岡山国際サーキットでの第1戦でいよいよ開幕を迎える。
ここでは、2023年シーズンの開幕の前に改めて、シリーズの基本概要や開催スケジュール、注目の参戦車両やドライバー、今期の変更点などの見どころを整理しつつ紹介する。
スーパーGT第1戦岡山の決勝前に航空自衛隊F-15戦闘機によるウエルカムフライトが決定
スーパーGTは、市販車をベースにしたレーシングカーを使って争われる選手権シリーズ。その歴史は1994年の“全日本GT選手権”に始まり、多彩なマシンやドライバー達が繰り広げる白熱したレースはたちまち反響を呼んだ。
そしてその人気は海外にまで広がり、2000年には初の海外戦として、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでの特別戦を開催した。
2002年以降はセパンでのレースを公式シリーズ戦に組み込むなどして海外展開に力を入れ、2005年にFIAの公認の国際シリーズとなったタイミングで、現在のシリーズ名称であるスーパーGTへと名前を変更。そして今もなお、日本最大の人気を誇るシリーズとしてその発展を続けている。
■レギュレーション
まずはスーパーGTのスポーティングレギュレーションを確認していこう。
スーパーGTは、マシンの速さが異なる“GT500”と“GT300”というふたつのクラスが、同一のレースに出走するかたちでそれぞれ順位を争う混走レースだ。また、1台のマシンにつき必ず2人以上のドライバーがエントリーし、1台をシェアするかたちで公式予選と決勝レースを戦う。
スーパーGTは1年間のシリーズ戦であり、GT500クラスとGT300クラスはそれぞれがドライバー部門とチーム部門のタイトルを争う。レースウィークは土曜日に公式予選を、日曜日に決勝レースを行うかたちで進行していき、その決勝レースの順位によって1位から順に20-15-11-8-6-5-4-3-2-1ポイントのシリーズポイントが与えられる。
そしてこのシーズンポイントを1シーズンのうちに1番多く稼いだドライバー、チームがチャンピオンとなり、シリーズタイトルを獲得することができる。
このシーズンポイントに関わってくるのが、サクセスウエイトハンデ制というレギュレーションだ。サクセスウエイトというのはマシンに搭載する重りのことで、各マシンはドライバーの獲得しているポイントに対してGT500クラスでは2倍、GT300クラスでは3倍の重量の重りをマシンに搭載しなければならない。(参戦7戦目はGT500クラスは1倍、GT300クラスは1.5倍。参戦8戦目には適用しない)
また、サクセスウエイトの最大搭載上限はGT500クラスが50kg、GT300クラスは100kgと決まっている。GT500クラスは安全上の措置により、51kgより多くサクセスウエイトを搭載することはせず、その代わりにエンジンへと燃料を送る経路に設置した燃料流量リストリクターを絞ることによって、各マシンの性能を調整していくという方式を採用している。
公式予選はQ1とQ2からなるノックアウト方式(タイム順による勝ち抜き方式)で争われる。Q1では、1人目のドライバーが決められた時間内(スーパーGTでは10分間)にタイムアタックを行い、タイムの速いチームから順にQ2へ勝ち残る。そしてQ2では2人目のドライバーがタイムアタックを行い、計測されたタイム順に、決勝のスタートグリッドが決まるという仕組みだ。
決勝レースの走行距離は250~300kmが基本となる。2023年シーズンは、基本距離となる300kmのレースが3回、1.5倍の距離となる450kmレースが5回の開催となる予定だ。
決勝レースのスタートは、公式予選で決めたグリッド順に各クラスのマシンが2列の隊列を組み、ローリングスタート(走行しながらのスタート)方式で行う。
そしてこの決勝レースでは、1人のドライバーがレース全体の3分の2以上の距離を走ってはならないというルールのもとに、レース中のドライバー交代が義務付けられている。そのため、マシンは決勝レース中に必ず1度はピットへと戻り、ドライバー交代を行わなければならない。
このタイミングでチームは、マシンへの燃料給油やタイヤ交換の作業を行うことが可能だ。ピットへ戻るタイミングやマシンへの給油量、タイヤ交換の作業の素早さは、順位の上下に直接関わってくる要素でもあるため、各マシンがピットインした際は、そのピット作業にもぜひ注目してみてほしい。
次に、2023年シーズンのレーススケジュールについて確認しよう。
■2023年スーパーGT レースカレンダー
RoundDateCircuitDistance1
4月15日(土)~16日(日)岡山国際サーキット300km25月3日(水)~4日(木)富士スピードウェイ450km36月3日(土)~4日(日)鈴鹿サーキット450km48月5日(土)~6日(日)富士スピードウェイ450km58月26日(土)~27日(日)鈴鹿サーキット450km69月16日(土)~17日(日)スポーツランドSUGO300km710月14日(土)~15日(日オートポリス450km811月4日(土)~11月5日(日)モビリティリゾートもてぎ300km
今季も2022年シーズン同様、国内6サーキットでの全8戦が予定されており、4月15~16日の岡山国際サーキットで開幕、11月4~5日のモビリティリゾートもてぎで最終戦を迎える。なお、2023年シーズンも昨シーズンと同様に、新型コロナウイルス感染症による影響により海外サーキットでの開催は予定されていない。
2023年シーズンは、2022年シーズンと比べて各大会の開催時期や開催地に大きな変更はないものの、一部大会の決勝レース距離が変更となる。具体的には、第3戦の鈴鹿と、第7戦のオートポリスが300kmレースから450kmレースへと変更となった。
このレース距離の変更は、グリップの長持ちするタイヤを開発させたいというGTA(GTアソシエイション)の意向のもと行われている。ライフの長いタイヤの使用を促すことで、レース全体でのタイヤの使用本数を減らし、チームの経費やタイヤの製造運搬による環境コストを削減していくことが目的だ。
スーパーGTでは、ブリヂストン、ヨコハマタイヤ、ダンロップ、ミシュランといった4つのタイヤメーカーがGT500とGT300の両クラスに参戦しており、シーズンを通してタイヤの性能向上のための開発をしていくことが許可されている。そこで、年間で行うレースの半分以上が450kmレースとなれば、より長いライフを持っていてなおタイムも出すことができるという、よりサステナブルなタイヤの重要性が上がることは必至だろう。
また、450kmレースはレギュレーションにより2回の給油義務が発生するため、チームは必然的に2回のピット作業を行わなければならない。そのためピット作業を行うタイミングに戦略の幅が生まれやすく、より工夫を凝らした作戦をぶつけ合う、複雑で高度な戦いが起こりやすくなる傾向にある。また、後述のとおり今季は持ち込みのタイヤセット数が削減されるため、長くなるレース距離を含め、これまでとは異なるアプローチが必要になるだろう。
300kmレースに比べて距離が長い分、よりタフな展開のレースになる可能性が高く、それによって各チームが順位を上げるチャンスが増えるという点も、この450kmレースの魅力のひとつだ。
2023年シーズンは2022年シーズンよりもさらに、この450kmレースで着実に結果を残していくということが重要になるだろう。
■速さの異なるふたつのクラス
スーパーGTには、”GT500”と”GT300”というふたつのクラスのマシンが参戦している。2023年シーズンは、GT500クラスへ3車種15台、GT300クラスへ12車種27台がエントリーしており、これらのマシンは異なる車種でありながらも性能調整(BoP)によって各クラス内で互いに同等の性能を発揮する状態に調整され、互いのマシン性能を限りなく同じレベルに近づけた状態でレースを行う。
またマシンの速さ以外のクラスを見分けるポイントとしては、車体に貼られたゼッケンやヘッドライトカバー、フロントウィンドウ上に貼られる識別帯の色が挙げられる。各部はそれぞれGT500クラスは白に、GT300クラスは黄色に分けられているので、観戦していて判別に困った際には注目して見てほしい。
GT500クラス
GT500クラスでは、ニッサン、トヨタ、ホンダの3メーカーがそれぞれの市販車をベースに、GT500車両規定に則って開発したマシンを参戦させている。そのベース車両となっているのは、ニッサンはフェアレディZ、トヨタはGR スープラ、ホンダはNSX タイプSだ。
ただ、このGT500クラスに参戦しているマシンは、全車種が共通パーツとしてカーボン製モノコックを使用しているので、外観こそはそれぞれの市販車の面影を残しているものの、実はマシンの中身はまるっきり別物となっており、共通パーツの採用による異なる車種同士での統一化がなされているのだ。
搭載するエンジンに関しても、2000ccの直列4気筒、燃料直噴シングルターボのNRE(ニッポン・レース・エンジン)という規格で統一されており、各車両はニッサン、トヨタ、ホンダのそれぞれが開発したエンジンを搭載して戦う。
また、モノコックやエンジンの他にもミッションやクラッチ、フューエルタンクなどが共通部品となっている。以下が、GT500クラスマシンの主要諸元となる。
■GT500クラスマシン 主要諸元 クラス共通部分のみ
エンジン形式水冷直列4気筒縦置ターボ総排気量(cc)1995最大出力(PS)550以上最大トルク (kg・m)50以上燃料供給装置形式直噴使用燃料種類CNF(カーボンニュートラルフューエル)全長×全幅(mm)4725×1950車体高(mm)1150ホイールベース(mm)2750車両重量(kg)1020 以上(ドライバー、燃料除く)駆動方式FRフレームフルカーボンモノコック鋼管ロールケージボディカーボンエポキシレジンコンポジットミッションヒューランド製6速パドルシフトクラッチZF製カーボンフューエルタンクATL製100L
■注目はMUGENとのタッグで2台体制となったARTA
次に、GT500クラスの2023年シーズンのエントリーリストを見ていこう。
■2023年スーパーGT GT500クラスエントリーリスト
NoTeamCarDriverTyre1TEAM IMPULMARELLI IMPUL Z平峰一貴/ベルトラン・バゲットBS3NDDP RACINGNiterra MOTUL Z千代勝正/高星明誠MI8ARTAARTA MUGEN NSX-GT野尻智紀/大湯都史樹BS14TGR TEAM ENEOS ROOKIEENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也/山下健太BS16ARTAARTA MUGEN NSX-GT福住仁嶺/大津弘樹BS17Astemo REAL RACINGAstemo NSX-GT塚越広大/松下信治BS19TGR TEAM WedsSport BANDOHWedsSport ADVAN GR Supra国本雄資/阪口晴南YH23NISMOMOTUL AUTECH Z松田次生/ロニー・クインタレッMI24KONDO RACINGリアライズコーポレーション ADVAN Z佐々木大樹/平手晃平YH36TGR TEAM au TOM’Sau TOM’S GR Supra坪井翔/宮田莉朋BS37TGR TEAM Deloitte TOM’SDeloitte TOM’S GR Supra笹原右京/ジュリアーノ・アレジBS38TGR TEAM ZENT CERUMOZENT CERUMO GR Supra立川祐路/石浦宏明BS39TGR TEAM SARDDENSO KOBELCO SARD GR Supra関口雄飛/中山雄一BS64Modulo Nakajima RacingModulo NSX-GT伊沢拓也/太田格之進DL100TEAM KUNIMITSUSTANLEY NSX-GT山本尚貴/牧野任祐BS
ドライバーに関しては、ニッサン勢に大きな変更はなく、トヨタ勢もTOM’Sから参戦する2台の他はドライバーコンビを維持している。それに対してホンダは、ARTAの2台とModulo Nakajima Racingのドライバーエントリーに変更があった。
注目のチームは、運営体制が大きく変わるARTAだ。昨シーズンまでTEAM MUGENとして参戦していたM-TECが、ARTAのメンテナンスを担当するかたちでタッグを組むことで2台体制となり、チームは大きく強化された。
ドライバーは、2022年にARTAに所属していた野尻智紀と福住仁嶺が分かれる形となった。8号車ARTA MUGEN NSX-GTでは野尻と、昨年TEAM Red Bull MUGENから参戦していた大湯都史樹が、16号車ARTA MUGEN NSX-GTでは福住と、昨年Modulo Nakajima Racingから参戦していた大津弘樹がそれぞれコンビを組む。
3月初旬に行われた鈴鹿サーキットでのメーカーテストでは、8号車がコースレコードを上回る1分42秒台を記録するなど、ARTAの2台は周囲も驚くほどの速さをみせており、開幕戦の舞台となる岡山国際サーキットで3月中旬に行われた公式テストでも、2台ともが上位のタイムを刻んでいた。
2023年シーズンはNSX-GTがGT500クラス最後の年となるということもあり、ARTAがシーズンを通していったいどういった走りを見せるのか、この2台からは目が離せない。
TGR TEAM Deloitte TOM’Sには、ホンダ陣営からの移籍となる笹原右京(Deloitte TOM’S GR Supra)が乗り込むこととなった。パートナーには、2022年シーズンは同じくトムスの36号車(au TOM’S GR Supra)でドライブしていたジュリアーノ・アレジが加わる。
笹原は、2022年のスーパーフォーミュラでは年間2勝を挙げているとおり、実力は申し分ない。2023年シーズンはマシンもタイヤも異なるメーカーとなるが、2022年シーズンのGT500クラスチャンピオンであるベルトラン・バゲット(MARELLI IMPUL Z)が、ホンダからニッサンへの移籍初年度に素晴らしい活躍を見せた例もあり、トヨタ陣営としては“即戦力”として大きな期待を寄せていることだろう。
GT300クラス
続いてはGT300クラスを見ていこう。GT300クラスには、GT500クラス以上に国内外から多くの車種が参戦しているが、そのマシン達はスーパーGTのテクニカルレギュレーションに定められた3つの規定に分かれて開発がなされている。
その規定は、市販車両をベースにして各チームが独自に開発することができるGTA GT300、国内外の自動車メーカーが製作したFIA-GT3と、GTアソシエイションが供給する共通モノコック、エンジンなどをベースにして各チームが開発することできるGT300MC(マザーシャシー)の3つとなる。
これらの規定によって製作された多種多様なマシン達は、車両最低重量やエンジンへの吸入空気量を制限するエアリストリクター、もしくはターボの過給圧のいずれかを調節することによって車種間の性能調整(BoP)を行うことで、限りなく近い性能領域で競い合うことが可能となっている。
■2023年GT300クラス注目の新型車両、新規参戦チーム
次に、GT300クラスのエントリーリストを見てみよう。
■2023年スーパーGT GT300クラスドライバーリスト
NoTeamCarDriverTyre2muta Racing INGINGmuta Racing GR86 GT堤優威/平良響BS4GOODSMILE RACING & TeamUKYOグッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH5TEAM MACHマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号冨林勇佑/松井孝允YH6Team LeMansDOBOT Audi R8 LMS片山義章/ロベルト・メリ・ムンタンYH7BMW Team Studie x CRSStudie BMW M4荒聖治/ブルーノ・スペングラーMI9PACIFIC RACING TEAMPACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG阪口良平/リアン・ジャトンYH10GAINERPONOS GAINER GT-R安田裕信/大草りきDL11GAINERGAINER TANAX GT-R富田竜一郎/石川京侍DL18TEAM UPGARAGEUPGARAGE NSX GT3小林崇志/小出峻YH20SHADE RACINGシェイドレーシング GR86 GT平中克幸/清水英志郎DL22R’Qs MOTOR SPORTSアールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹YH25HOPPY team TSUCHIYAHOPPY Schatz GR Supra GT菅波冬悟/野中誠太YH27Yogibo RacingYogibo NSX GT3岩澤優吾/伊東黎明YH30aprapr GR86 GT織戸学/上村優太YH31aprapr LC500h GT嵯峨宏紀/小高一斗BS48NILZZ Racing
植毛ケーズフロンティア GT-R井田太陽/田中優暉YH50ANEST IWATA Racing with ArnageANEST IWATA Racing RC F GT3イゴール・オオムラ・フラガ/古谷悠河YH52埼玉トヨペット Green Brave埼玉トヨペットGB GR Supra GT吉田広樹/川合孝汰BS56KONDO RACINGリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/名取鉄平YH60LM corsaSyntium LMcorsa GR Supra GT吉本大樹/河野駿佑DL61R&D SPORTSUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL65K2 R&D LEON RACINGLEON PYRAMID AMG蒲生尚弥/篠原拓朗BS87JLOCBamboo Airways ランボルギーニ GT3松浦孝亮/坂口夏月YH88JLOCJLOC ランボルギーニ GT3小暮卓史/元嶋佑弥YH96K-tunes RacingK-tunes RC F GT3新田守男/高木真一DL244Max RacingHACHI-ICHI GR Supra GT佐藤公哉/三宅淳詞YH360TOMEI SPORTSRUNUP RIVAUX GT-R青木孝之/田中篤YH
2023年シーズンは計27台のエントリーとなるGT300クラス。今季は新型車両が1台、新たにフルシーズン参戦するルーキーは10名、そして新たに参戦するチームは2チームとなっている。
なかでも注目なのは、新型車両を投入するaprだ。レーシングチームであるだけでなく、レーシングコンストラクターの顔も併せ持つ同チームが新たに送り出すのは、GTA GT300規定によって新たに開発したLC500h GTだ。
ベース車両はレクサスブランドのハイブリッドカー、LC500h(GWZ100)。エンジンには昨シーズンの同チームのマシンであるプリウス、GR86と同様の5.4リッターV8自然吸気『2UR-G』を搭載し、ハイブリッドシステムは2022年仕様のプリウスと同様のものとなる。
2022年シーズン終了後にはシェイクダウンも無事に終え、開幕前テストでの走行も順調に重ねている様子。aprの作り出した新型マシンが開幕戦からどこまで上位に食い込むことができるのか、期待しないではいられない。
そして、新規参戦となるチームは、2021年にGT300クラス参戦し2022年シーズンはGTワールドチャレンジ・アジアに挑戦していたYogibo Racingと、近年スポンサードを通じてスーパーGTに参画していたアネスト岩田が立ち上げたANEST IWATA Racing with Arnageだ。
2チームとも、ドライバーにはルーキーを起用しているということも、注目の要素と言えるだろう。Yogibo Racingは、2022年までFIA-F4で戦っていた岩澤優吾と伊東黎明のふたりを起用している。
一方のANEST IWATA Racing with Arnageでは、イゴール・オオムラ・フラガと古谷悠河がエントリーする。さらに、第3ドライバーには2022年のフォーミュラ・リージョナル王者である小山美姫の起用を発表しており、450kmレースのいずれかに参戦するはずだ。
そして海外からは、ふたりのドライバーが初のスーパーGT参戦を果たすこととなる。なかでも注目なのは、実力派として名高いブルーノ・スペングラー(Studie BMW M4)だ。
スペングラーは、2012年にDTMドイツ・ツーリングカー選手権でドライバーズチャンピオンを獲得し、BMWワークスドライバーとして世界中のレースを戦い抜いてきたドライバー。3月11日~12日に行われた岡山の公式テストでは、初日からパートナーの荒聖治(Studie BMW M4)と遜色ないタイムを出すなど、準備はバッチリの様子だ。
■新導入の燃料、持ち込みタイヤセット数の削減の影響
2023年シーズンよりスーパーGTは、シリーズ全体のカーボンニュートラル化を推進するために、持ち込みタイヤセット数の削減と、CNF(カーボンニュートラルフーエル)の導入を行う。なお、CNFの導入はGT500クラスが開幕戦から、GT300クラスへのは第3戦鈴鹿からとなる。
この動きは、2022年11月6日に栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された最終戦の際に、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイション(GTA)の坂東正明代表が発表した、2030年にシリーズ全体のCO2排出量50パーセント削減を目指す環境対応ロードマップ『スーパーGTグリーンプロジェクト2030』に準じたものだ。2024年以降も、持ち込みタイヤのセット数をさらに削減するなどのカーボンニュートラルへ向けた継続的な活動が予定されている。
この変更によって、2023年シーズンにおける持ち込みタイヤセット数は300kmレースの場合は5セット、450kmレースの場合は6セットとなり、2022年シーズンに比べて1セットずつ少なくなる。
スーパーGTは世界でも数少ないタイヤ開発が可能なレースシリーズであるため、持ち込めるタイヤの数が減るとなれば、それに合わせたサステナブルなタイヤの改良は2023年シーズンの重要な要素となるだろう。
また、2022年シーズンにGT500クラスでミシュランのウエットタイヤが好成績をおさめて以来、両クラスともウエットタイヤの開発もドライタイヤと同じレベルで重要になりつつある。2023年シーズンはドライとウエットの両レースにおいて、各タイヤメーカーがどのようなタイヤを開発してくるのかという点にも注目したいところだ。
また、もうひとつの変更点であるCNFの導入については、GT300クラスはCNF燃料に対するエンジンの適合に向けた対応に時間を要しているとのことで、第1戦と第2戦での導入は見送られたものの、GT500クラスでは開幕戦から使用されることになっている。
しかし、実際にGT300クラスへの導入が延期されたことにも考えられるように、CNFへのエンジンの適応は一筋縄ではいかないというのが現状のようだ。
現在のGT500クラスの規定では、年間を通して使用できるエンジンは2基までと決められている。そして、一度投入したエンジンについては、本体に関する開発ができないため、特に空力に関する開発が凍結されている2023年シーズンは、シーズン中のエンジンの開発競争にも注目していく必要がありそうだ。
2023年シーズンは450kmのレースが増えたことで新たな戦い方が要求されるなか、シリーズ全体としてはカーボンニュートラルへ向かう動きを見せるなど、新時代へ向けて進み出したスーパーGT。
両クラスの戦いは近年僅差での混戦を極めているが、その戦いはさらに激しくなっていきそうだ。まずは開幕戦でどのチームがシリーズを引っ張っていくことになるのか、ぜひ注目してほしい。
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みんなのコメント
ただマシンはつまらなくなった
ハズレ年の時はシーズン通して全然勝てないけどね。