現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 実現性アリ!? トヨタが旧車「86レビン」EV化事業に前向き姿勢! メーカー直系「BEVコンバージョン」ビジネスの可能性とは

ここから本文です

実現性アリ!? トヨタが旧車「86レビン」EV化事業に前向き姿勢! メーカー直系「BEVコンバージョン」ビジネスの可能性とは

掲載 20
実現性アリ!? トヨタが旧車「86レビン」EV化事業に前向き姿勢! メーカー直系「BEVコンバージョン」ビジネスの可能性とは

■市販車部品を活用し誕生! 実現性も高そうな「AE86 BEV コンセプト」

 トヨタが、2023年1月に開催された東京オートサロン2023に出展した「AE86」(カローラレビン)のBEV(電気自動車)バージョン「AE86 BEV コンセプト」には、同時に登場した水素燃料仕様車「AE86 H2 コンセプト」も含めて、来場者の注目を浴びたことが記憶に新しいところです。
 
 そんなAE86 BEV コンセプトが、リアルに販売される可能性が出てきました。

【画像】昭和の名車「AE86(ハチロク)」がBEVに!? トヨタ「AE86 BEV コンセプト」の写真を見る(39枚)

 東京オートサロン2023のAE86 BEV コンセプトは、豊田章男社長が近年、言い続けてきた「もっといいクルマを造ろう」という合い言葉の中で、すべてのクルマ好きの人たちに向けたメッセージのひとつで、ネオクラシックカーの代表格であるAE86型カローラレビン/スプリンタートレノに最新技術を融合する形で「見える化」(可視化)したものといえます。

 そんなAE86 BEV コンセプトが、3月18日から19日の「スーパー耐久シリーズ2023」第1戦開催地である鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)内のトヨタGAZOOレーシングブースにも出展されました。

 そこで会場のトヨタ関係者に声をかけていろいろ話を聞いてみると、AE86 BEV コンセプトについて「量産化を視野に社内で検討中」というではありませんか。

 東京オートサロン2023での初お披露目以来、メディアやSNSで「ぜひ実現して欲しい」という熱い要望があり、そうしたファンの声にトヨタとして真摯に受け止めているのです。

 とはいえ、こうしたBEVのコンバージョン(機器の転装)には様々な課題があります。

 第一は、信頼性です。

 すでに、世の中には旧車をBEVコンバージョンするビジネスは存在しますが、その多くは中小の事業者が行っているため、品質や安全性には事業者によってばらつきがあるのが実状です。

 第二は、コストです。

 旧車・クラシックカーのエンジンをモーター・バッテリーに載せ換えるBEVコンバージョンは、いわゆるレストア(車体や足回り、室内などを新車同然に復元させる)作業が伴います。

 単純にモーターに積み換えれば良いということではなく、クルマ全体を修繕する必要が出てきます。

 そうなるとクルマの個体ごとに、BEVコンバージョンのトータルコストは大きな差が生まれることが考えられます。

 AE86 BEV コンセプトのモーターは、北米市場向けフルサイズピックアップトラック「タンドラ」のハイブリッド用モーター(最大出力68.4kW・最大トルク190Nm)を使用しています。

 一般的なBEVとしてみると、決して高出力ではありませんが、AE86の車体や各部品への負荷を考慮すると、トヨタの現行モデルの中ではこのモーターがベターチョイスだということです。

 バッテリーについては「プリウスPHV」用のリチウムイオン電池で、電池容量は8.8kWhです。

 また、その他の駆動系やブレーキ系などの各種部品は、トヨタ純正部品として販売されているもので、トータルコストとしても、一般的なレストアの範囲で収まることになるでしょう。

■欧米各社の中には「BEVコンバージョン」をビジネス化している事例も

 気になるのは「お値段」ですが、実はトヨタとしてもベンチマークになる事例がいくつか存在があります。

 そのひとつが、フランスのルノーが2023年1月に発売した、旧車「ルノー4(キャトル)」用のBEVコンバージョンキットです。

 EVコンバージョン専業のR-FITと提携して行うもので、モーターの最大出力は48kW、搭載するバッテリー容量は10.7kWhで、費用は1万1900ユーロ(1ユーロ=143円換算で約170万円)となります。

 このBEVコンバージョンキットは今後「ルノー5(サンク)」など、往年の人気車向けにラインアップされる予定です。

 ルノーでは2024年に新型「サンク」の名でBEVのニューモデルを登場させる予定があるほか、ルノー日産三菱アライアンスに基づき、ルノーが主導するEV開発メーカー「アンペア」が近く稼働することになっており、旧車のEVコンバージョンも含めたルノーとしての総括的なブランド戦略が進む段階であるといえるでしょう。

 他にも、2000年代後半から2010年代にかけて、アメリカでは当時のクライスラー・ダッジがEVコンバージョンを手がた事業があります。

 こちらは、60年代から70年代の「チャレンジャー」や「チャージャー」を対象としたもので、クライスラー・ダッジとしてBEV専用車がなく、またハイブリッド車のラインアップも少なかったことから、自社としての部品共用性は期待できず、BEV専用事業者とのコラボ事業であったため、コストはかなり割高の印象がありました。

 当時、クライスラー・ダッジは、スポーティブランド「SRT」の訴求に力を入れており、BEVコンバージョンもハイパフォーマンスな内容を盛り込もうとしていました。

 こうした自動車メーカー各社のBEVコンバージョン事業を踏まえると、トヨタとしては直近のルノー型のビジネスモデルを参考にしながら、日本市場向け、また日系の旧車人気が高い北米市場向けに、AE86 BEV用キットの正規販売が考えられるのではないでしょうか。

※ ※ ※

 今後トヨタの看板でこうした事業を実際に立ち上げる場合、クルマ全体の保証なども考慮すれば、トヨタディーラーの中でBEVコンバージョンを担う専門事業を立ち上げる、といった流れが予想されます。

 繰り返しになりますが、トヨタ本社によるBEVコンバージョン事業化はあくまで「社内検討中」の段階だといい、2023年3月現在、トヨタが最終的な判断を下したり、正式に事業内容を発表したりしているものではありません。

 しかしAE86を起点として、トヨタの様々な旧車が正規のBEVとして再生されることが、大いに期待されるところです。

こんな記事も読まれています

トヨタ新型「和製スーパーカー」まもなく登場に期待の声! 爆速「V型10気筒エンジン」搭載もある「超ロングノーズ」がスゴイ! 開発進む「GR最強モデル」に反響殺到!
トヨタ新型「和製スーパーカー」まもなく登場に期待の声! 爆速「V型10気筒エンジン」搭載もある「超ロングノーズ」がスゴイ! 開発進む「GR最強モデル」に反響殺到!
くるまのニュース
最高時速349.4キロは当時の世界最速市販車! 30年前の個体なのに走行距離5600キロの極上ジャガー「XJ220」を発見 どんなスーパーカー?
最高時速349.4キロは当時の世界最速市販車! 30年前の個体なのに走行距離5600キロの極上ジャガー「XJ220」を発見 どんなスーパーカー?
VAGUE
メルセデスベンツ、アップルウォッチで車両情報を確認可能に
メルセデスベンツ、アップルウォッチで車両情報を確認可能に
レスポンス
製造期間わずか[10カ月]!? 初代[シビック]のスポーツモデルである[シビック1200RS]が想像以上にヤバい
製造期間わずか[10カ月]!? 初代[シビック]のスポーツモデルである[シビック1200RS]が想像以上にヤバい
ベストカーWeb
同乗者が12歳未満だらけなら7人乗りミニバンに10人乗れるってマジ!? 安全面で問題のある道交法の「乗車定員」の考え方は見直すべきだろ!
同乗者が12歳未満だらけなら7人乗りミニバンに10人乗れるってマジ!? 安全面で問題のある道交法の「乗車定員」の考え方は見直すべきだろ!
WEB CARTOP
トランプ再選で「台湾軽視」加速? 日本企業3000社以上進出、有事リスクをどう捉えるべきか
トランプ再選で「台湾軽視」加速? 日本企業3000社以上進出、有事リスクをどう捉えるべきか
Merkmal
「すごい横転事故…」 首都高羽田線が一時「通行止め!」 東品川の“合流部”で「衝突事故」発生 「完全ストップ」で2車線ふさぐ… 湾岸線や海岸通りも大混雑に
「すごい横転事故…」 首都高羽田線が一時「通行止め!」 東品川の“合流部”で「衝突事故」発生 「完全ストップ」で2車線ふさぐ… 湾岸線や海岸通りも大混雑に
くるまのニュース
ソニー・ホンダの次世代EV『AFEELA』にZoom導入、車内会議が可能に
ソニー・ホンダの次世代EV『AFEELA』にZoom導入、車内会議が可能に
レスポンス
トヨタ、WRCマニュファクチャラー選手権4連覇。エバンス今季初優勝、全3台がラリージャパンの上位占める
トヨタ、WRCマニュファクチャラー選手権4連覇。エバンス今季初優勝、全3台がラリージャパンの上位占める
AUTOSPORT web
レッドブル&HRC密着:バトルよりタイヤ温存を優先。ノリスの前でフィニッシュするための戦略を遂行したフェルスタッペン
レッドブル&HRC密着:バトルよりタイヤ温存を優先。ノリスの前でフィニッシュするための戦略を遂行したフェルスタッペン
AUTOSPORT web
マーベリック・ビニャーレスの最新レプリカモデル「RX-7X マーベリックオークリー」がアライヘルメットから登場!
マーベリック・ビニャーレスの最新レプリカモデル「RX-7X マーベリックオークリー」がアライヘルメットから登場!
バイクブロス
ガッチリ固定・ワイヤレス充電「スマートフォンホルダー +e」がデイトナから発売!
ガッチリ固定・ワイヤレス充電「スマートフォンホルダー +e」がデイトナから発売!
バイクブロス
ワゴン専用になったVW『パサート』、524万8000円で日本発売 PHEVはEV航続142kmに
ワゴン専用になったVW『パサート』、524万8000円で日本発売 PHEVはEV航続142kmに
レスポンス
「“新型”スカイライン」登場はいつ!? 北米では「次期型」を示唆! 67年・13世代続いた「老舗ブランド」の刷新で「ニッサン復活」を目指せ!
「“新型”スカイライン」登場はいつ!? 北米では「次期型」を示唆! 67年・13世代続いた「老舗ブランド」の刷新で「ニッサン復活」を目指せ!
くるまのニュース
シンプルなデザインが光る新製品「RAPIDE-NEO 46works/ラパイド・ネオ 46ワークス」がアライヘルメットから12月下旬発売!
シンプルなデザインが光る新製品「RAPIDE-NEO 46works/ラパイド・ネオ 46ワークス」がアライヘルメットから12月下旬発売!
バイクブロス
「大人レゴ」にマンセルのウィリアムズF1マシン登場、価格は1万2480円
「大人レゴ」にマンセルのウィリアムズF1マシン登場、価格は1万2480円
レスポンス
[NAでFR]のロードスターと[ターボでFF]のスイフトスポーツを比べてみた
[NAでFR]のロードスターと[ターボでFF]のスイフトスポーツを比べてみた
ベストカーWeb
ペレス「マックスのすごさを実感した一年。ベストのマシンがないときでも卓越した仕事をし、チームの推進力となった」
ペレス「マックスのすごさを実感した一年。ベストのマシンがないときでも卓越した仕事をし、チームの推進力となった」
AUTOSPORT web

みんなのコメント

20件
  • 個人的に欲しいクルマでは無いし、買わないが、
    ユーザーからしっかりニーズを聞き取り
    それをちゃんと見える形で反映していくのはとても素晴らしい。
    クルマ好きと公言する豊田社長だから実現出来ると思う。
    残念ながら他社では出来ないだろうな。
    このユーザーの意見を聞くのが今のホンダに一番足りないところ。
    是非ともホンダには追従して欲しい。
    安くて軽くてキビキビ走るホンダの良さを全面に出したクルマを希望します。
  • DAT16なんて、ハンドルで曲がらず、後輪から滑って曲がるんだけどね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村