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一度は復活を遂げた迷(名)車たち 前編 スチュードベーカー・アバンティ ゴードンGK1 ボルグワードP100

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一度は復活を遂げた迷(名)車たち 前編 スチュードベーカー・アバンティ ゴードンGK1 ボルグワードP100

数奇な運命で復活を遂げた迷(名)車たち

多くの自動車メーカーは、生き残りをかけて最後まで戦うことを諦めない。それゆえに、起死回生を賭けて生み出されたモデルは、改めて見ると興味深い例も少なくない。当時は相手にされなかったとしても。

【画像】一度は復活を遂げた迷(名)車たち スチュードベーカー ポルシェ ランチア ほか 全109枚

現実が追いつかないものの、注目すべき技術が与えられたことも珍しくなかった。新しいエンジンが開発され、未来的なスタイリングのボディが成形され、厳しい現実に立ち向かった。

一方、経営難のなかで手短にお金を稼ごうという、土壇場の策で生まれたモデルも存在はした。歴史あるメーカーとしてのプライドや自尊心、市場を見極められなかった楽観的な思考などが、正しい事業展開を妨げたのかもしれない。

それらを振り返ってみると、1度の終焉を経て、第2の人生を切り開いた魅力的な例も発見できる。まったく別のメーカーで、アイデンティティが密かに受け継がれたこともあった。

今回は、数奇な運命のもとで復活を遂げた、10台のクラシックカーをご紹介したいと思う。読者がご存知のモデルは、何台含まれているだろうか。

スチュードベーカー・アバンティ(1963年)

今でもプロダクトデザインの名作として紹介される、アバンティ。ゼネラル・モーターズとフォード、クライスラーというアメリカン・ビッグ3が例年のように繰り返すマイナーチェンジへ対抗するべく、スチュードベーカーが起死回生を図ったラスト・モデルだ。

スタイリングを手掛けたのはプロダクトデザインの巨匠、レイモンド・ローウィ氏。洗練され近未来的なボディはFRPで成形され、上級モデルにはスーパーチャージャー付きのエンジンを採用。当時のアメリカ車では、最も鋭い加速力を備えた1台だった。

前後にディスクブレーキを採用するなど、技術的にも先進的な内容といえた。真のアメリカン・グランドツアラーだった。

スチュードベーカーが当初の需要を満たせる量産体制を構え、製造品質も安定していれば、狙い通り窮地を救えていたかもしれない。しかし実際は、1963年から1964年に4643台が作られたに過ぎなかった。

2006年まで生産されていたアバンティ

その後、アバンティに魅了されたディーラーが協力しアバンティ・モーター社を創業。1965年にアバンティIIとして再販売へこぎつけた。インディアナ州に小さな工場が設けられ、シボレー・コルベット用エンジンを載せ、手作業で少数が生み出されている。

1982年、不動産業を営んでいたスティーブン・ブレイク氏がアバンティ・モーター社を買収。1986年まで生産は続けられた。

当初はスチュードベーカーが生み残したXフレーム・シャシーを利用していたが、在庫が尽きるとシボレー・モンテカルロのフレームが代用されている。ブレイクはシャシーを改良し、コンバーチブルもリリースしている。

それ以降も2度、経営者が変わりながらアバンティは作られ続けた。スチュードベーカーとレイモンド・ローウィ氏による、オリジナルが持つ純粋さを失いながら。

マニアな小ネタ:21世紀に入っても、アバンティはフォード・マスタングをベースにメキシコで生産が続けられていた。驚くことに、2006年まで。

ゴードン-キーブル GK1(1964年)

イタリアのコーチビルダー、ベルトーネ社がスタイリングを手掛けたアルミニウム製ボディをまとうゴードンGTが1960年に発表された。その後、1964年にブランド名にゴードンというブランド名を掲げ、GK1の量産がスタートしている。

スペースフレーム・シャシーにドディオン式リア・サスペンションを備え、コルベット用エンジンが組み合わされた、優れた英国製スポーツカーだった。しかし、ゴードン-キーブル社が抱える問題は多岐にわたり、美しいクーペの価格は驚くほど高額だった。

量産版ではボディがFRP製へ変更されていたが、ウィリアムズ&プリチャード社が製造を請け負うことで、製造品質は高かった。それでも市場の支持は得られず、経営者を変えつつ、1967年までの100台で生産を終えている。

その後、アラルダイト接着剤を開発した人物の息子、ジョン・デ・ブライネ氏がゴードン-キーブルの残骸を入手。ボディに手を加え、デ・ブライネGTとして1968年のニューヨーク・モーターショーで発表している。だが、展示された1台しか作られていない。

マニアな小ネタ:最後のデ・ブライネGTで興味深いのは、スタイリングに手を加えたのが画家のピーター・ナイジェル・フラック氏だったという点。後に英国の人気テレビ番組、「スピッティング・イメージ」の製作にも関わった人物だ。

ボルグワードP100(1959年)

スポーツサルーンやトラックを開発し、ヘリコプターの生産も夢見ていた、ドイツ人技術者のカール・ボルグワード博士。1959年に、P100と呼ばれる6気筒エンジンを搭載した上級サルーンを発表した。

メルセデス・ベンツをライバル視し、エア・サスペンションの技術では先んじていた。しかし、ボルグワード社へ投資していた銀行は、窮地に陥ったBMWを積極的に支援。成功が見えつつあったものの、倒産する1961年までに2500台のみが生産されている。

博士自身も、心臓麻痺で1963年にこの世を去ってしまう。だが、P100は1967年にメキシコで復活。ボルグワード230GLとして再生産されている。

メキシコに拠点を置くファナサ社が、ドイツからオリジナルの製造設備や部品を輸入。経営者を何度か交代しつつ、1970年までにさらに2500台が作られた。

マニアな小ネタ:メキシコ版のボルグワード230GLは、見た目は当初のP100と同様だが、手間のかかるエア・サスペンションは一般的なものへ変更されていた。また、生産後期にはテールフィンが省かれてもいる。

この続きは中編にて。

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