トヨタが新型カローラクロスをいよいよ9月14日に発表、発売した。これでトヨタはコンパクトSUVクラスに、ライズ、ヤリスクロス、C-HRと合わせて4車種のラインアップを擁することになる。
9月14日に正式発表、発売となったカローラクロス(日本国内仕様)
現場では意外と好評だった? 営業マンが復活を熱望する絶版車 5選
すでに大ヒット確実と見られているカローラクロス、これがラインアップに加わったことで販売現場はどう感じているのか。混乱は……しないとは思うが、どんなグレードが売れていて、どんな競合が起こっていて、値引きはどれくらいなのか。実際に販売店へ行って話を聞いてきました!
文/遠藤 徹、写真/TOYOTA
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■先行予約分の納車は11月下旬から開始!
トヨタ全系列店ではすでに8月下旬から先行予約の受付をスタートさせている。価格や商品内容はタブレッドの文字&数字のみの説明で、日本仕様の外観、内装写真は(例えばカタログなどのような形式で)持ち帰って見ることができない。それでもアウトラインは海外で販売されているモデルがネットなどで流されており、知ることが可能なのでこれをみて予約するユーザーは多い。
ボディサイズはC-HRとRAV4との中間で、CセグSUVとなる
9月上旬現在の先行予約分の納期は11月下旬になっている。正式に発表、発売となれば納期はほぼ確実に来年にずれ込む見通しだ。現時点での推定予約台数は2万台以上に達していると思われる。
7月19日にフルモデルチェンジした2代目の新型アクアよりも、明らかにユーザーからの反応はいい状況にある。
トヨタのコンパクトクラスのSUVはライズ、ヤリスクロス、C-HR、そして今回の新型カローラクロスと4車種にもなった。「それぞれ競合して売りにくいのではないか」といった見方も皆無ではないが、ごく少数派といえる。トヨタとしては、
「新型カローラクロスはC-HRとRAV4の中間に位置し、C-HRはシティ走行向きのスタイリッシュなコンセプトで仕立てている。これに対して新型カローラクロスは室内が広く、レジャーに出かけるのにも使い勝手がいいオールラウンドなSUVとして開発している」と、販売店に基本コンセプトを提示しているようだ。
ボディサイズ、価格帯ともに近いのはプリウスベースとなるC-HRだが
■ライズ、ヤリスクロス、C-HRとは棲み分ける?
車両本体の価格帯で見ると、ライズが167万9000~228万2200円、ヤリスクロスが179万8000~281万6000円、C-HRが238万2000~314万5000円に対してカローラクロスは199万9000~319万9000円であり、C-HRに近い価格帯であることが読み取れる。
RAV4はPHVを除くと274万3000~402万9000円であるから、カローラクロスとは多少離れすぎている感じもする。
ライズは11月1日にもマイナーチェンジを実施する見込み。今回は従来の1リッターターボに代えて新開発の1.2リッターNA及び1.2リッターハイブリッド車を設定する。これによって車両本体価格は20万~30万円アップする見通しであり、そのぶんヤリスクロスに価格帯で近づくことになる。
トヨタクロスオーバーSUVの末弟、ライズは11月1日にマイチェンを受ける予定だ
価格以外にボディサイズ、パワーユニット、使い勝手、コンセプトが異なるので、これらによって売り分けているのが実情である。
多数のコンパクトSUVを扱うトヨタ系列店各社の営業担当者は、扱うモデルが多くなることに対してはおおむねメリットのほうが大きく、歓迎の姿勢である。各々の車種の特徴があるので、ユーザーにそれを説明し、選んでもらえばトータルの販売台数を増やすことができるという読みがあるためと思われる。
■目論見はトータルでの販売増
各モデルのうち、ヤリスクロスとカローラクロスは超人気モデルであり、半導体部品の供給不足による納期遅れが問題になっている。9月上旬現在の納期はヤリスクロスが2022年3月、カローラクロスは前述のように11月下旬となっている。
ヤリスクロスの人気は続き、9月現在の納期はすでに来年3月となっている
このことはユーザーにとっては不満であり、営業マンは催促のプレッシャーを頻繁に受けることになる。こうした場合に扱い車が多ければ、ほかの扱いモデルに振り向け、対応を和らげることも可能になる。
新型カローラクロスは搭載するパワーユニットが1.8リッターガソリンNA&1.8リッターハイブリッドで駆動方式は1.8リッターNAが2WD車のみ、1.8リッターハイブリッドは2WD、4WDの両駆動方式のラインアップ構成となっており、こうしたことからハイブリッド車の販売を重視していることが伺える。
先行予約の段階では70%以上がハイブリッド車で占められ、4WD比率は30%程度となっている。
先行受注の段階でカローラクロスはハイブリッドモデルが全体の7割を占める
グレード構成は上からZ、S、G、Xの4タイプで車両本体価格は2WDのみの1.8リッターガソリンNAはZが264万円、S240万円、G224万円、X199万9000円。1.8リッターハイブリッドは3グレード構成となり、2WDのZが299万円、S275万円、G259万円で、同4WDのZが319万9000円、S295万9000円、G279万9000円。
このなかで最も売れゆきがいいのは最上級のZで今のところ大部分を占める。ボディカラーはプラチナホワイトパールマイカが最も多い。
首都圏にある某カローラ店で1.8リッターハイブリッド2WDのZ(車両本体価格299万円)に有料色のプラチナホワイトパールマイカ、9インチオーディオディスプレイ、パーキングサポートブレーキ、パノラミックビューモニター、ガラスコーティング、フロアマット、サイドバイザー、Tコネクトナビキット、ETC2.0、CD・DVDデッキなど約44万円のオプション&付属品をつけて見積もってもらうと法定、法定外費用を含めて365万円強と出た。
カローラクロスのインテリアは基本的にカローラシリーズに準ずるデザインとなる
下取り車なしでの初回値引き交渉での回答は車両本体5万円、オプション部品から8万円、合わせて13万円だった。残価設定クレジットを組むと100万円の頭金で3年36回払いは初回5万円、毎月4万8000円強、5年60回払いだと初回4万1000円、毎月3万9000円程度だった。
残価は3年後で128万円強、残価率は48%、5年後はそれぞれ81万円、30%と平均的な数値となっている。実質年率は5.5%を設定している店舗が中心である。
■証言1「正式発表後の納車は来年」首都圏カローラ店営業担当者
新型カローラクロスは8月末近くから価格が決まり、見積書の作成が可能になっている。説明用のパンフレットがなくタブレッドによる画面での商品説明だけで、予約を申し込んでくれるユーザーが多い。新型アクアよりはるかにお客さんの反応はいい。
歴代カローラのワゴンやセダン、コンパクトハッチバックユーザーからの代替えが目立っている。現段階の納期は11月下旬頃だが、9月14日の発表、発売日までには来年になってしまうに違いない。
■証言2「もしかしたらモデル廃止も」首都圏トヨタ店営業担当者
コンパクトクラスのSUVはライズ、ヤリスクロス、C-HR、カローラクロスの4車種になるが、商品説明をした後でお客さんに選んでもらうわけだから売り分けるのは難しいとは考えていない。扱い車種は多いほど助かり、困ることはない。
ただ、新型カローラクロスとC-HRとは最も価格帯が近いので、競合する確率は高い。現時点でもC-HRの売れゆきは激減しているから、もしかしたらこちらは近い将来、モデル廃止に追い込まれるかもしれない。新型カローラクロスはハイブリッドの予約構成比が70%以上と極めて高くなっている。
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