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「オンロード」で感銘 ベストバランスSUV BMW X3へ試乗 相性のイイ2.0Lディーゼル

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「オンロード」で感銘 ベストバランスSUV BMW X3へ試乗 相性のイイ2.0Lディーゼル

オンロードで感銘を受けるドライビング体験

オールセグメントといえるSUVラインナップを擁する、現在のBMW。X5が登場した1999年以来進化を重ね、近年は成熟期にあるように思う。

【画像】「オンロード」で感銘 ベストバランスSUV BMW X3 競合モデルと写真で比べる 全168枚

同社は、これまで150万台以上のX3をユーザーへ届けてきた。この3代目も確かな成功を掴んでいるが、アップデートを経てモデルライフ後半も盤石に乗切ることだろう。

ご存知の通り、X3は小さなX1と大きなX5の間に収まる、ミドルサイズ。英国価格はX1より1万5000ポンド(約284万円)高く、X5より2万ポンド(約378万円)安い。

ライバルは極めて多い。アウディQ5にメルセデス・ベンツGLCというドイツ勢の他、ディフェンダーやディスカバリー・スポーツ、レクサスNXなどもしのぎを削っている。

X3のパワートレインは、ディーゼルとガソリン、プラグイン・ハイブリッドまで多彩。高性能なX3 Mと、バッテリーEVのiX3も存在するが、それは別の試乗レポートで触れることにしよう。

BMWがオフロードからインスパイアされたという、X3のスタイリングは凛々しい。しかし、ドライビング体験で感銘を受けるのはオンロード。動的能力で定評ある、ブランドらしい特長といえる。クラスベストには届かないとしても。

X3が基礎骨格とするのは、縦置きエンジン用のCLARプラットフォーム。比較的長めのボンネットと、短いフロント・オーバーハングを持ち、スポーティな雰囲気を持つ。キドニーグリルは大きいものの、iXほど誇張されたものではない。

実用性と高級感が巧みに融合した車内

ドアとボンネットは、アルミ製。フロアパンには高張力鋼板が用いられ、軽量化が意識されているが、試乗車の車重は1800kgを超えていた。操縦性が輝く、アルファ・ロメオ・ステルヴィオとほぼ同じ重さになる。

英国で提供されるグレードは、183psのガソリンターボ、X3 20iから始まり、190psのディーゼルターボ、20dに、264psの30d、プラグイン・ハイブリッドで325psの30e、344psのM40dという展開。トランスミッションは8速オートマティックだ。

すべてが、xドライブと呼ばれる四輪駆動。通常は40:60で前後に駆動力が分配されるが、必要に応じて変化する。急勾配での走りをアシストする、ヒルディセント・コントロールも標準。渡河水深は500mmがうたわれる。

車内は、実用性と高級感が巧みに融合されている。スイッチ類は上質なメッキ仕上げで、メーター用モニターは判読しやすい。内装トリムにはリッチな質感が備わり、製造品質はQ5にも負けていない。

フロントシートの座面は適度に低く、前方に開けた視界を得られるだけ高い。車内空間にはゆとりがあり、リアシート側でも頭上空間には不満なし。荷室容量は550L。背もたれは40:20:40に分割して倒せ、1600Lまで拡張できる。

プラグイン・ハイブリッドの場合、駆動用バッテリーが荷室の床下に搭載され、容量は100L小さくなる。この場合、広さはNXの方が有利になる。

インフォテインメント用モニターは充分大きく、レイアウトも適切。表示は鮮明で反応は素早く、音声操作もできる。一部の機能は、ジェスチャー操作にも対応する。

相性ピカイチの20d 低く軽いクルマのよう

X3 20dが積む2.0L 4気筒ディーゼルは、このモデルとの相性がピカイチ。ギア比が低めの8速ATが滑らかに変速を続け、高負荷でも気張る必要はない。エンジンの存在感を高めることなく、不足ないトルクが湧き出てくる。

端的にいうなら、実直。ライバルに劣らない、加速力と扱いやすさを披露する。

X3 30dは、余裕のパワーとトルクが手に入る。3.0L 6気筒ディーゼルは、0-100km/h加速を20dから2.0秒以上縮め、市街地も高速道路も安楽だ。

プラグイン・ハイブリッドの30eは、駆動用バッテリーの充電量で印象が変わる。充分に電気が残っていれば、駆動用モーターがアシストし軽快。残量が乏しくなると、動力性能へ明確な陰りが出る。燃費も悪化してしまう。

乗り心地は良好。Mスポーツが履く19インチ・ホイールでも、タイヤのサイドウォールは厚めで、路面の隆起部分などを優しく吸収。サスペンションも良く機能し、重心が高めのSUVにありがちな、横方向へお釣りが残るような揺れも殆ど感取されない。

身のこなしは適度に引き締まり、実際より低く軽いクルマに乗っているかのよう。X5へ通じる、落ち着いた操縦性で、カーブへ高めの速度で侵入しようという気にさせる。絶妙なバランスだ。

オプションのヴァリアブル・ダンパー・コントロール(VDC)を装備すると、減衰特性を3段階から選べ、動的特性が一層広がる。四輪駆動システムと確かなグリップ力で、滑りやすい路面でもトラクション不足は感じられなかった。

このクラスのベストバランスSUV

ステアリングフィールは、情報量が豊かなステルヴィオと、淡白なQ5との中間。オプションの可変レシオシステムを組めば、低速域での扱いやすさが増す。切り込んでいくと若干の不自然さも現れるが、装備する価値はあるだろう。

トラクション/スタビリティ・コントロールの制御も巧妙。オンのままスポーツ+モードなどを選んでも、限界付近まで介入は目立たない。後輪駆動のBMWのように、アクセルペダルの加減でコーナリングラインを調整するのは難しいが。

X3の全体的な操縦性は、スポーティなSUVとして、われわれの期待に応えるもの。回答性はクイックで、姿勢制御はタイト。鋭いコーナリングでも、秀でたグリップ力を発揮する。意欲的なドライバーにとっても、望ましいモデルだといえる。

ポルシェ・マカンの方が、走りの躍動感は高いだろう。だが、洗練性ではX3が有利だ。

燃費は、20dで平均17.3km/Lに届いた。プラグイン・ハイブリッドの30eでは、駆動用バッテリーが満充電なら35.0km/Lも夢ではない。充電が切れると、10.0km/L前後へ落ち込むとしても。

ミドルサイズの上級ファミリーSUVを検討する多くの人にとって、選択肢の上位に入る完成度を持つX3。優れた快適性を実現しつつ、BMWへ期待する動的能力もしっかり備わっている。

内装の上質さや乗り心地でいえば、アウディQ5の方が勝る。しかし、運転の楽しさも忘れたくないという人へ推したいと思えるのは、X3の方。このクラスでの、ベストバランスにあると思う。

◯:高級感のあるインテリア 洗練されたパワートレインのラインナップ 乗り心地と操縦性の好バランス
△:やや伸び悩む燃費 高回転域での洗練性で劣るディーゼルターボ ライバルへやや劣る装備

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1件
  • かにころ
    2012年式135iクーペ乗りです。
    たまにSUV(SAV)にぐらっときますが
    まだまだ直6エンジンをMTで楽しみます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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