今季2024年より本格デリバリーが開始された新型『トヨタGRヤリス・ラリー2』が、ERCヨーロッパ・ラリー選手権でさらに勢力を拡大することに。元フィンランド国内ラリー選手権王者のミッコ・ヘイッキラに続き、昨年ランキング2位を記録した元ジュニアERC王者マルティン・セスクが、シュコダからトヨタにスイッチし、引き続きMRFタイヤを装着してタイトル挑戦を明言した。
2023年には地元戦を含む2連勝を記録した24歳は、今季もラトビアを拠点とするスポーツ・レーシング・テクノロジーズ(SRT)がサポートを担い、国営通信・技術大手のラトビアス・モビライス・テレフォンズと、バルト三国の大手レンタル機器会社ストレント・グループの支援を受け、欧州選手権にブランニューモデルを投入する。
トヨタGRヤリス・ラリー2にスイッチしたミッコ・ヘイッキラ、雪上戦に続きイタリアのグラベルでも勝利
「僕らは昨年のERCシーズンで成功を収め、もう少しでチャンピオンの座に手が届くところまで成長できた」と、ラトビアの首都リガで参戦体制発表会を開催したセスク。
「しかしERCで前進するにつれ、成長と新たな課題も受け入れなければならなくなる。WRC世界ラリー選手権ドライバーがERCに転向してくるなど競争は日々激化しているし、僕らの体制にも最大限の成長が求められる。でもこの部分はSRTとトヨタGRヤリス・ラリー2に関する専門知識によってさらにアシストされるはずだ」
故郷のイベントである『ラリー・リエパヤ』で2016年にERCデビューを果たしたとき、まだ10代だったセスクは、その2年後にジュニアERCチャンピオンとなり、2019年には総合で初の表彰台を獲得した。
「当然のことながら、チームが新しいマシンに慣れるまでは学習曲線が必要で、シーズンを通じてターマックステージが増加するなど、僕らとしてもさらなる課題が予想される」と冷静な見通しも語ったセスク。
「グラベル(未舗装路)ステージのラリーはわずか3戦で、まったく初めてのラリーも3戦あるから、経験が足りないことは承知している。それでも僕らは力強いシーズンを確実に過ごすべく、徹底した準備とハードワークに取り組み、その過程で継続的に学び進化していきたいと思っている」
■WRCラリー・ポーランドに参戦へ
一時はジュニアWRCで経験を積んだのち、2022年にヨーロッパの舞台に戻った若手有望株は、同年の地元戦で全12ステージで最速タイムを記録し、前人未到の完全制覇でERC初優勝を果たした。続く2023年も連勝と2回の表彰台を獲得し、増え続ける今季タイトル候補リストの中でも筆頭として新シーズンをスタートさせる。
同じく、今季は4月中旬開催でオールグラベルへと一新されたERC開幕戦『ラリー・ハンガリー』に向け、ポーランド出身のミコ・マルチェクもシーズン開幕を前に、ミシュランタイヤを装備したシュコダ・ファビアRSラリー2でシーズンを追うことをアナウンスした。
「2024年、僕らもヨーロッパ・ラリー選手権のフルシーズンと、WRC世界ラリー選手権のWRC2カテゴリーの一部ラウンドに参戦する」と、ERCに続き6月に開催される第80回『ラリー・ポーランド』への出場も明かした28歳。
そのマルチェクは2018年にポーランドの地元戦でERCデビューを果たし、翌年の同イベントで初のステージ優勝を飾ると、2021年にはそこで初表彰台を獲得してもいる。
「僕らはこれまでの経験を活かし上位を目指して戦えると確信している。精神的にも肉体的にも準備は整っているので、目標は達成できると信じているよ」
またハンガリー出身のガボール・ネメットは、昨季までドライブしたヒョンデi20 Nラリー2からシュコダに乗り換え、ユーロソル・レーシング・チーム・ハンガリーとともに開幕戦への出場を予定している。
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