11月29~12月1日、茨城県の筑波サーキットでドリフト競技の世界一を決める『FIA IDCインターコンチネンタル・ドリフティングカップ』の2019年大会が行われ、2018年大会を制したロシア人ドライバー、のゲオルギィ・チフチャン(ニッサン・シルビアS15)が連覇を果たした。
過去2大会はお台場の特設会場を舞台に行われてきたFIA IDC。2019年はシリーズ史上初めて常設サーキットを舞台に争われ、17の国と地域から集まった24名が世界一を目指して筑波での戦いに臨んだ。
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29日(金)の練習走行を経て、予選は30日(土)行われた。この予選は各ドライバーが単独で走行する単走方式で行われ、ライン取り、ドリフトのアングルスタイル、スピードを3名の審査員が採点。2回の走行でベストスコア上位15名が決勝トーナメントへ進出する。
また今年からは新たに敗者復活戦も導入。予選落ちした8名で追走形式のトーナメントが行われ、ここを勝ち抜いた1名も決勝トーナメントへ進むことができる。
そんな予選ではWTCC世界ツーリングカー選手権にも参戦経験のあるチャールズ・カキン(ニッサン・シルビアS14)が100点満点中93点を獲得してトップ通過。これに松井有紀夫(マツダRX-7)、チフチャンが続いた。
敗者復活戦では予選21番手と苦戦を強いられた小橋正典(ニッサン・シルビアS15)が優勝し、逆転で決勝トーナメント進出を果たしている。
迎えた1日(日)の決勝は追走形式のトーナメント。チフチェンは危なげない走りで勝ち進むと、準決勝で予選2番手で2019年D1グランプリランキング2位につけた松井と激突した。
2018年IDCチャンピオンとD1トップランカーによるバトルは互いに一歩も譲らぬ戦いとなり、初戦は引き分け。“ワン・モア・タイム”として行われた再走をチフチャンが制して決勝進出を決めた。
もう一方の準決勝はフォーミュラ・ドリフト・ジャパンで4度のチャンピオンを獲得しているアンドリュー・グレイ(トヨタ・マークII)と、2017年のD1王者藤野秀之(ニッサン180SX)の争いとなると、ここはD1チャンピオンが意地をみせて勝利。チフチャンの連覇に待ったをかける決勝進出となった。
しかし、迎えた決勝では、藤野が操る180SXにデフトラブルが発生。IDCの決勝トーナメントでは各選手に5分のリペアタイムを一度だけ使うことが許されているが、藤野は決勝進出までにその時間を使い切っていたため、リタイアを余儀なくされた。
この結果、2018年のIDCチャンピオンであるチフチャンは決勝を戦わずして優勝。シリーズ初の大会連覇を成し遂げることとなった。ただチフチャンも「実は決勝戦ではクラッチがオーバーヒートしていた」と、マシンが万全の状態ではなかったという。
「準決勝のころから、その予兆はあったが、決勝ではとても熱くなっていて、タッチフィールもソフトだった。準々決勝、準決勝、決勝のインターバルが短く、タイヤを交換する時間もなく、クルマには高い負荷がかかり続けていて、クールダウンさせる時間がなかったことが原因だと思う」
「運が良かっただけで、もし藤野選手のマシンが壊れていなければ、私自身が走行を続けられたかどうか分からない状況だった。優勝できたことはうれしいが、100%満足ではないね」
「(準決勝で戦った)松井選手とはとてもいいバトルができて楽しめた。私はD1 GPの大ファンだから松井選手のスタイルは知っていた。彼はとても安定したスタイルで、スピードがあって、追走しやすかったよ」
メカニカルトラブルにより決勝出走が叶わず2位に終わった藤野は「ゴーチャ(チフチャン)選手と戦ったことがなかったので、今日は本当に一緒に走りたかったです。これが唯一残念だった点です。いつか対 戦できるのを楽しみにしています」とコメントを残している。
今大会にV8エンジン搭載のGRスープラで挑んだ川畑真人は、単走予選を7番手で通過して決勝トーナメント進出を果たしたものの、エンジン不調と足回りの違和感が拭えなかったとしてパフォーマンスを発揮できず。決勝は11位という結果に終わった。
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