インディカー・シリーズに参戦するアロー・マクラーレンは今季、6号車のドライバーが開幕から次々と入れ替わっており、契約に関するゴタゴタが多く起きるイメージがついてしまっているが、マクラーレンのザク・ブラウンCEOはアレックス・パロウを巡る騒動がその元凶になっていると述べた。
2021年にチップ・ガナッシでインディカー王者に輝いたパロウは2022年の夏、翌年からのアロー・マクラーレン移籍を画策していた。チップ・ガナッシが残留のリリースを出した直後にパロウがそれを否定し、マクラーレンがパロウ加入のリリースを発表する……そんな大混乱は法廷闘争に繋がった。
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結局パロウは2023年もチップ・ガナッシに残留することで決着。ただパロウはその代わり、マクラーレンのF1プログラムに参加し、F1の公式セッションやテストに参加する許可を取り付けた。
そして2024年こそアロー・マクラーレンに加入すると見られていたパロウだが、パロウは昨年8月にマクラーレンとの契約を破棄。それぞれ状況は異なれど、2度に渡って急転直下でチップ・ガナッシにとんぼ返りする形となった。その背景には、F1シート獲得の望みがほとんどなくなったことが関係しているとされる。
そしてパロウが乗るはずだったアロー・マクラーレンのシートの“激動”ぶりも凄まじかった。2023年はフェリックス・ローゼンクヴィストがドライブしたが、翌年はデビッド・マルーカスにシートが与えられた。しかし怪我の回復が遅れたマルーカスは1戦も走らぬまま解雇され、カラム・アイロット、テオ・プルシェールが代役に。プルシェールがシーズン最後までドライブするかに思われたが、現在ではノーラン・シーゲルがその席を確保している。
これほど目まぐるしくドライバーが変わっていることは、チームがドライバーを振り回しているようにも見え、ネガティブな印象が付くことも避けられない。しかしブラウンCEOは、チームがパロウの一件から不当な烙印を押されていると主張した。
「残念なことではあるが、チームとして注目を集めているということも理解している」
ブラウンCEOはそう語る。
「こういったドライバーを巡る状況について、我々には不当なレッテルが貼られていると思う。一部のドライバーもそれに言及している」
「誰しも茶々を入れるのが好きなのは分かっているし、私だってそうだ。だからちょっかいを出されたら、こちらとしてもやり返さないといけない」
「とはいえ、この世界でパト(パトリシオ・オワード)を見出したのも我々だ。そして我々はアレックス・パロウとも契約をしていた。ただそれがドミノ倒しを生むことになった」
「逆にアレックス(アレクサンダー・ロッシ)とは契約をしっかり履行した。そして我々は若手のアメリカ人ドライバーであるノーランにチャンスを与えた。テオも(怪我をしたロッシの代役として)呼び戻した」
「ただ残念なことに、パロウの一件によって我々は、気難しくてドライバーに厳しいという不当な烙印を押されてしまった。実際には我々とドライバーの関係は最大の強みのひとつになっているのにだ」
またブラウンCEOは、マクラーレンのF1チームにおいても、過去にチームを去ったドライバーとの関係が良好であることを強調した。
「F1でさえも、カルロス・サインツJr.とは信じられないような関係を築いていた。フェルナンド・アロンソとも素晴らしい関係だったし、ダニエル・リカルドもそうだ」
「ランド(ノリス)との関係は6年にも及ぶ。だから私は過去、そして現在とマクラーレンで走ってくれたドライバーたちとの関係を誇りに思っている」
マクラーレンは現在、パロウに対しての損害賠償請求を巡って訴訟の手続きに入っている。英国高等裁判所で行なわれている訴訟の進捗について尋ねられたブラウンCEOは「現在も法的措置が進行中で、恐らく来年の終わり頃には決着が着くはずだ」とコメントした。
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