2021年8月2日、トヨタは新型ランドクルーザーの国内発売開始を発表した。
トヨタのランドクルーザーは、1951年8月の初代モデル登場以降、70年にわたって、優れたオフロード性能と、高い耐久性能による信頼性によって、それぞれの時代で活躍し、今では世界中にファンがいる、最もメジャーなクロカンSUVのひとつだ。新型については、この6月に世界初公開となっていたが、今回、日本国内での発売が開始されたことになる。
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発売開始によって明らかになった、新型ランドクルーザーの詳細をお伝えしていこう。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
【画像ギャラリー】全部見せます初公開満載37枚!! 新型ランドクルーザー300の詳細!!
ハンパない進化を遂げた!!
累計販売台数約1060万台、年間30万台以上もの販売台数(2021 年 6 月末時点、LEXUS LX、GX を含む)を誇る、トヨタランドクルーザー。世界170の国と地域で愛され続けており、2007年に登場した先代200系ランクルから経つこと14年、待望のフルモデルチェンジで、新型となる300系ランクルへと進化した。
伝統のフレーム構造は踏襲しつつ、TNGAに基づく新開発のGA-Fプラットフォームを採用し、新開発のパワートレインを搭載、また、最新世代に相応しい最新の運転支援技術と、新型ランクルは、全方位でブラッシュアップされ、まさに「向かうところ敵なし」といったモデルに仕上がった。
2021年6月10日、世界初公開された新型となる300系ランドクルーザー。今作でも走行性能の高さを全面的にアピールしてきた
オフロード走行において、これ以上心強いクルマは他にない!!
新開発のGA-Fプラットフォームでは、高張力鋼板の採用を拡大、ボンネット、ルーフ、前ドアパネルをアルミ化し、最新の溶接技術を活用したことで、剛性向上(先代比+20%)かつ200kgにも及ぶ軽量化を達成した。またパワートレインのレイアウトを見直し、車両後方に70mm、下方に20mm移動したことで、低重心化とフロント荷重の適正化にも成功したそうだ。
オフロード走行の要となるサスペンションも更新している。フロントはハイマウントダブルウィッシュボーン式、リアはトレーリング車軸式を新開発。ショックアブソーバーのレイアウトを最適化し、操縦安定性と乗り心地を両立させた。また、悪路走破性向上のために、ホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)も改良した。
伝統のラダーフレーム構造は踏襲、高張力鋼板の採用拡大、ボンネット、ルーフ、前ドアパネルをアルミ化し、最新の溶接技術を活用したことで、剛性向上(先代比+20%)かつ200kgにも及ぶ軽量化を達成
過酷な環境下でも耐える油圧パワーステアリングに、電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせたことで、レーントレーシングアシスト等の先進支援技術も搭載する。これによって、低速時の取り回しの良さと、悪路走行時のキックバックが低減するという(ZX、GR SPORT、VXに標準装備)。
他社車が燃費改善のために大容量の電動パワステを採用する中で、新型ランクルが信頼性の高さを選択したことは、燃費優位な立場にあるトヨタだからできたところだろう。
油圧パワーステアリングに、電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせたステアリングシステム
さらに、上級モデルにはリアトルセンLSDが搭載(ZXに標準装備)されるほか、オフロード走行時のスタックや、失速が起こりやすい路面での走行支援を、6つのモード(AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCK)から選択できる、マルチレテインセレクトも搭載。駆動力、サスペンション、ブレーキ油圧を自動で統合制御し、走破性を確保してくれる、心強い機能だ。
未舗装路、砂漠の砂地、泥地、雪道、岩山など、あらゆるシーンの走行を想定したマルチレテインセレクトを搭載する
先代のサイズをほぼ踏襲し、オフロードの扱いやすさを優先
新型ランクルは、4950×1980×1925(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2850mm。先代ランクルと比べると、ホイールベースや全長、全幅は変えずに(グレードによっては35mm伸びた)、全高を55mm上げてきた。これは、アプローチアングルやデパーチャーアングルを先代から変えずに、オフロードでの扱いやすさを考慮した結果だそうだ。
全体的なプロポーションも、歴代ランクルの特徴を継承し、キャビンをやや後ろ寄りに配置する、キャビンバックワードプロポーションとしている。また、ラジエーターグリルは高い位置へと移動し、前後バンパーの下部も、障害物との干渉を避けるデザインとした。
ちなみに、エンジンフード上面に大きなへこみが付いているのは、衝突安全性と前方視界を両立させるためだそうだ。いかにもホイールストロークが大きくなったように見える、マッシブな前後フェンダーや、迫力のましたフロントグリルなど、正常進化した様子がうかがえる。
新型ランクルの寸法は、4950×1980×1925(全長×全幅×全高)mm、ホイールベースは2850mm。ホイールベースや全長、全幅は変えずに(グレードによっては35mm伸びた)、全高を55mm上げてきた
先代のランクル
リア周りのデザインは先代の印象が残っているが、リアフェンダーのふくらみは立派になった。リアウィンドウの傾斜はやや立ち上がったように見える
先代ランクル
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清潔感の高さを感じるインテリア
これまでも落ち着きのある豪華なインテリアであったランクルだが、新型ではさらに整理整頓がなされて、北欧車のようなセンスの良さを感じられるインテリアへと進化した。
欧州メーカーを中心に流行しているデジタルメーターではなく、オーソドックスな6針式のメーターとしているのは、過酷な路面状況下でも、車両状況がすぐに把握できるよう、スピード、エンジン回転、燃料、水温、油圧、電圧が直感的に視認するためだそうだ。
さらに目を惹くのが、センターコンソール最上段にレイアウトされた12.3インチのワイドタッチディスプレイだ(GXを除く全車にオプション)。ナビやオーディオはもちろん、オフロード機能も高精細に映し出す。傾斜計、デフロックのオンオフ状況、アクセルとブレーキワークなどを表示することで、車両状態を直感的に把握するのに役立つ。
「最先端のデジタルインテリア」という方向では、メルセデスやBMW、ポルシェなど、ライバルメーカーの大型SUVの方が優れているが、あえて派手さを狙わずに、清潔感の高さを感じるのは、新型ランクルの方ではないか、と筆者は感じる。
新型ランクルのインテリア。スイッチなどのレイアウトが整理整頓された印象だ
先代ランクルのインテリア
高精細な12.3インチのワイドタッチディスプレイ。オフロード機能として、直前に撮影したカメラ画像を合成し、設地場所とタイヤの向きを表示するモードも非常にきれいに映る
指紋認証システムを初採用
ダウンサイジング&ターボ化で、出力と燃費を同時に改善!!
パワートレインは3.5LのV6ツインターボ ガソリンエンジン(最高出力415ps/最大トルク650Nm)と、3.3LのV6ツインターボ ディーゼルエンジン(309ps/700Nm)だ。どちらにも、Direct Shift 10ATを組み合わせる。
3.5L V6ツインターボ ガソリンエンジンは、マルチホール直噴インジェクタ付きD-4STを採用し、ロングストローク化とバルブ挟角の最適配置による高速燃焼と高効率ターボが、力強い低速トルクと、優れた加給レスポンスを生み出す。
3.3L V6ツインターボ ディーゼルエンジンは、ピストン燃焼室、吸気ポート、インジェクタといったエンジン各部の構造を最適化しており、ディーゼルらしいパワフルな走りを実現する。なお新採用の可変ノズル付2ウェイツインターボは、走行速度に応じて、シングルターボとツインターボを切り替え、最適な加速を引き出す。
V35A-FTSガソリンツインターボ。マルチホール直噴インジェクタ付きD-4STの採用、ロングストローク化、バルブ挟角の最適配置を実施。力強い低速トルクと優れた加給レスポンスを生み出す
F33A-FTVディーゼルターボ。新採用の可変ノズル付2ウェイツインターボは、低速域では高レスポンスによる力強い加速を、高速域では大吸気量によるのびやかな加速に寄与する
ちなみに、先代の4.6L V8エンジンのスペックは318ps/460Nmなので、新型では、大幅なパワーアップを果たしていることになる。
なおWLTCモード燃費は、ガソリン(ZX)が7.9km/L(市街地5.3、郊外8.2、高速9.6)、ディーゼルモデルは9.7km/L(市街地7.2、郊外9.7、高速11.3)だ。先代(ZX)は6.7km/L(4.5、6.9、8.2)であったので、燃費も約17%改善したことになる。
CO2排出量(WLTCモード)は、336~347g/kmから267~294g/kmへ、14~30%ほど改善しているが、95g/kmという目標からは遠く離れており、高CO2排出車であることは知っておかねばならない。
そこで、ランクルにも電動化の可能性はないのか、と尋ねたところ、
「トヨタとしても、ランクルとはいえカーボンニュートラルは避けては通れません。ただ現時点、新型ランクルに適した電動化技術がありませんでした。逆を言えば、ランクルに見合う電動化技術が用意できるようになれば、電動化は当然、検討範囲に入ります(チーフエンジニア)」とのこと。
300系ランクルのライフ途中での追加があるか、楽しみなところだ。
トヨタ初の指紋認証スタートスイッチを搭載
また、盗難対策として新たに導入した、トヨタ初となる指紋認証スタートスイッチも注目すべきトピックだ。スタートスイッチの中央に指紋センサーを搭載しており、スマートキーを携帯した状態で、ブレーキを踏みながら指紋センサーにタッチすると、登録された指紋情報と照合される。
登録済みの指紋情報と一致しなければ、エンジンが始動しない機構となっている(ZX、GR SPORT、VX、AX標準装備、GXにオプション)。登録可能人数は最大7名。そのうち3名は指2本を登録できるそうだ。
ただ、万が一、災害などでクルマを置き去りにする必要が出た場合、一度エンジンを切ってしまうと、第三者(JAFや救急隊員、自衛隊など)はエンジンをかけられない。また、出先で(登録した)指を怪我して指先が使えない場合も同様だという。この点は、トヨタとして、今後何らかの対策検討を行うかもしれないとのことだった。
トヨタ初となる、指紋認証スタートスイッチを採用した
「どこまでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」であり続けるために
日本に住んでいれば、クルマで移動していて命の危機を感じることは、まずないだろう。
だが世界では、砂漠地帯やジャングル、ぬかるんだ山道、岩肌が出たラフロードなど、普通車では走破できないような道はまだまだある。ランクルのキャッチコピー、「どこまでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」は、生活をするうえでクルマを必要とする顧客との「約束」だ(もし嘘だったら命の危険すらあるかもしれないのだから)。
遠く離れた街まで生きるために必要な買い物にいくため、患者を数百キロ先の病院へと安全に移送するため、この手のクルマは絶対に必要だ。前述したように、数が売れるのは、中近東の富豪たちであるが、ランクルは、20年後に現役で走り続けられる耐久性と信頼性は持っていなければならないのだ。
ダカールラリーの参戦ドライバーからの改善要望を、車両開発に直接反映させたGR SPORTも登場。前後専用バンパーや、E-KDSS、フロントの電動デフロック機構も専用装備する
電子制御でスタビライザー効果を変化させるE-KDSS。市街地での走行安定性とオフロードの走破性を高次元で両立させる。また、ばね定数やAVSも最適化されている
車両価格はガソリン車が510万~770万円、ディーゼル車は760万~800万円だ。日本では、投資対象としても有名なクルマだが、本来のランクルは、ヘビーデューティな使い方に耐えられるクロカン車だ。今回の新型も、先代と同様に、長くつくり続けられることになるだろう。
その間、待ってはくれないカーボンニュートラルの要望に、ランクルがいつのタイミングで舵を切るのか。いよいよ発売開始となった300系ランドクルーザー、今後の動向からは目が離せない。
新型ランドクルーザーのグレード別価格表。これまでの最上級グレードZXは税込730万円。さらにGR SPORT、ディーゼル車のGX、AXが追加された
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