マクラーレン・レーシングCEOのザク・ブラウンは、2024年にドライバーのランド・ノリスとオスカー・ピアストリの間に弊害のある摩擦は起きないだろうと確信しており、彼とチーム代表のアンドレア・ステラは状況を完全に把握しているという。
2022年末にダニエル・リカルドが離脱し、代わりに新進気鋭のルーキーであるピアストリが加わったことで、今年ノリスは事実上のチームリーダーになった。ノリスはマクラーレンに5シーズン在籍しているが、今年までは要領を学んでいた。だが今ではピアストリが加わり、1シーズンですでに純粋なペースとレース技術でピアストリがノリスをプッシュしている。
F1デビューイヤーは「僕の人生で一番忙しい1年」とピアストリ。激しい競争のなかで現状には満足できないと明かす
ノリスがより多くのポイントを獲得し、ドライバーズ選手権6位でシーズンを終えた一方で、ピアストリはカタールGPのスプリントレースでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を破り、画期的な勝利を飾った。そのレースでノリスは3位だった。ピアストリはF1での最初のシーズンを成功裏に終えたことで、2024年に向けて大きな期待が寄せられているが、それによりノリスと衝突する可能性もある。
他のチームではメルセデスのルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグや、レッドブルのフェルスタッペンとリカルドなど、この何年かで互角の実力のチームメイト同士の多くが不和に陥ったが、ブラウンはノリスとピアストリがそうなるとは予想していないと述べている。
「ふたりのドライバーがいれば、ひとりがもうひとりを負かさなければならない週末があるものだと認識している」とブラウンは認めた。
「彼らが自分の利益を考えるような日がすぐにでもやって来るだろう」
しかしブラウンは、そのことに懸念はなく、現在の状況は実際にはチームにとって利益になっていると主張した。
「彼らは現在非常に競争力がある。チームのためにドライブするという本物のエネルギーを彼らの周りに感じる」
「アンドレアと私の強みは、ドライバーの管理にあると感じている。我々はその点で先を行っており、健全な競争力を維持できるようにしていると考えている」
「このふたりほど速くはなくても、ドライビングの経験があると、ドライバー心理と、いつ、どこで、いかに彼らにアプローチするかを理解する際の助けになる思う。適切ではないタイミングでドライバーにアプローチすると、実際に事態が悪化し得ることを私は見てきた。我々はみなF1での経験から、これから列車事故が起きると知ることができる」
イタリアGPでは、ノリスとピアストリはファーストシケインで接触し、チームは早い段階で初めての介入を余儀なくされた。
「初めてにして唯一の接触が起きたモンツァの後、我々は非常に健全な話し合いをした。容易いことだった。それが2回、3回と起きるまで待つことはしなかった」とブラウンは述べた。
「外から見ている印象だと、(他のチームで)事態が悪化しているのに、チームがすぐに介入していないことがあるようだ。こうしたチームの代表たちが何をしているのか正確には分からないが、あそこに座って『今は何とかなりそうだ』とでも思っているのだろう」
今年の夏から秋にかけて見られたマクラーレンのパフォーマンスの劇的な向上が2024年も続けば、ドライバーたちは優勝を争う可能性がある。そうなれば、ドライバーに言葉をかけるブラウンとステラの才能が最大限に試されることになるだろう。
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