2024年11月17日に行なわれたMotoGP最終戦ソリダリティGPの決勝で、ホルヘ・マルティン(プラマック)が最高峰クラスのタイトルを獲得。マルティンがパルクフェルメで喜びを爆発させている中、少し離れて彼を見つめる人物がいたが、その人物こそが今年のタイトル獲得に大きな役割を果たしていた。
チャンピオンとなったマルティンを見つめていた人物の名は、ゼロ・ガソル。スポーツ心理学者だ。ただMotoGPの世界とは繋がりは薄い。2024年のカタルニアGPでパドックを訪れるまではレースを観戦したことがなかったと言えば、どの程度薄かったのかが分かるだろう。
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しかしサッカーの世界でそうした仕事に慣れ親しんでいたガソルは、2024年シーズンのマルティンの落ち着いた走りに対して非常に大きく貢献した。
今シーズンのマルティンは、大きく一貫性を改善しており、全20戦中16回表彰台を獲得。決勝では3勝、スプリントは7勝を挙げた。またノーポイントに終わるレースの少なさも、フランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)との争いを制する上での重要な点だった。
「今年は心理学者のゼロとたくさんの取り組みを行なってきた。彼のおかげで、僕は勝てない恐怖を捨てて、負ける恐怖を抱かずにレースに望んで、勝利の喜びのためにやれるようになった」
チャンピオンとなったマルティンは、そう語った。
そして、彼の父親であるアンヘル・マルティンも「今年のホルヘは継続的に変化してきた。助けが必要な時はそれを求められる環境にあった」と語った。
マルティンの一貫性の改善はライダーから見ても明らかであり、友人でもあるペドロ・アコスタ(GASGAS)も「彼は昨年達成できていなかった、一貫性を手にしている」と語っていた。
なおガソルとマルティンを引き合わせたのは、マネージャーのアルバート・バレラだった。彼はマルティンとの相性を確かめるために食事会をセッティングすると、その後ふたりはビデオ通話などを通じ、絶えずコミュニケーションをとるようになった。
マルティンがこの”黒子に徹することを好む”心理学者をどれだけ頼りにしているかは、トップを走りつつも転倒してしまったドイツGPの時に現れている。マルティンは転倒後ピットへ戻りモーターホームへと入った時、マルティンが最初にかられた衝動は、何が起きたのかを伝えるためにガソルへと連絡をすることだったのだ。
「ホルヘの今年の変化は本当に大きいよ。以前の彼は、明日のことだけしか考えられていなくて、”今”に集中していなかった。でも今はそのポジションにいることがどれだけ恵まれているか自覚している」
マルティンの親友のひとりは、motorsport.comにそう語った。
そしてとある重役はマルティンについてこう述べた。彼もまた、ガソル同様にライダーから主役の座を奪うことを好まない人物だ。
「彼は厳しい時期を過ごしていた。以前は自分自身にとてもプレッシャーをかけてしまっていて、楽しめていなかったのだ。しかし今はそうではないんだ」
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