1月3日、サウジアラビアで開催されているダカールラリー2022は、同国北部の都市ハイルを起点にアル・カイスマフへと進む“ステージ2”が行われ、元WRC世界ラリー選手権9連覇王者のセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム/BRXハンターT1+)がステージ優勝を飾った。
“世界一過酷なレース”とも称されるデザートレースの競技2日目は当初、翌日のステージ3とあわせて外部からのテクニカルサポートを得ることができない“マラソンステージ”として実施される予定だった。
ダカール競技初日:トヨタのアル-アティヤが首位発進。ローブが2番手、アウディ勢は厳しい1日に
しかし、1日夜から2日朝にかけてサウジアラビア北部を襲った嵐によって、ステージ2のフィニッシュ予定地であったアル・アルタウィヤのビバークが浸水してしまう。これを受け、ラリー主催者のASOはマラソンステージのキャンセルを決定。急きょ、ステージ2のフィニッシュ地をアル・カイスマフに変更するとともにリエゾン(移動区間)を延長し、総走行距離791kmのステージとした。なお、スペシャルステージ(SS:競技区間)の全長は変わらず338kmの行程で争われることとなった。
そんな競技2日目のラリーでは、前日に総合2番手につけたローブが早い段階で先頭スタートのナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing/GRダカールハイラックスT1+)に追いつくと、両名はそのままマッチレースを展開する。最後はローブが先行した状態でステージを走破し自身通算15回目のステージ優勝を飾るとともに、ハンターT1+を製作したプロドライブに初のステージ優勝をもたらしている。
「ナッサー(・アル-アティヤ)がとてもプッシュしていたので真のバトルになった」と語ったローブ。
「彼は四輪部門のための道を開いていたが、それでも本当に速かった。僕たちは340km近くをWRCのようにプッシュし続けなければならなかった。エキサイティングだったが、それは本当に速いリズムで大変なものだったよ」
プロローグからのステージ3連勝を目指したアル-アティヤは、ローブから3分28秒遅れての2番手フィニッシュに。総合首位の座はキープしたが、両者の差は9分16秒に縮まった。
ステージ3番手に入ったのはカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ/アウディRS Q e-tron)だ。彼は前日にナビゲーションの問題で大きくタイムを失ったが、この日は首位から5分52秒差でフィニッシュ。また、僚友で2021年大会ウイナーのステファン・ペテランセル(アウディRS Q e-tron)も、ステージ1Bでのクラッシュから復帰し、8分弱の遅れでステージ4番手につけた。同5番手にはローブのチームメイトであるナニ・ロマ(バーレーン・レイド・エクストリーム/BRXハンターT1+)が入っている。
■モンスターエナジー・ホンダのバレーダがステージ優勝
総合順位ではオーバードライブ・トヨタのルシオ・アルバレス(オーバードライブ・ハイラックス)が順位をひとつ上げて3番手に浮上し、総合4番手にTOYOTA GAZOO Racingのジニエル・ド・ヴィリエール(GRダカールハイラックスT1+)が続いた。トップとのギャップはアルバレスが40分53秒、ド・ビリエールは41分22秒だ。
四輪部門・市販車クラスで9連覇を狙うトヨタ・オートボデー勢は競技2日目も三浦昂(トヨタ・ランドクルーザー200)がクラストップタイムをマークし、これにチームメイトのロナルド・バソ(トヨタ・ランドクルーザー200)が続くかたちに。総合では三浦が56番手、バソが58番手につけている。トラック部門・排気量10リットル未満クラス12連覇中の日野チームスガワラの菅原照仁(日野600ハイブリッド)は、前日の部門総合26番手から順位をひとつ上げ同25番手となった。
二輪部門はモンスターエナジー・ホンダのジョアン・バレーダ(ホンダCRF 450ラリー)がステージベストでトップ10入りを果たし、ステージ2番手につけたガスガス・ファクトリー・レーシングのサム・サンダーランド(KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)が総合首位に浮上した。
前日は総合4番手でラリーを終えたモンスターエナジー・ヤマハ・ラリーチームのアドリアン・ファン・ビファレン(ヤマハWR450F)がトップと2分51秒差の総合2番手につけ、プロローグとステージ1Bを連続で制したダニエル・サンダース(ガスガス・ファクトリー・レーシング/KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)は首位から3分29秒遅れの総合3番手となった。
総合13番手で競技2日目を迎えた元MotoGPライダー、ダニロ・ペトルッチ(テック3KTMファクトリー・レーシング/KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)は、115km地点を通過後にメカニカルトラブルに見舞われてストップ。その場での修復は難しく再スタートを切ることができなかったことからダカール・ルーキーの挑戦は開幕から3日目、競技2日目にして競技の上では“事実上の終わり"を迎えることとなった。
競技3日目となる1月4日(火)の“ステージ3”は、アル・カイスマフを出発し同地に戻ってくるステージが再設定された。今大会2度目のループステージとなるステージ4の競技区間は255km、リエゾンを含めた1日の総走行距離は636kmだ。
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