超富裕層のためのグランドツアラー
昔から貧富の差は存在した。エンツォ・フェラーリ氏が開発を進めたフェラーリ500 スーパーファストは、超富裕層のためのグランドツアラーだった。1964年から1966年に、37台が製造されている。
【画像】超富裕層のためのグランドツアラー フェラーリ500 スーパーファスト 同時期の250とディーノ 現行の812も 全108枚
当時で1万1518ポンドという驚くほどの金額は、欲しいと思わせる1つの要因になった。コストより、ステータスを重視する人へ響いたといえる。
主な市場は、道路が広くガソリンの安いアメリカ。大排気量エンジンを搭載する、フェラーリの少量生産モデルの節目を刻んだ。
フェラーリは「スーパー」という呼称を、1956年のイタリア・トリノ・モーターショーで発表された、410 スーパーアメリカで始めて使用している。1950年代初頭の340 アメリカや375 アメリカが、そのベースになっていた。
410 スーパーアメリカは、1956年から1959年にかけてシリーズIからシリーズIIIまで提供され、カロッツェリアによる多彩なボディが与えられた。ピニンファリーナの割合が多かったが。
フロント・サスペンションには、まだ新技術といえたコイルスプリングが採用された。エンジンは、技術者のアウレリオ・ランプレディ氏が設計を手掛けた、4692cc V型12気筒。ロングブロックで固定シリンダーヘッドの、ティーポ126ユニットだ。
このユニットは、フェラーリの大排気量グランドツアラーへ繰り返し登用されてきた。しかし、1959年にバトンタッチした400 スーパーアメリカには、ジョアッキーノ・コロンボ氏による3967ccのティーポ163ユニットが搭載されている。
優雅な落ち着きを漂わすハンドビルドのボディ
400 スーパーアメリカのボディは、ピニンファリーナ社がすべて手掛けた。創業者のバッティスタ・ファリーナ氏は、空気抵抗を意識した「エアロディナミコ」というスタイリングのアイデアを、その後のスーパーファストへ向けて洗練させていった。
フェラーリは、ショーモデルを含む48台の400 スーパーアメリカを生産し、満足のゆく成功を掴んだ。主力の量産モデルを数100台というペースで提供し始める中で、エンツォはコーチビルド・モデルの需要もまだ高いと感じたようだ。
次期型となるプロトタイプの500 スーパーファストがお披露目されたのは、1964年のスイス・ジュネーブ・モーターショー。メタリックブルーに塗られた2シーターボディには、400 スーパーアメリカの名残があったものの、新鮮な要素も多かった。
テール周りは落ち着いたカーブでまとめられ、カウルの付かないシングル・ヘッドライトがフロントノーズを引き締めた。滑らかなボディサイドには余計な装飾がなく、優雅な落ち着きを漂わせていた。
すべての500 スーパーファストのボディは、個々の注文を受けてから、ピニンファリーナ社の工場で職人が生み出した。だが、特別な要望に合わせたスタイリングの変更は施されなかった。
エアコンやヒーター内臓のリアガラスなど、オプションは複数用意された。丁寧な作業でラインオフまでに4か月を要することは珍しくなく、長い場合は半年へ伸びたという。
最高出力は365ps以上 最高速度は273km/h以上
美しいハンドビルド・ボディは、保守的なシャシーに支えられた。フェラーリ275 GTBのようなトランスアクスル・レイアウトや独立懸架式サスペンションは採用されず、リアにはリジッドアクスルが組まれた。
シャシーは、楕円パイプが電気溶接されたチューブラーフレーム。基本的に1963年の330 GTと同一といえた。
トランスミッションは、オーバードライブ付きの4速マニュアル。ブレーキはツイン回路とサーボを備えたダンロップ社製ディスクで、15インチ7Jのボラーニ社製ワイヤーホイールが履かされた。トレッドは、330 GTより広い。
500 スーパーファストのエンジンは、ランプレディ・ユニットとコロンボ・ユニットの融合版といえるもの。シリンダーヘッドは別体となり、ボア間隔は108mm。吸気ポートは12本並んだ。モデル名の500は、シリンダーの容量を切り上げたものだ。
バンク角は60度。排気量は4962ccで、ティーポ208と名付けられ、最高出力は365psから405psが主張された。最高速度は適切なギア比で273km/h以上に届くとされ、同社の歴代最速グランドツアラーに相応しい数字だったが、公式には確認されていない。
少なくとも、ステータスを重んじる富裕層へ訴えるには、充分な性能だった。パンフレットでは、指導者や実業家、芸能人などへ向けたモデルだとうたわれた。
イランの皇帝やイスラム教の指導者なども購入しているが、29台の左ハンドル車の内、12台が北米へ渡っている。英国でも欲する人は比較的多かった。1万1518ポンドのフェラーリには、確かな魅力が備わっていた。
最後にラインオフした右ハンドルのシリーズII
ちなみに、フェラーリ275 LMも同じ価格だった。この予算があれば、275 GTBを2台購入できたほか、ロールス・ロイス・ファントムV ツーリング・リムジンをガレージに収めても、お釣りが残ったほど。ジャガーは、2000ポンドしなかった。
合計で37台の500 スーパーファストが完成しているが、英国向けの右ハンドル車は8台。左ハンドル車も2台輸入された。ドイツには、ジュネーブ・モーターショーのプロトタイプを含む2台が、ギリシャとベルギー、フランスには1台づつ納入されている。
1965年に25台目のシリーズIが完成した時点で、シリーズIIへアップデート。最新仕様の330 GTと、技術互換性を高める目的があった。
スタイリングでは、フロントフェンダーのエアアウトレットの処理がシリーズIと異なる。また、5速マニュアルが組まれ、ブレーキとクラッチペダルがフロアヒンジ式から吊り下げ式へ変更されている。
今回ご紹介する500 スーパーファストも、シャシー番号8897SFのシリーズII。エアコンとパワーステアリングのオプションを備え、マラネロの工場を最後にラインオフした車両となる。
1966年8月に英国のフェラーリ代理店へ届けられ、その後サミュエルズ氏という人物が1万1637ポンドで購入している。ジャガーEタイプを下取りに出して。
彼はベージュのレザー内装と、ヒーター付きのリアガラスを追加で希望した。リアのパーセルシェルフは内装と同じレザーで仕上げられ、燃料のカットオフスイッチとドアミラーが与えられ、運転席の座面が若干持ち上げられた。
この続きは、フェラーリ500 スーパーファスト 超富裕層のためのグランドツアラー(2)にて。
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みんなのコメント
そもそもが公道を走ることができるレーシングカーなので現代においてもレーシングカーのようなセッティングがなされています
その最たるものがフロントアクスルのネガティブキャンバーですがこれもサーキットでの旋回性能を考慮してセッティングされています
そのため30メートルほどの速度ではアンダーにおさまりますが40メートルを超えるあたりから徐々に
ステアリング特性が不安定になっていきます
レーサーほどの腕前であれば大丈夫ですが一般のドライバーにはかなりエキセントリックに感じるはずです
現代では85メートルを超すほどのスペックも持ち合わせてはいるのですが
85メートルをだせる性能と
85メートルでクルージングできる性能とは
全くの別次元なのです
結局のところは街中で注目されるのみなのです