現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 啼石伝説が残る「隠尾城」 日差しを浴びる苔の石垣に目を奪われた バイクで往く城跡巡り

ここから本文です

啼石伝説が残る「隠尾城」 日差しを浴びる苔の石垣に目を奪われた バイクで往く城跡巡り

掲載 1
啼石伝説が残る「隠尾城」 日差しを浴びる苔の石垣に目を奪われた バイクで往く城跡巡り

 富山県西部の砺波市(となみし)エリアで城跡を探していたところ、気になる場所を見つけスーパーカブで訪ねてみました。その名も「隠尾館跡(かくりょうやかたあと)」です。上杉謙信(うえすぎけんしん)に攻め込まれ、悲運の最後を遂げたとも伝えられているその館跡には、苔の生えた石垣が残っています。

「この光景、どこかで観た感じがするゾ……」と思ったら、映画『天空の城ラピュタ』でした。天空にそびえるわけではありませんが、人の手によって置かれ、長年不動だったであろう数々の石には苔が生えていて、なぜか映画のメインキャラクター、パズーとシータがたどり着いた場所と、そこに現れるロボットを思い出したのでした。

ホンダ「スーパーカブ125」最新モデル! わずか1.5Lの燃料で100km走行できる新エンジン搭載

 往時の人々の息吹を感じさせ、なんとも言えない荘厳な気分になる「隠尾館跡」は、砺波市庄川町の隠尾集落にあリます。城跡から200mほど離れた「隠尾八幡宮」に到着すると、地元の方が道を整備していました。訪ねると「この先を進めばすぐに見つかるよ」、「スーパーカブなら余裕で行けるよ」と丁寧に教えていただき、安心して先へ進みます。

 すぐに城址碑と説明板が見つかり、どうやらこの位置が「隠尾城」の主郭前のようです。説明板によると次の通りです。

・永禄3年(1560年)、上杉謙信は椎名氏を援助し富山城を攻め、さらに増山城(ますやまじょう)に逃れた神保氏を追撃して五ヶ山に敗走させた。

・この時の戦渦に巻き込まれたのが隠尾城主、南部源左衛門尚吉(なんぶげんざえもんなおよし)と言われている。鉢伏山の合戦は、その場所が秘境でもあり、資料が隠蔽されていたため諸書に見当たらない。

・館跡の規模は南北29m、東西21mの台地からなり、北側を除く三方が深い谷という天然の要害となっている。台地に沿って池となっているところが堀跡で、南側崖下20mのところに籠城用の飲料水にしたという湧水(城清水)の跡がある。

・詰めの城があった鉢伏山付近は、近年放牧場に開墾された際、土饅頭など無数の塚が発見された。

 地元の記録によると、城主の尚吉は謙信の大軍に攻められ、最後は自ら城に火を放ち、壮烈な討ち死にをしたそうです。

 現在、隠尾集落は廃村となっていますが、尚吉は戦死する前に子息を山中に隠れさせていたようで、その後南部家の子孫が城跡の脇に館を構えたとのこと。屋敷はすでに崩れてしまっていますが、その痕跡は残っています。

 主郭に登ると、中央には不思議な形をした石がありました。啼石(なきいし)と呼ばれるこの石は、城主の尚吉の悲運を泣き続けたという伝説が残っています。池の跡や堀の痕跡を眺めていると、日差しに照らされた石垣の苔が光っています。

 山城を訪れると無常観に浸ることが多いのですが、かつての「隠尾城」はとくにその感が強い城跡でした。そっと眺めて、静かに山を降りました。

関連タグ

こんな記事も読まれています

V12エンジン復活!! 最高速345km/hの大排気量5.2L! 年間生産台数たったの1000台のみ[ヴァンキッシュ]登場
V12エンジン復活!! 最高速345km/hの大排気量5.2L! 年間生産台数たったの1000台のみ[ヴァンキッシュ]登場
ベストカーWeb
【ROYAL ENFIELD】の新型「BEAR 650」を案内!“ヤンチャな走り”対応の60年代風スクランブラーなのだ  
【ROYAL ENFIELD】の新型「BEAR 650」を案内!“ヤンチャな走り”対応の60年代風スクランブラーなのだ  
モーサイ
「車線減少の手前で抜かされそうになり、負けじと加速したら鳴らされました。私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「どっちもどっち」「いちいち喧嘩売るなよ」の声も…実際法律では誰が悪いのか
「車線減少の手前で抜かされそうになり、負けじと加速したら鳴らされました。私が悪いんですか?」投稿に回答殺到!?「どっちもどっち」「いちいち喧嘩売るなよ」の声も…実際法律では誰が悪いのか
くるまのニュース
スズキ、移動販売の支援アプリ「シュッパ」の提供開始 出店計画やレジ操作などを容易に
スズキ、移動販売の支援アプリ「シュッパ」の提供開始 出店計画やレジ操作などを容易に
日刊自動車新聞
【感動の動画】泥だらけのヴィンテージメルセデス、大洪水をほぼ無傷で生き延びた「メルセデスW123」の感動のストーリー
【感動の動画】泥だらけのヴィンテージメルセデス、大洪水をほぼ無傷で生き延びた「メルセデスW123」の感動のストーリー
AutoBild Japan
“夜行寝台バス”は本当に成功するのか? 国交省「座席フルフラット化」が直面する3つの深刻課題とは
“夜行寝台バス”は本当に成功するのか? 国交省「座席フルフラット化」が直面する3つの深刻課題とは
Merkmal
最上のおもてなしに、さらなるラグジュアリーをもたらす! ザ・ペニンシュラ香港に「ベントレー・ベンテイガEWB アズール」が登場
最上のおもてなしに、さらなるラグジュアリーをもたらす! ザ・ペニンシュラ香港に「ベントレー・ベンテイガEWB アズール」が登場
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ新型「クラウン“ワゴン”」いつ登場? 初公開から2年経過もなぜ未発売? 「なかなか発売されないクルマ」が増えたワケとは
トヨタ新型「クラウン“ワゴン”」いつ登場? 初公開から2年経過もなぜ未発売? 「なかなか発売されないクルマ」が増えたワケとは
くるまのニュース
KTM『890 アドベンチャー R』2025年モデル発表、新デザイン&新サスペンションで走破性向上
KTM『890 アドベンチャー R』2025年モデル発表、新デザイン&新サスペンションで走破性向上
レスポンス
生活を豊かにする灯り「アンビエンテックのポータブル照明」【Style in motion #191】
生活を豊かにする灯り「アンビエンテックのポータブル照明」【Style in motion #191】
LE VOLANT CARSMEET WEB
岡山・真庭に伝説のマシンが集結!MHヒルクライム/真庭速祭
岡山・真庭に伝説のマシンが集結!MHヒルクライム/真庭速祭
旧車王
CIEL のバイク用インカムの新製品「T20 Plus/プラス」が登場! さらにお求めやすい価格に
CIEL のバイク用インカムの新製品「T20 Plus/プラス」が登場! さらにお求めやすい価格に
バイクブロス
5年ぶりにレースウイークに実施へ。IMSA、開幕戦デイトナ24時間の予選スケジュールを変更
5年ぶりにレースウイークに実施へ。IMSA、開幕戦デイトナ24時間の予選スケジュールを変更
AUTOSPORT web
ホンダ「NSX/NSX-R」が大人向けトミカから登場。エンジンフード開閉ギミックに惚れた!
ホンダ「NSX/NSX-R」が大人向けトミカから登場。エンジンフード開閉ギミックに惚れた!
くるくら
新型「4ドア“GT”クーペ」初公開! 丸目4灯×6速MTのみの「現代版“ケンメリ”」!? レトロ顔の和製スポーツマシン「エムダブルファイブ」100台“限定”で発売へ
新型「4ドア“GT”クーペ」初公開! 丸目4灯×6速MTのみの「現代版“ケンメリ”」!? レトロ顔の和製スポーツマシン「エムダブルファイブ」100台“限定”で発売へ
くるまのニュース
カツカレー&メンチカツ 東名高速「港北PA」でダブルカツを堪能
カツカレー&メンチカツ 東名高速「港北PA」でダブルカツを堪能
バイクのニュース
ペレスの挽回を評価も「マクラーレンからもっと点を奪いたかった」と代表。去就は最終戦後に決めるとマルコが改めて明言
ペレスの挽回を評価も「マクラーレンからもっと点を奪いたかった」と代表。去就は最終戦後に決めるとマルコが改めて明言
AUTOSPORT web
[15秒でわかる]日産『パトロール』新型…新エンジンは出力と燃費を同時に向上
[15秒でわかる]日産『パトロール』新型…新エンジンは出力と燃費を同時に向上
レスポンス

みんなのコメント

1件
  • きれいな写真、きれいなカブ。こんな風情もいいもんだ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村