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【いすゞ・ジェミニにも展開】ヴォグゾール・ビバ(オペル・カデット) 英国版クラシック・ガイド 前編

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【いすゞ・ジェミニにも展開】ヴォグゾール・ビバ(オペル・カデット) 英国版クラシック・ガイド 前編

ヴォグゾールの小型サルーンの足がかり

text:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)

【画像】英国オペル ヴォグゾールの名車 ビバとロータス・カールトン 全41枚

photo:James Mann(ジェームズ・マン)

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
HA型と呼ばれる英国オペル、ヴォグゾールの初代ビバは、1963年当時の1Lエンジン・モデルとしてはボディサイズにゆとりがあった。乗り心地と仕上げ品質は褒められなかったものの、燃費や動力性能に不足もなかった。

ラック&ピニオン式のステアリングは軽く、MTには変速しやすくするシンクロメッシュを採用。荷室は広く、実用性にも長けていた。ヴォグゾールとして初のコンパクトサルーン市場への進出に、確かな足がかりを作ったモデルだった。

初代の成功を受け、2代目や3代目への進化ではボディサイズが拡大。特に2代目のビバHBは完全に新設計と呼べる内容となり、新規のボディシェルとサスペンションを獲得。100mmほど長いホイールベースで、全長は約150mmも伸びている。

ボディの中央がくびれたコークボトル・ラインと呼ばれるスタイリングが与えられ、インテリアの質感も大きく引き上げられていた。静かで滑らかな後輪駆動でもあり、ドライバーズカーと呼べるヴォグゾールだった。

素晴らしいツーリングカーとして評価されたのは、車重1t程度と軽量なボディに2.0Lのオーバーヘッドカム・エンジンを載せたビバGT。3代目HCのGTでは、最高速度は159km/h。0-97km/h加速は11秒を切り、当時としては俊足と呼べるものだった。

現在でもHC GTや2300 SLは人気が高い。またブラバムやクレイフォード・コンバーチブル、ローレンスチューンGTなど、特別仕様のビバも提供され、こちらは強気な取引価格が付いている。

150万台以上が売れていても今は希少

3代目のビバHCは、2代目HBの大幅アップデート版。車内空間の拡大や質感の向上で、高評価を集めている。ホイールベースは約40mm、全長は約50mm伸び、車重増で悪化した動的性能を補うために、より大きなエンジンが選ばれた。

ちなみに0-97km/h加速の時間で見ると、HAより1秒ほどHCの方が遅く、最高速度は同じだった。それでも、当時の同等のクルマと比べればHC型も充分に軽量。運転しやすく操縦性に優れ、広い車内が手に入る出色の選択肢といえた。

実際、ビバは良く売れた。しかし今日では、高性能なグレードのビバの人気は高いものの、レストア費用をカバーできるだけの取引価格は付いていない。

錆びやすいうえ中古車価格も伸びず、150万台以上が製造されていながら、英国に現存するのは数100台程度にまで減っている。それを受けてか、近年になって価格が上昇し始めている。

状態の良いビバHBは、小気味いいエンジンで運転が楽しい。設計に優れたリア・アスクルに、コイルスプリングが支えるがダブルウイッシュボーン式のフロント・サスペンションが与えられ、ハンドリングも良い。

もし購入するなら事前に試乗し、走りにたるみがないか確かめたい。ビバが人気だった頃は、エンジンやサスペンション、トランスミッションなどはスポーティさを求めて改造されていた。その内容にも気をつけたい。

ベースモデルのビバは、今の基準では速くはない。経済性を重視したファミリーカーだったのだから。

オーナーの意見を聞いてみる

「ヴォグゾール・ビバはずっと前から好きでした。初めてのマイカーはビバのHB。40年ほど前です」。と話すのは、今回取材した赤いビバHBのオーナー、クリス・スワロー。

「1966年式でしたが、時代を先取りしていました。12年前にビバHBのGTを発見し、レストアしました。この赤いSL 90はオーナーになってから6年くらい。レストアが終わったばかりです」

「自宅で全塗装をしたのですが、思ったより上手に仕上がりましたね。フェンダーパネルは入手が難しく、保護のためにプラスティック製のインナーライナーを追加しています」

「部品は出てきにくく、特にSLグレードの内装トリムは見つかりません。シートの状態が悪かったので、ヴォグゾール系のクルマということでオペル・アストラのものに載せ替えました。現代的で快適です」

「ビバHCも所有しています。1256ccのデラックスで、近所の移動用に乗っています。サビが進んでいますが、ラットルックということでそのまま。修理にコストをかけても、そこまでの価値は見込めないので」

「GTの方は、オーバードライブ付きのMTと2.3Lエンジンに載せ替えました。とても良く走りますよ」

英国で掘り出し物を発見

ヴォグゾール・ビバHB 1600 SL

登録:1970年 走行:13万6700km 価格:3250ポンド(48万円)

英国で現存する4ドアのHB 1600 SLは2台しかないようだが、その1台。いかに貴重かがわかる。売り手によれば、走りながらレストアを続けてきたということで、基本的に状態は良さそう。

ドアの下部やリアガラスの付け根付近に塗装の浮きが見られるが、構造はしっかりしているという。ウルフレース社製の13インチ・アルミホイールを履き、見た目も良い。ダンパーは交換してあり、クラッチやブレーキのオーバーホールも近年実施済み。

ヴォグゾール・ビバHB SL

登録:1970年 走行:5万6300km 価格:4150ポンド(62万円)

とにかく状態の良いビバを探しているのなら、この2ドアのSLは一見の価値がありそうだ。ベースの1.2Lエンジンを搭載し、メンテナンス記録もしっかり残っている。

オルタネーターやクラッチ、マフラーの交換のほか、全塗装も2017年に実施済み。レアな初期の登録時からのナンバーを付け、予備の部品取り車も付いているという。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

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みんなのコメント

2件
  • いすゞジェミニに展開したのは、ビバのいっこ後のシェベット(GM・Tカー)よ。間違えないように。
  • 1970年代の後半、場所はヴォグゾールの本場イギリスに短期英語研修に参加。下宿していた英国人が写真と同じような車を運転していた。時代も合うし。
    一番の驚愕は、ある春の日、リアバンパーの裏からだったかな、クランク棒を持ち出してエンジンをかけたこと。多分バッテリー上がりだったのかな。クランク棒を使うのを、通常の生活の中で見たのは、後にも先にもこれ一回だけ。そんな棒が車の備品としてついているというのも驚きだった。クランク棒を通す空間がその車には確保されていたということですよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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