どんなクルマ? 悪路走破性は注目
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】新型GLAとGLB AクラスとBクラスとCLA【ベンツのコンパクトを比較】 全206枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
本国発表ではGLBクラスから5か月遅れでGLAクラスが登場するが、日本では先の6月に両モデル同時発売となった。
興味深いのは導入仕様である。
GLBクラスの日本仕様はFF+ディーゼル車と、4WD+ガソリン・ターボ車の構成。だが、GLAクラスは4WDのディーゼル車のみの設定(AMGを除く)。
両モデルとも欧州に比べて随分と導入仕様を絞り込み、ディーゼル+4WDなら「GLA 200 d」という具合にパワートレイン、駆動方式、キャビンの3要素のうち2つの組み合わせで半ば自動的に車種が決定してしまう。
今後導入仕様が増える可能性もあるが、GLA&GLBクラスが補完し合うような構成である。
もう1つベンツGLAクラスを4WD車のみとした理由を深読みするなら、先代(初代)から向上したオフロード適性がある。
先代の最低地上高は150mmだったが、新型はGLBクラスと同じ202mm(同社測定値)。オンロードスポーツ志向のAMGライン装着車でも179mmを確保し、雰囲気のSUVだった先代に対して使えるSUVに方針展開したと考えていい。
4WD車の普及事情の違いか、日本ではあまり大きく採り上げていないが、欧州の同車サイトではオフロードを走りの特徴としてアピール。
キャビンユーティリティも含めて、実践力のあるコンパクトSUVなのだ。
どんな感じ? 内装は?
“Bクラスから発展したSUVがGLBクラス”なら、GLAクラスはAクラスから発展となって然るべき。
確かに車種構成上はそうなのだが、GLAクラスもBクラスから発展したように思えてならない。その理由はキャビン設計である。
Aクラスはルーフ低く標準的ウインドウ、Bクラスはルーフ高く6ライトウインドウ。
新型GLAクラスは、サイドウインドウ上下開口幅は両モデルの中間で、6ライトウインドウを採用。見た目の印象はBクラスに近い。
乗り込んで見てもその印象は変わらない。
天井の圧迫感が少なく見晴らしのいいウインドウグラフィックを採用しているため、Aクラスより開放感が向上。
とくに後席でその違いは大きい。
後席/荷室の実用性
リアシートはヘッドルームやニークリアランスも多少ながら拡大され、Bクラスに近い居心地を実現している。
実際はGLBクラスがさらに高いキャビンユーティリティを求めて開発されたが、このクルマがGLBクラスと銘打っても可笑しくないくらいだ。
荷室容量はAクラスよりも一回り大きく、Bクラスと同等。
40:20:40の3分割シングルフォールディングの後席収納は共通しているが、GLAは後席にもスライド機構が備わり、居住スペースをちょっと詰めて後席使用時の荷室の按配を付けられるのも長所。
ハンズフリーのパワーテールゲートも標準装備して、タウン&ファミリー用途の使い勝手に前向き。
SUVではあるが、汎用的上級コンパクトと同等以上の実用性を備えている。
山へ ディーゼルが上質な味わい
搭載されるパワートレインは「B 200 d」と同型同スペック。
150kg以上重い車重にどうかな、と思っていたのだが、流石にトルクフルなターボ・ディーゼルである。
勾配のきつい連続登坂でも平地巡航時より1段低いギアで済ませる。だいたいが2000rpm台なので、ちょっと回し気味程度の感覚だ。
加速ではそこからさらに1段下げるが、それでも回して3000rpm前後。細かく繋ぐ8速DCTのお陰でもあるが、俊足とまでは言えなくても悠々としたツーリングを楽しむには十分。
回転を抑えて力強く、というタイプなので威圧的な騒音もない。
MB車のSUVラインナップではエントリーに位置するモデルでも、車格以上のプレミアム性を感じさせてくれるパワーフィールである。
ハンドリング/高速道路も試す
路面の凹凸に多少神経質な部分もあるが、FF系4WD車にしては沈み込みストロークも上手に使うため、硬めなりに乗り心地も悪くない。
しなやかさでは同時に試乗したGLB 250(4WD)に分があるが、好意的に解釈するならGLAらしいヤング&カジュアルな味わいともいえる。
ハンドリングの特性は、他のMB車同様に高速安定性と運転ストレス低減に徹底したタイプ。
下り勾配高速コーナリングでの安心感は群を抜いている。
もっとも、ハイアベを維持しやすいという面では高性能志向だが、打てば響くようなファントゥドライブはなく、走りにのめったマニアにはつまらなく思えるかもしれない。
安心の地力に先進の運転支援で“気軽に長距離”が身上の走りなのだ。
「買い」か?
国産車ならトヨタRAV4 PHVも楽に手が届く価格であり、実用性や悪路踏破性のコスパだけで選ぶには厳しいが、輸入プレミアムSUVではかなり競争力のある値付けである。
同価格帯の輸入SUVにはBMW X2 xドライブ 18d系やアウディQ3 35 TDIクワトロ系など走り自慢の有力ライバル車もあり、いずれも個性と実用性のバランスがよく、好ライバル関係と言える。
そういった欧州競合車との比較ではユーザーの嗜好が大きく影響するが、どちらかと言えばGLAクラスが手堅い選択。
車載ITや運転支援、強化されてクラストップレベルとなった悪路対応力など、コンパクトSUVに求められる様々な用途を全方位的に高水準でまとめている。
そのすべてを求めるユーザーが多数派とは思えないが、無難あるいは安心という点では大きな強味である。
手堅くて面白みに欠く、という言い方もできるのだが、生活やレジャーで長く付き合うにはそのくらいで丁度いいと考えるなら最適な一車と言えるだろう。
メルセデス・ベンツ新型GLA スペック
メルセデス・ベンツGLA 200 d 4マティック(AMGライン装着車)
車両本体価格:502万円(AMGラインOP:+28万円)
全長:4440mm
全幅:1850mm
全高:1605mm
最低地上高:179mm(AMGライン非装着車:202mm)
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:16.5km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1730kg
パワートレイン:直列4気筒1949ccディーゼル・ターボ
使用燃料:軽油
最高出力:150ps/3400-4400rpm
最大トルク:32.6kg-m/1400-3200rpm
ギアボックス:8速DCT
乗車定員:5名
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みんなのコメント
選択肢の一つで、GLAにも試乗したが、SUVやミニバンの短所、高速走行のフラフラ感はハッチバックに比べると雲泥の差。
悩む。