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【本当に大丈夫?】オペルの日本再上陸 浮かぶ4つの疑問 求められる正攻法の事業戦略

掲載 更新 47
【本当に大丈夫?】オペルの日本再上陸 浮かぶ4つの疑問 求められる正攻法の事業戦略

オペル、日本に再上陸 なぜ2021年なのか?

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】日本で販売される3車種のオペル そのライバル【比べる】 全124枚

ドイツの自動車ブランド、オペルが2021年に日本再上陸。

正規輸入としては、15年ぶりとなることで、ネットメディアを主体に大きな話題となっている。

一方、オペルというブランドが本当に日本に根付くのかについて、疑問視する声もネット上には数多く見受けられる。

本国ドイツでオペルに関する様々な取材体験をもとに、筆者(桃田健史)としての私見を述べたい。

第一の疑問。「なぜ、このタイミングなのか?」である。

最大の理由は、オペルブランドを統括するグループPSA(プジョー・シトロエン)の海外戦略の一環として「この時期になってしまう」ということだ。

グループPSAは2017年にGMから買収したオペルで、商品企画/設計/開発/部品購買/製造/販売/マーケティングなど自動車メーカーとしての事業を根本的に見直した。

買収時の企業としての状況が悪ければ悪いほど、見直し効果は目立つ。いわゆる、V字回復である。

まずは、オペルの主戦場である欧州市場での販売を強化し、シェア17%まで引き上げることに成功した。

次に狙うのは当然、海外市場だ。2020年半ばまでに、世界販売台数の10%を欧州以外とする目標を立てている。

そうしたなかで中国、アメリカに次ぐ世界第3位の日本史上に再上陸となるのは当然だ。裏を返せば、日本はその他大勢のひとつに過ぎない。

PSAのプチ成功体験、裏目に出ないか?

グループPSAとして、日本市場での近年の実績は確実に上昇している。2019年には過去5年間で年間販売台数はほぼ2倍となる1万6000台となった。

2019年末には、ミニバンのシトロエン「ベルランゴ」がネット販売が開始5時間半で完売したことが記憶に新しい。

「ベルランゴ」の兄弟車、プジョー「リフター」も根強い人気がある。

こうしたグループPSAの、日本市場におけるプチ成功体験を、オペルで焼き直すことが極めて難しいと思う。これが第二の疑問だ。

理由は単純で、シトロエンやプジョーなどのマイナーブランドがプチブームになっているのは、日本人にとって「普段ではあまり馴染みのないフランス車」だからだ。

さらに言えば、フランスには高級車ブランドが事実上、存在していない。

つまり、シトロエンやプジョーが「格下」という位置付けにならない。グループPSAにはDSブランドがあるが、日本では知名度が極めて低いことが、シトロエン/プジョーのブランドのポジショニングを結果的に助けている。

このような状況を鑑みると、オペルはメルセデス・ベンツ、BMW、アウディの「格下」というドイツ車ヒエラルキーから、結局抜け出せない。

さらに、日本市場ではドイツ市場主義、および最近のマイナー系躍進というトレンドの谷間に、オペルは位置している。

フォード/VWが競合=括りがわかりにくい

今回の日本市場再上陸の記者会見で、グループPSA側が、ドイツなど欧州では、オペルのライバルはフォードとフォルクスワーゲンであり、顧客はその3ブランドを回っているイメージ、と説明している。

こうした状況を、日本で理解することは極めて難しい。これが第三の疑問である。

VWとの比較は、なんとなくわかると思うが、問題は、日本市場から撤退したフォードだ。

この場合、欧州フォードを指し、実態はドイツ・フォードだ。フォードはアメリカ企業であり、北米市場でのビジネスはピックアップトラックのFシリーズがメイン。

乗用車の開発についてはドイツ主体という流れがある。こうした米独フォードの振り分けに、日本人は馴染みがない。

そのため、オペルのライバルは、フォードを抜きにして、VWとなる。

だが、一般的な日本人は、オペルはVWより「格下」と見ている印象がある。

まあ、15年ぶりの日本再上陸となれば、オペルブランドをまったく知らない人は当然多く、またはGM時代当時に日本版オペルに全く興味がなかった人も大勢いる。

そうした中で、日本におけるオペルブランドの再構築が必然となるのだが、いまのところ、オペルサイドの推しはけっして強くない。

2021年再上陸に向けて、どのような仕掛けが待っているのか?

リセールバリューを改善できるのか?

4つ目の疑問は、リセールバリュー(下取り価格)のコントロールだ。

新車販売台数を伸ばすために、最も重要な対策は、リセールバリューの引き上げだ。これによって、新車時の値引き額が抑えされ、ディーラーの収益が改善する。

具体的な対策としては、認定中古車を確実に増やして、クオリティの高い年式の新しい中古車をしっかりと新しい顧客に提供できるエコシステムを構築することにある。

現状、輸入車で認定中古車戦略が成功しているのは、数千万円級の超高級車ブランドが多い。

グループPSAとしては、近年のシトロエン、プジョーの新車販売好調を受けて、リセールバリューのコントロールに伴う、ディーラーの整備、販売、接客などの基本業務の改善を進めてきた。

オペルブランドとしても、こうした正攻法でのディーラー網改善は最低条件だと思う。

そのうえで、前述のような「日本でのオペルブランド構築の難しさ」を逆手に取るような、思い切った事業戦略が求められる。

周知の通り、日本での輸入車ディーラーがおかれている状況は近年、大きく変化している。

そうしたなかで、「新生オペルを扱って本当に良かった」とディーラーが心底喜び、その気持ちがユーザーに直結するような、オペルならではの日本市場戦略に期待したい。

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みんなのコメント

47件
  • 国産車とこれまでのその他欧州車との間にハマれば活路を見出せるんじゃないの?
  • わざわざオペルを選ぶ理由がまったく思い浮かばない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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