現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新米マネージャー K-TAI参戦レポート。小さな試練が続く、まさに障害物競争!

ここから本文です

新米マネージャー K-TAI参戦レポート。小さな試練が続く、まさに障害物競争!

掲載 更新 1
新米マネージャー K-TAI参戦レポート。小さな試練が続く、まさに障害物競争!

当Webモーターマガジンの「ドライブグルメ」や試乗レポートなどを手がける鈴木ケンイチ氏が、「もてぎKART耐久フェスティバル “K-TAI”」レースで、初めてチームマネージャー(事務局長)を務めた。ドライバーとは違う、新米マネージャーの参戦レポートをお届けする。(文:鈴木ケンイチ)

真夏の「もてぎ」本コースをカートで7時間も走る!
「もてぎKART耐久フェスティバル “K-TAI”」は、通称K-TAIと呼ばれるレーシングカートの耐久レースです。年に一度、夏場の開催で、2023年は7月16日に本戦となりました。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

使われるマシンは、単気筒の4ストロークエンジン「ホンダGX270」(遠心クラッチ付き)などを搭載するもの。いわゆるレンタルカートに使われているものと、ほぼ同じです。そのマシンを使って、モビリティリゾートもてぎロードコースを7時間走ります。ロードコースとは、スーパーフォーミュラやスーパーGTが走る、1周4.8kmの本コース。レンタルカートと一緒といっても、下り坂のロングストレートでは120km/h近い速度が出ます。そう、スピードレンジは驚くほど高いのです。

他のレースと比べると、車両にお金がかからないのにスピード感は抜群。それでいて、嫌になるほどたっぷりと長く走れる! ということでK-TAIは非常に人気が高く、23回目の開催となった2023年度は99台ものマシンがスタートラインに並びました。

そんな人気レースに挑んだのが、われら「クラブレーシング」です。こちらは、ざっくり言えば自動車メディアの人間によるチーム。2001年から前身となるチームで活動をスタートして、K-TAIにも2007年から参戦し続けています。2023年は3台のマシンを用意しての参戦となるため、ドライバーが15名前後で、スタッフをあわせると50名前後のチーム規模となります。

マネージャーの最初の仕事はスポンサーへの挨拶
そんなレース&チームに、不肖・鈴木が2023年よりマネージャーを務めることとなったのです。2022年まではドライバーとしてチームに参加していましたが、代表の代替わりにあわせた体制一新で、マネージャーに抜擢されました。ちなみにチームは有志の集まり。つまり仕事ではありません。お友達同士が声を掛け合って一緒にレースを楽しんでいるというスタイルです。ですから、事務局と言ってもオフィスがあるわけではありません。当然、マニュアルみたいなものもありません。チームの古株の人に何をするのかをひとつずつ教えてもらいながら、まさに手探りでの1年目となったのです。

びっくりしたのは、始動の早さです。レースは7月なのに、なんと1月から打合せとスポンサーへの挨拶まわりが始まります。有志チームとはいえ、部品やタイヤ、燃料費、エントリーフィー、メカニックへの謝礼など、それなりにお金がかかります。それをカバーするためにスポンサーの存在は欠かせないというわけです。ちなみに、スポンサーへの挨拶など個人的には初めて。かなり緊張して赴きましたが、どこも非常に親切かつ友好的。チームを援助してくれるスポンサーって本当にありがたい存在だなと、しみじみと実感できる挨拶まわりとなりました。

同業の若い人たちに声をかけまくる!
そんなスポンサー活動と並行して行われたのがチーム編成です。つまり、走ってもらうドライバー探しです。レンタルカートと同じ車体とはいえ、スピードの高い本コースを走るのですから危険もあります。ちゃんと練習しないといけませんし、ヘルメットやスーツも本格的なものが必要です。交通費だってバカになりませんし、レースの前日はホテルに宿泊します。時間もお金もかかります。

しかも接待イベントではなく、お友達チームですからチームのために働いてもらう必要もあります。「週末にレンタルカートで遊ぼう」ではなく、「本格レースに参戦する」という自覚を持って、練習やチームへの貢献が求められます。そうした、諸条件を理解した上で、参加を募りました。

また、クラブレーシングは「若い自動車メディアに関わる人間に、モータースポーツの楽しさを知ってもらう」という方針もありました。メディアの後輩に本格レースを体験してもらうという狙いです。ですから、なるべく若く、そしてモータースポーツの経験のない人を中心に声をかけていきました。

その結果、ドライバー16名が決定。若い人たちに声をかけまくった甲斐もあり、なんと3分の2が10~30代ということに。自動車メディアの高齢化が不安視されていましたけれど、意外にも若い人たちもまだまだたくさんいたんですね! という嬉しい編成となったのです。

初心者が多いから、練習もきっちりと
レンタルカートと同じ車体とはいえ、本コースで120km/hもの速度で走るのですから、クラッシュすれば大ケガをする可能性もあります。そのためK-TAI本番での運営は、JAF公式戦と同等に、本格的かつ厳粛に行われます。つまり、参加するドライバーはレースのルールを頭にたたき込む必要があるのです。もちろん運転の技量も、それなりのものが求められます。

一方、若い人が多くなった、わがチームは、当然、経験が少なく、またモータースポーツ初心者も含まれています。そこで必要となるのがレクチャーと練習。新しくチームに加わったメンバーにオンラインでレースの注意点を伝えるだけでなく、ヘルメットやスーツなど必須道具の説明も行います。レーシングスーツもカート用は特別で、耐火性ではなく耐摩耗性が求められています。使用するのはFIA公認のカート用です。サーキット用では走ることができません。そんなルーキーのサポートもマネージャーの仕事となりました。

そしてモータースポーツはれっきとしたスポーツですから、練習しなければ上達はできません。ですから、新メンバーと日時をあわせてカート場に集まって練習走行を重ねます。特に新しくチームに加わったメンバーは、練習に参加することでカートの走りを学ぶだけでなく、チームの古参メンバーと知り合いになるのも重要です。チームメンバーと円滑なコミュニケーションをとれるようになることも、モータースポーツのチームとして重要なことだと考えたからです。

小さなトラブルが数多く発生し続ける
2023年のクラブレーシングはマシン3台体制で、チームメンバーは総勢50名にもなる大所帯。そして7月16日の本戦に向かって、マシンメンテナンス、公式練習×2、車検という日程をこなしていきます。その間に参戦ドライバーのK-TAIライセンス取得、エントリーを実施。さらに車検はレース本戦前日なので、本戦前夜は宿泊する必要があります。そうした宿泊の手配、そしてレース本戦時のメンバー50人分の食事と飲料も用意が必要です。つまるところ、レースだけでなく、それにかかわる一切合切の庶務がマネージャーの仕事として待っていました。

細かく、気を遣う、面倒な手配や手続きが数多く発生します。しかも、新米マネージャーですから、当然、手際が良いわけもありません。それに付け加え、現場にはアクシデントがつきもの。「財布をなくした」から始まり、「手続きができていない」、「書類が不備」、「誰誰が遅刻してくる」といった小さなトラブルが続きます。そう、延々と続くのです。

とはいえチームには古参のメンバーもいて、新米マネージャーを陰に日向に手助けしてくれました。これもチームプレイということでしょう。本当に助かりました。

スタートラインにマシンが並んで一安心
次々と迫ってくる課題やトラブルを、ひとつずつクリアして進んでいく。まさにマネージャー業とは、障害物競争です。正直、「本戦に3台のマシンをスタートさせることができないのでは?」という不安に襲われる瞬間もたびたびありました。ですから、7月16日の朝に3台のマシンがスタートラインに並んでいるのを見ただけで、もう大役を終えたような達成感があったのです。

ちなみに、今年は、なんと予選でチーム3台のうち1台がポールポジションを獲得! といっても予選順位はくじ引き。別に速いわけではありませんでしたが、くじ運の強さであっても、これも今年の大きな成果だったと思います。

なぜなら、ポールポジションに若いドライバーたちが大喜びしていたからです。しかも、ゴール後に表彰式にも呼ばれました。表彰台にのるのもモータースポーツの喜びのひとつ。若い自動車メディアの人間に経験を積ませるのがチームの狙いです。モータースポーツの楽しさを経験させることができた! その手応え、充実感こそが、マネージャーという裏方で参加したレースの楽しみと言えるでしょう。

ちなみにチーム3台の順位は、51位、53位、81位。若くて初心者の多いチームとしては、3台が完走しただけでも成功だと感じています。そして灼熱の中、誰も熱中症にならなかった、けが人も出なかった。これも今回の収穫だと思います。

ドライバー、メカニック、ヘルパー、そしてスポンサー。そうした関連した人たちすべての力があったからこそ、ゴールという果実を得ることができたわけです。マネージャーになった今年は、例年よりも、感謝の気持ちが強く感じることができました。これもレースの醍醐味のひとつなんでしょうね。(文:鈴木ケンイチ)

●撮影:クラブレーシング(森山良雄/伊藤毅/西川昇吾)
●協力:株式会社ホンダファイナンス/関彰商事株式会社/本田技研工業株式会社/ホンダモビリティランド株式会社/株式会社ホクビー/(有)ケイズカンパニー

[ アルバム : 2023 K-TAI参戦レポート はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

上質な乗り心地が最高! 軽二輪クラスのスクーター5選
上質な乗り心地が最高! 軽二輪クラスのスクーター5選
バイクのニュース
タイヤに記された「謎の印」の意味とは? 気になる「赤と黄色マーク」の“重要な役割”ってなに? 気づけば消えるけど問題ないのか?
タイヤに記された「謎の印」の意味とは? 気になる「赤と黄色マーク」の“重要な役割”ってなに? 気づけば消えるけど問題ないのか?
くるまのニュース
メルセデス・ベンツの新世代4名乗りオープンカーのCLEカブリオレに高性能バージョンの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+カブリオレ」を設定
メルセデス・ベンツの新世代4名乗りオープンカーのCLEカブリオレに高性能バージョンの「メルセデスAMG CLE53 4MATIC+カブリオレ」を設定
カー・アンド・ドライバー
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
アキュラIMSA車両ドライブしたフェルスタッペン、デイトナ24時間は出ないの?「出るには十分な準備をしたいけど、今は不可能だ」
motorsport.com 日本版
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
約183万円! 三菱「新型“5ドア”軽SUV」発表に反響多数! 「走りがいい」「好き」の声!半丸目もカッコイイ「ミニ」が話題に
くるまのニュース
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
新車99万円! ダイハツ「“最安”ワゴン」どんな人が買う? イチバン安い「国産乗用車」は装備が十分! 超お手頃な「ミライース」支持するユーザー層とは
くるまのニュース
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
2025年は赤・黄・黒の3色 スズキ「V-STROM 250SX」2025年モデル発売
バイクのニュース
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
「高いのはしゃーない」光岡の55周年記念車『M55』、800万円超の価格もファン納得の理由
レスポンス
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
KTM1390スーパーデュークGT発表!カテゴリーで最も過激なスポーツツアラーを標榜するGTが1390系エンジンでバージョンアップ
モーサイ
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
新しい2.2Lディーゼルエンジンと8速ATを搭載したいすゞ「D-MAX」および「MU-X」がタイでデビュー
カー・アンド・ドライバー
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
新型「メルセデスCLA」のプロトタイプに試乗!次世代のメルセデス製電気自動車の実力やいかに?
AutoBild Japan
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
紀伊半島の「最南端」に大変化!? 無料の高速「串本太地道路」工事進行中! 関西エリアの交通を一変する「巨大ネットワーク計画」とは
くるまのニュース
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
ホンダ、栃木県とスポーツ振興協定を締結…ラグビーとソフトボールで地域活性化へ
レスポンス
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
軍用車マニアはたまらない!? 大戦中の1942年に製造された“フォード製ジープ”をオークションで発見 フォード「GPW」ってどんなクルマ?
VAGUE
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス

みんなのコメント

1件
  • 新米マネージャーか。そうかそうか。オジサンが乗り心地を試してやろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

139.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.089.9万円

中古車を検索
Kの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

139.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.089.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村