■好景気だからこそ生まれたマツダの名車とは?
車名を海外と同じように数字にしたり、独自の技術「SKYACTIVテクノロジー」を推進したり、SUVを多数ラインナップしたりと、近年のマツダはなにかと元気です。
そんなマツダの過去を振り返ると、以前にも活気づいていた時代がありました。
それは平成元年前後のバブル末期。クルマの進化が一気に進んだ時期でもあり、好景気の後押しもあって、クルマは出せば売れるような状況でした。
そうした背景のなかマツダが選んだのは、販路拡大のための販売チャネル増加でした。
「マツダ」本体に加え、「ユーノス」、「オートラマ」、「オートザム」、「アンフィニ」の合計5ブランドを打ちたて、次々と新型車を投入したのです。
経営の面では「マツダ5チャネル販売体制」は不振とされ、世間では黒歴史などといわれることもありますが、当時販売された車種を改めて見ると、魅力的なクルマも少なくありません。
そこで今回は、各チャネルの名車、人気車を5台ピックアップして紹介します。
●アンフィニ「RX-7」
「アンフィニ」は5チャネルの最後として、1991年にそれまでの「マツダオート」を改名して誕生しました。
専売車種はアルファベットと数字を組み合わせた名称とされ、現在の数字の車名に近いものがありました。
もともとマツダオート扱いだった「サバンナRX-7」も、3代目へのモデルチェンジを機に「サバンナ」の名を廃止。ユーノス同様マツダの冠は付かず、アンフィニ「RX-7」となりました。
なお、5チャネル販売体制の終焉により1997年10月にマツダRX-7へと改名されています。
1991年に登場した3代目RX-7は、ロータリーエンジンを搭載するFRのスポーツカーです。
先代同様、2ローターのターボですが、シーケンシャルツインターボの採用により255馬力ものハイパワーを実現。改良を重ねた最終型では自主規制いっぱいの280馬力に達しています。
ボディは全長4295mm×全幅1760mm×全高1230mmと、短くワイドで低いスポーツカーらしいプロポーションを持つ3ドアクーペ。
重量には徹底的にこだわり、先代比で150kgもの軽量化に成功し、スポーツカーの性能を示す指標とされるパワーウェイトレシオは、一部グレードでは約4.5kg/psを達成しています。
足回りは前後ダブルウイッシュボーンサスを新開発。電子制御に頼ることなく、意のままに曲がる最高峰のハンドリングマシンと高く評価されていました。
マツダ独自のロータリーターボに美しいスタイリング、現代でも通用する切れ味抜群のコーナリング性能を誇るピュアスポーツとしていまだに人気は高く、生産終了から20年近く経ついまでも中古車は高値で取引されています。
●マツダ「ランティス」
幅広い車種を取り扱うマツダ店は、もっとも歴史のある販売チャネル。そのマツダ店の当時を代表するクルマの一台が、4ドアハードトップセダン&5ドアハッチバッククーペの「ランティス」です。
1993年に登場した5ナンバーサイズのFF車で、マツダ「ファミリア・アスティナ」と姉妹車ユーノス「100」の後継車にあたります。
5ドアハッチバッククーペのサイズは全長4245mm×全幅1695mm×全高1355mmと、現在のコンパクトカー並み。
そんな小振りなボディに1.8リッター直列4気筒DOHC(135馬力)、あるいは2リッターのV型6気筒DOHC(170馬力)を搭載するのですから、運転が楽しくないわけがありません。
もちろんボディや足回りもエンジンに応える実力派です。
プラットフォームを専用設計し、最終的な開発やセッティングはニュルブルクリンクでおこなわれるという本格スポーツカー並みの贅沢さは、バブルの好景気を感じさせる部分といえるでしょう。
タイヤをボディ四隅の限界まで配しているため、サイズのわりに居住性も良好。安全面も抜かりはなく、1996年新衝突安全基準に適合した最初のクルマでした。
何にも似ていないスタイリングも独創的で、あらゆる面で実力の高いクルマでしたが、当時は5チャネル化と矢継ぎ早の新型車投入により購入層が混乱してしまい販売のほうはあまり振いませんでした。
クルマ好きや自動車雑誌からは高評価でしたが、1997年に1代限りでひっそりと生産終了しました。
●ユーノス「ロードスター」
マツダ、マツダオート、オートラマに続く4番目のブランドとして1989年に誕生した「ユーノス」。
既存のマツダより少し上級なイメージの車種を取り扱うチャネルで、フランスのシトロエン車の販売もしていました。
「コスモ」や「500」といった名車もありますが、ユーノスといえばやはり「ロードスター」が代表モデルでしょう。
現在はマツダブランドで販売されていますが、1989年から1998年まで生産された初代のみがユーノスのクルマでした。
ロードスターは、ドライバー自身の思いとクルマの動きの一体感「人馬一体」をコンセプトとしたライトウェイトオープンスポーツです。
全長3970mm×全幅1675mm×全高1235mmとコンパクトなボディに、元気の良い1.6リッター(のちに1.8リッターも追加)直列4気筒DOHCを搭載し、キビキビとした走りを実現しています。
クルマ好きを虜にしたのが、前後重量配分に優れたFRレイアウトとクイックなステアリング特性による自然な運転フィーリング。
日産「スカイラインGT-R」やトヨタ「スープラ」といった280馬力勢が台頭してきたハイパワー化の時代ですが、120馬力でも運転を楽しむことはできると一石を投じたクルマでもあります。
かつてのブリティッシュオープンスポーツを彷彿させるルックスも魅力のひとつ。随所に可愛らしさを感じさせ、老若男女問わず多くの人に支持されました。
生産終了からおよそ20年経過した2017年12月より、マツダは初代ロードスターのレストアサービスを開始しました。
基本料金が254万7000円からと高額ではありますが、長く乗り続けたいと考えるオーナーには嬉しいサービスといえるでしょう。
■背が高くてもスタイルとパッケージングを両立した2車
●オートザム「レビュー」
「オートザム」は小型車を得意とするブランドです。
最初に登場した2代目「キャロル」がポップで親しみやすいスタイリングがウケてセールスが好調だったこともあり、以降のモデルもカワイイ系のデザインを採用しています。
その一方で、イタリアのランチアやアウトビアンキなども販売するという、ちょっと不思議な販売チャネルでした。
1990年にデビューしたオートザム「レビュー」は、カワイイ系の小型セダンです。
1.3リッターおよび1.5リッターの直列4気筒SOHCエンジンを搭載するFF車で、メカニズム的にはとくに目立ったところはありません。
当時のセダンといえば、四角四面な真面目なスタイリングが主流で、全体が曲線で描かれたレビューのような遊び心のあるデザインは存在しませんでした。
ファニーなルックスは酷評されることもありましたが、レビューは単にカワイイだけを狙ったクルマではありません。
車高を高くするなどパッケージングを追求すると、どうしても不格好になりがちな自動車デザインにおいて、レビューは曲線を多用することでスタイリングとスペース効率の両立を実現しているのです。
全長3800mm×全幅1655mm×全高1495mmというサイズからは想像できないほど、レビューの室内は広々としています。
これを実現するためにマツダはレビューに専用のプラットフォームを開発するという、いまでは考えられないほど贅沢なクルマでした。
なお、1996年よりマツダ名義へと改められ、1998年に販売終了しています。
●フォード(オートラマ)「フェスティバ・ミニワゴン」
フォードのマツダへの資本参加を機に設立されたフォード車専門の販売チャネルが「オートラマ」です。
といってもフォードでイメージするアメ車の取り扱いはほとんどなく、マツダ車をベースにした姉妹車が中心。初の専売車となったのが、1986年に登場した「フェスティバ」です。
ちなみに、オートラマは1994年より「フォード店」へと改名されています。
今回紹介する「フェスティバ・ミニワゴン」は1996年に登場した3代目にあたるモデルで、マツダの初代「デミオ」の姉妹車になります。
「レーザー」や「テルスター」がそれぞれ「ファミリア」や「カペラ」をベースにしながらも独自のボディデザインが与えられていたのに対し、フェスティバ・ミニワゴンはグリルなどの意匠こそ変えられていたものの、車名やブランド名のバッジを変更して販売する「バッジエンジニアリング車」。
バッジエンジニアリングとなったのは経営的に厳しかったという理由だけでなく、初代デミオのデキが素晴らしかったというのもあるでしょう。
1.3リッターまたは1.5リッターの直列4気筒SOHCエンジンを搭載する、ごく普通のFFコンパクトハッチですが、背を高く、そしてキャビンを四角くすることで優れた居住性と使い勝手を実現。
ルーフレールを用意するなど、ワゴン調のルックスを与えることで、退屈になりがちなスクエアなスタイリングに説得力を持たせています。
ハンドリングが良いのも特徴のひとつ。パッケージングを極めた結果、前後オーバーハング(前後のバンパーより先の部分)が短くなり、運動性能にも好影響を与えています。
なお、マツダとフォードの関係の見直しにより、同モデルは2003年に販売を終了。
フォード車の取り扱いは米フォードが100%出資する「フォード・ジャパン」となりましたが、2016年に日本から撤退しています。
※ ※ ※
マツダの5チャネル販売体制は、好景気に支えられ専用開発の贅沢な名車も多く生みました。
その一方で、各チャネルで売るクルマを用意するために、安易な姉妹車を多発し混迷を招くことにもつながっています。
なかでも「カペラ」の後継「クロノス」をベースにした姉妹車のセールスが軒並み失敗に終わり、マツダは経営危機に瀕することになりました。
そうした状況を救ったのが、初代デミオ&フェスティバ・ミニワゴンで、以降のたゆまぬ努力により、いまの元気なマツダへと続いているのです。
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