初代の誕生は1968年で、実に50年以上の歴史を持つデリカ。多くのファンを持つこのクルマが劇的な変化を遂げた。
どれにも似ていない唯一無二の存在
三菱自動車を代表するクルマのひとつとして長い間、多くのファンを惹きつけてきたのがデリカである。初代モデルの誕生は1968年なので、実に50年以上の歴史を持つクルマなのだ。そんなデリカが12年ぶりにモデルチェンジした。注目はなんと言っても大きく変わったフロントフェイスだが、それ以外にもこのクルマには見るべきポイントがある。
1970年代のスーパーカー図鑑(1)「ランボルギーニ カウンタック」
ところでデリカは、ミニバンなのだろうかSUVなのだろうか。このクルマはミニバンでもあり、 SUVでもあるというのが一番近い答えかもしれない。つまり多人数乗車を可能としたミニバン的な使い方もできるし、三菱の誇る四輪制御技術も搭載しているのでラフロードの走破性もかなり高く、SUV的な乗り方だってできる。つまり使い方やライフスタイルでどちらのカテゴリーに入れてもいいのだ。ひとつ言えるのは、つまらないミニバンではなくありきたりなSUVでもない、どこにもない、どれにも似ていない唯一無二の存在なのである。
ディーゼルエンジンの厚いトルクが魅力
さて新型デリカの話に移ろう。特徴的なフロントフェイスは、好みによって賛否が分かれるところかもしれないが、没個性な、どのメーカーだかわからない(どれでも一緒に見える)ミニバンよりは個性があっていいと思う。これは誰が見ても“三菱のデリカ”以外の何者でもないからだ。そうしたところは好感が持てる。
新型デリカD:5が搭載するのは、2.2L直4クリーンディーゼルエンジンだ。最高出力145ps、最大トルク380Nmを発生する。試乗前にこのスペックを確認したが、車両重量が2トン近く(Pグレード8人乗り1960kg)あるのでパフォーマンスは、それほど期待していなかった。しかし実際に試乗してみるといい意味で裏切られたと言っていい。
登り勾配のあるワインディングロードを実に軽快に走るのである。さすがにディーゼルエンジンなので高回転まで気持ちよく吹け上がるというわけではないし、回せばそれなりにエンジン音も室内に入ってくるが、街中での実用域は軽快と言ってもいいハンドリングでとてもよく仕上がっている。つまり走行性能に不満を覚えるような場面はこの試乗では現れなかった。
今回は時間が限られた試乗会ということもあり、高速道路やオフロードを走ることはできなかったが、これなら十分にテストする価値はあると言えるだろう。(文:千葉知充/写真:井上雅行)
■ミツビシ デリカD:5 P(8人乗り)主要諸元
全長×全幅×全高=4800×1795×1875mm、ホイールベース=2850mm、車両重量=1960kg、パワートレーン=直4DOHCディーゼルターボ、エジン排気量=2267cc、最高出力=107kW(145ps)/3500rpn、最大トルク=380Nm(38.7kgm)/2000rpm、トランスミッション=8速AT、駆動方式=4WD、燃料・タンク容量=軽油・64L、WLTC(JC08)モード燃費=12.6(13.6)km/L、タイヤサイズ=225/55R18、車両価格=4,216,320円
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