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【青色の女神】ロールス・ロイスに新部門 カスタムメイドの限界を打ち破る第1弾「ボート・テイル」

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【青色の女神】ロールス・ロイスに新部門 カスタムメイドの限界を打ち破る第1弾「ボート・テイル」

ロールスのコーチビルドとは

text:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)

【画像】ロールスの新作、ボート・テイル【じっくり見る】 全43枚

editor:Tetsu Tokunaga(徳永徹)

5月27日。ロールス・ロイスは、独自のコーチビルドによる新作「ボート・テイル」を発表した。

「ビスポーク」という言葉をご存知の読者諸氏は多いだろう。もともとは服・靴を顧客の注文に応じて仕立て上げることで、そこから高級車メーカーが顧客の要望に応じてカスタムメイドするクルマも「ビスポーク」と呼ばれるようになった。

だが、ビスポークには限界がある。

コーチビルドではその限界を打ち破り、自由な表現力を活かし、パトロンである顧客と一緒になってコンセプトを直接カタチにして、生み出していく。

ロールス・ロイスは、非凡な顧客の依頼に応えるため、その歴史的ルーツのひとつに立ち戻り、「ロールス・ロイス・コーチビルド」という独立した部門を立ち上げることにした。

つまり、「コーチビルド」とは、ロールスのビスポークをより高度に精製された表現で実現することであり、既存の制約を超えたいと考える人のためのものだ。

クライアント主導の純粋な特注プログラムに基づき、ロールス・ロイスと顧客が協力して、意味あるラグジュアリー、意味あるデザイン、意味あるカルチャーを探求する。

その結果は、将来の歴史的遺産を生み出す重要な瞬間となり、デザインを進化させることで時代を定義し、単なる移動手段という本来の目的を超える力を持つことになる。

ボート・テイル誕生

全長約5.8mの「ボート・テイル」は、その伸び伸びとしたプロポーションと明快な面構成により、上品にくつろぐ姿勢を表現している。

新たに手を加えられたパンテオン・グリルは、コーチビルドのポートフォリオに含まれるモデルにのみ与えられた自由なデザインとなっており、けっして装飾のためのものではなく、フロントエンドに不可欠な部分となっている。

この処理により、ロールス・ロイスの紛れもない存在感を損なうことなく、お馴染みのフォーマルな雰囲気をやわらげている。

また、フロントエンドの水平方向を強調したデザインと、深い位置に配されたデイタイム・ランニングライトは、にらみを利かせるようなボート・テイルのブロウ(眉)ラインをかたちづくりながら、ロールス伝統のデザインを引用したクラシカルな丸型ヘッドランプを縁取っている。

サイドビューには、船舶を連想させるものが多くある。

左右に回り込んだウインドスクリーンはモーターボートのバイザーを連想させ、緩やかに後傾するAピラー、広大ですっきりしたフロントのボリューム、そして後方に向けて細くなるリアエンドは舳先を上げて海上を疾駆するモーターボートの姿を想わせる。

ボディ側面下部の徐々にえぐられていくような造形は、ブランドの代名詞ともいえるランニング・ボードのデザインをもとに考案されたものだ。

リアデッキには、宝箱が

真後ろから見ると、ボディは徐々に緩やかに薄くなっている。フロントエンドと同様、縦型のテールランプではなく、深い位置に配置された横長のデザインで水平方向を強調。

船舶に由来するエレメントを、よりはっきりと見つけられるのがリアセクションの造形だ。

後甲板を意味する「アフトデッキ」は、歴史的なボート・テイルの木製リアデッキを現代風にアレンジしたもので、帯状の木の板を組み合わせている。

ここは、ロールスのエンジニアリングの粋を集めた「カレイドレーニョ・ベニア」が主役だ。一般的にはインテリアに使うグレーとブラックの素材を、美観を損なうことなくエクステリアにも使用できるように特別な処理を施している。

また、ボート・テイルの型破りなフィックスドキャノピー・ルーフには、建築の影響がはっきりと見受けられる。

彫刻的なフォルムに加えて、弧を描くルーフラインはリアへ向かうにつれて華奢な構造体へとつながり、フライング・バットレスを彷彿とさせる。もちろん、ルーフを外しているときに悪天候に見舞われたときは、一時的に雨宿りをするためのトノーも収納されている。

また、リアデッキはボタンを押すと蝶の羽のように大きく開き、広々としたおもてなしのホスティング・スイートが現れる。

一糸乱れぬバレエのような動作でリッドが開くと、“宝の箱”が可動する仕掛けになっており、15°の角度でホストに向けて差し出される。この箱には、パリのクリストフル社製カトラリーが収まっている。

ボート・テイル その内装は?

インテリアのレザーは手塗りのグラデーション・ボンネットの色とマッチさせたもの。

前席はボート・テイルのドライバーのために濃いブルーで、リアシートは薄いブルーで仕立てた。レザーは柔らかなメタリック調の光沢を放ち、エクステリアカラーとの共通性を際立たせている。

また、細部のステッチやパイピングは車載時計の針に着想を得た、より強いブルーを使用。ボディの下部には、船舶が通り過ぎたあとに残る波を模して、55°の角度で織り込まれた鮮やかなブリリアントブルーのテクニカルファイバーが配されている。

乗員を迎えるフェイシアは、意図的にシンプルにデザインしたもの。このミニマルなキャンバスは、顧客がボート・テイルのために特別にオーダーした宝石のようなボヴェ(BOVET 1822)の時計を引きたてる。

インストゥルメントパネルの文字盤には、高級宝飾品や高級時計でよく見られる「ギョーシェ」と呼ぶ、光の反射を抑えて文字盤の視認性を高める装飾技法を採用。

また、エレガントな細身のリムを持つツートーンのステアリングホイールには、ブルーのテーマカラーを用いた。

移動手段を超えた存在

キャビン下部とフロア部分には、木製の船体を彷彿とさせるウッド素材が使われている。

よく見ると、アンスラサイトのベニアが現代的な強さと深みをもたらし、ソフトなライトブルーとのバランスが美しい。

ここも進行方向に対して55°の角度で完璧にブックマッチ加工されており、左右どちらから見ても均一な外観を形作っている。

「ボート・テイル」は、自動車とは何かという概念に挑戦し、自動車の意味は何かという新たな定義を生み出した。

単なる移動手段をはるかに超えた存在。それは、目的地に到達するための手段ではなく、目的地そのものなのだ。

普通は考えも及ばないほどのコンセプトを作り上げるため、ブランドに力を与えてくれた非凡な男女の野心によって、実現されたのである。

カスタマー主導の純粋な特注プログラムから誕生したボート・テイルは、ロールス・ロイスがクライアントとともにラグジュアリー、デザイン、カルチャーを探求した4年におよぶ日々の結晶。したがって、価格やスペックなどは一切公開されていない。

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