■カローラブランドに「新しい風」をもたらしたか
トヨタを代表する車種のひとつが、1966年に初代モデルのを発売した「カローラ」です。
元来セダンタイプをメインとする同車ですが、現在に至るまでの約60年の歴史の中では様々な「派生車」も登場しました。
その中でも特に個性的だったモデルとして、2007年に登場した「カローラ ルミオン」を紹介します。
【画像】「えっ…!」カッコいい! これが「カローラ ルミオン」です(26枚)
カローラ ルミオンは、カローラの名前が付いているものの、従来までのカローラのイメージを大きく覆す「幅広・背高」かつ「水平・垂直基調」の角張ったフォルムが特徴的な、ミドルサイズのハイトワゴンです。
国内で展開されるカローラシリーズでは初の3ナンバーサイズを採用した大きめの箱型ボディは高い存在感を放ち、「広さ」「使いやすさ」「開放感」という若い世代が求めるポイントを押さえたことで、カローラシリーズに新たなユーザーを取り込むことなどを目的に誕生しました。
実はカローラ ルミオンは、元々は当時北米市場でトヨタが展開していた「サイオン xB」(日本では初代「bB」として販売)の後継車として開発されたモデルでもあり、現地では2代目xBとして販売。日本仕様では主にフロント周りのデザインが変更され、押し出し感を若干抑えたことでカローラブランドにも適合する1台としてデビューしたのです。
そんな若年層ユーザーの獲得を図ったカローラ ルミオンでしたが、一定の支持を得たものの残念ながら売れ行きは好調とは言えませんでした。
その理由には、当時は同じトヨタのラインナップ内にカローラ ルミオンと近い特徴を持つ2代目bBも販売されており、購入層がバッティングしたうえ、bBは価格が安く、ボディサイズも5ナンバー枠の小柄で扱いやすい大きさであったことが響いたと言われています。
ちなみにbBの販売価格が134万円からのところ、カローラ ルミオンは最安グレードでも168万円からとなっていました。
カローラ ルミオンは商品力を上げるため、2009年にマイナーチェンジを実施。新たに採用した新世代エンジン動弁機構「バルブマチック」と、「Super CVT-i」との組み合わせによって従来よりも燃費性能を向上させることに成功したうえ、デザインにも手を加えてフロントバンパー、グリル、リアガーニッシュなどをよりスタイリッシュに進化しています。
さらに2011年にも、トヨタカローラ店の創立50周年を記念した特別仕様車を発売。翌2012年にはブラックを基調とするクールなインテリアの特別仕様車「On B Limited」を発売と、精力的にバリエーション展開を実施しますが大きく売り上げが伸びることは無く、2015年12月で販売終了。先述の北米仕様モデルである2代目サイオン xBも、同年4月に販売終了となりました。
その後、日本市場ではカローラ ルミオンの後継車にあたるモデルは残念ながら登場しませんでしたが、同じ車名を引き継ぐ車種としてトヨタブランドから2021年より「ルミオン」のネーミングが南アフリカで復活しています。
カローラのブランド名は消え、見た目もかなり異なる“7人乗りミニバン”となりますが、ルミオンの系譜としては実質「2代目」といえるでしょう。
※ ※ ※
カローラの名前が付いているものの、カローラらしくない個性的なフォルムで話題を集め、記憶に残る一台となったカローラ ルミオン。
新車販売時はヒットとはなりませんでしたが、カスタマイズ用のベース車として一定の需要があるようで、現在では中古車市場において根強い人気を誇ります。
最近少なくなりつつある「四角いフォルム」のクルマを好きな人にとって、カローラ ルミオンは今でもうってつけの1台と言えるのかもしれません。
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現在もやってるし、何ならクラウンまでおんなじ手法で展開し始めた