コイル以外にも沢山のタイプがある自動車用スプリング
足まわりを構成する部品は数多くあり、そのひとつが『スプリング』だ。代表は金属の線材をグルグル巻いたコイル形状で、純正サスペンションでよく使われる荒巻きや車高調で使用される直巻きがあり、直径や巻き数は車種や目的によりさまざまだ。しかしスプリングの種類はコイル以外にも沢山あり、クルマに使用されているのは足まわりだけと限らない。
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沢山の荷物を積む商用車の後輪に採用「リーフスプリング」
たとえば板バネとも呼ばれるリーフスプリングがある。異なる長さの細長い金属板を重ね合わせた構造で、その板をしならせて路面からの衝撃を吸収する働きがある。おもなメリットは作りがシンプルなので製造や加工が楽なことに加え、パーツ点数を少なくすることができて耐久性や耐荷重性に優れていること。トラックやバスといった商用車でよく使われているほか、有名なところではハイエースやハイラックスなど、頑強さが求められるクルマのリヤサスなどに使われることが多い。
リーフスプリングの枚数やしなり具合を変更すれば、車高や乗り心地を好みにカスタムすることが可能。車種によってはノーマル車高/ローダウン/リフトアップと、3つのキットを設定しているアフターパーツ製のアイテムもある。
捻れた棒の反発力を活用する「トーションバースプリング」
また、トーションバーと呼ばれるスプリングもある。棒状の金属を捻った際に発生する復元力を利用しており(雑巾を絞って手を放したときのイメージ)、その原理から捻り棒バネや捻りバネといった呼び方もされている。足まわりに使われるようになったのは1930年代からで、トーションバーの径が細いほど柔らかく、逆に径が太いほど硬くなるのが特徴だ。
国産車の採用例はスバル360やワンダーシビック(EF型)、また現在ではハイエースのフロントなどに使われている。チューニングの方法は上で書いたように系を太くした強化トーションバー、そして車高は取り付け部のカムを回転させて調整することが可能だ。なお現在はメインスプリングとして使われるケースこそ減ったが、ロールを抑えるスタビライザーもトーションバーのひとつと言える。
お馴染みの「エアサス」やクラッチには「ダイヤフラム」が使用される
ドレスアップのカスタムメニューでよく聞くエアサスも、空気を圧縮したときの弾力を利用するバネだ。タイヤを外すことなくボタンひとつで車高調整できるのが最大の利点で、街乗りではほどよいローダウンとし、イベント展示のときだけベタベタに落としたりと、使い勝手の良さはコイルスプリングを採用する車高調より上だ。ただしパーツ点数が多いうえクルマへの取り付けも相応のノウハウが必要で、必然的にパーツ代と工賃は高くなりやすく、構造変更を受けなければ違法改造になってしまう。
コイル以外のスプリングは足まわり以外の部分にも使われている。小さいスペースで大きな荷重が受けられる皿バネの1種で、中央に穴が空いた皿に切れ込みを入れたダイヤフラムスプリングは、軽量コンパクトかつ性能の低下が少ないことが利点で、自動車では駆動系のクラッチに使われることが多い。
もうひとつは薄い線材を蚊取り線香のようなカタチにした渦巻きバネで、線材同士が擦り合わず復元力が均一な非接触タイプが、シートベルトの巻き取り装置やシートのリクライニング機構に利用されている。
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知っていて何かに役立つか? と言われれば微妙だが、クルマ好きなら知っていて損はないだろう。まずは愛車のサスペンションにどんなスプリングが使われているのかを確認してみると、興味がわくようになるはずだ。
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