ボルボのSUV、XCシリーズはどのモデルもとても魅力的だ。中でも個人的にとくに気に入っているのは、XC90。その理由は、インテリアによるところが大きい。
見るたびに、触れるたびに満足感を覚えるインテリア
2015年にワールドプレミアされ、日本では2016年1月に発売されたXC90に初めて触れたのは、2016年の初夏だったと記憶している。ある取材のために集めた数台のラグジュアリーSUVの1台だった。
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その試乗車のインテリアには木目素材がふんだんに使われ優しい印象を与える一方で、縦向きに配置された大型のインフォテインメント ディスプレイなどのハイテク感があるアイテムも備えており、とても新鮮だった。その後、XC90は仕様変更やパワートレーンのラインアップ変更、グレード名の改称などを経ると同時に、内外装の基本デザインはそのままに細部がブラッシュアップされ現在に至る。
そんなXC90でとくに気に入っている点が、見るたびに、触れるたびに満足感を覚えるインテリアだ。優しさを感じると同時に落ち着いた気持ちにさせるしつらえは秀逸だ。ウッドパネル、ステッチが入ったレザー調のトリム、金属製のスピーカーグリル、B6 インスクリプション以上に標準装備されるオレフォス社製クリスタルシフトノブなど、軟質素材と硬質素材の取り合わせが絶妙なのだ。
視覚的にも触感でも「いいモノ」であることを実感できる。ボルボのインテリアはモデルを問わず、スカンジナビアン デザインの家具を入れたリビングルームのような車内空間を目指しているようだが、それは見事に具現化されている。
また、SF映画に登場する乗り物に装備されていそうな、近未来的なデザインのレザーシートは適度なホールド性がありながら窮屈ではない。また、SPAプラットフォームの採用により2985mmのホイールベースが確保されていることもあり、2列目と3列目シートの足元には十分な余裕があり、どの席に長時間座っても疲労は少ない。
「このクラスの大柄なSUVなら当たり前では?」と思う人もいるかも知れないが、日本国内で販売されている全長5m未満の3列シートSUVでXC90のように大人7名がしっかりと着座できて長時間のドライブも可能なモデルは実はとても少ない。この余裕たっぷりの車内空間に、B6 Rデザイン以上に標準装備されている「ハーマン/カードン プレミアムサウンドシステム」か、オプションの「バウアーズ &ウィルキンス プレミアムサウンドシステム」でお気に入りの音楽を流せば、XC90の車内は極上のリラックス空間になるはずだ。
抜かりがない安全性への気遣い
また、2&3列目シートを格納するとほぼフラットになる広い荷室も魅力的だ。荷物が積みやすいだけでなく、冬になるとほぼ毎週スキー場に通い、朝一番のパウダースノーを狙って夜明け前にスキー場に入り、リフトが動き始める直前までフラットにした荷室に敷いたシュラフにもぐって仮眠をする筆者には、平坦になる荷室はとてもありがたい。
もうひとつ触れておきたいXC90のお気に入りポイントがある。それは抜かりがない安全性への気遣いだ。すべての席に大型のヘッドレストを備えたほか、衝突時に乗員の身体がシートベルトから滑り抜けて前方に移動してしまうことを防ぐサブマリニング防止シートを採用。2列目の中央席には子供がシートベルトを使う際に適切な着座位置になるように座面を上昇させることができるインテグレーテッド・チャイルド・クッションも装備されている。
さらに3列目シートの安全性についても触れておきたい。ボルボは3列目シートの衝突実験映像を公開しているほか、XC90の発表時には「身長170cmまでの乗員であればほかの席と同等の安全性を確保した」と明言している点もとても好感が持てる。ボルボのように3列目シートの安全性について明確に述べているメーカーは意外と少ないのだ。
もちろん、安全装備や運転支援システムも充実しており、後方からの車両接近を知らせるとともに無意識に車線から逸脱して隣接車線後方のクルマと接触しそうになった場合に元の車線にステアリングを自動修正するステアリングアシスト付BLISや車線維持機能(パイロット アシスト)などは、取材時の長距離の移動ではとても重宝した。
このほかに、どのグレードを選んでも不足を感じない力感十分な快適な走りや、インフォテインメントシステムの操作感など、実際にXC90に触れてみないとわからない良さもたくさんある。なので、ぜひとも一度ディーラーに足を運んでみることをおすすめする。
じつは友人や身内の付き添いや、自身のクルマの買い替えの相談などでこれまでに4~5回ほどボルボのディーラーに行ったことがあるが、一度も不愉快な思いをしたことがない。クルマだけでなく、販売店とディーラーマンの高いサービス品質にもきっと満足できるはずだ。(文:Motor Magazine編集部 小泉優太/写真:永元秀和)
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