第3戦でITOCHU ENEX TEAM IMPULから全日本スーパーフォーミュラ選手権にデビューする平良響。6月22日、スポーツランドSUGOでフリープラクティスと予選を走り、初めてのレースウイークのセッションを経験した。
走行前日には、「Q1突破とポイント獲得」を、今回のミッションに挙げていたが、どんな一日となったのだろうか。
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■車高セットアップのセンシティブさに驚き
昨年の全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権でランキング2位となり、現在はスーパーGTのGT300クラスで活躍中の平良。ここSUGOでは、スーパーフォーミュラ・ライツの予選トップタイムは1分13秒台。対して、スーパーフォーミュラの予選上位は1分05秒台に入るという世界だ。ダイナミックなコースレイアウトも相まって、現行SF23シャシーでの初走行開始直後に平良が感じたのは“恐怖心”だった。
「SUGOは慣れていますが、初めてのSF23ということで、まずは率直に『怖いな』という恐怖心がありました。それをなくすために、どんどんラップを重ねていって、慣れていったという感じです」
わずか90分のフリー走行で予選に向けてマシンを習熟し、セットアップを煮詰めていく作業は簡単ではない。まずは平良自身が「身体を温める」ことから入り、その後で程度のいいタイヤでセットアップを進めたという。
「最初走ったときは、もう『速すぎて怖ぇ!』『アクセル踏めねぇ!』って感じだったのですが、やっぱり慣れれば慣れるほどクルマの動きが分かってきました。とくに最終コーナーが一番怖いのですが、そこは徐々に慣れていきました」
迎えた予選Q1・Aグループでも、「マイレージを稼ぐという意味で」セッション冒頭から程度のいいタイヤで1回アタックを敢行。その後、セッション終盤にニュータイヤで2回目の計測を行った。結果は1分06秒984。Q2進出ラインには、0.35秒ほど届かなかった。
「ニュータイヤは、『もうひと踏ん張りあったのに』という感じで悔しいです。とくにセクター1のS字でミスをしてしまったので、それさえなければ……という感じです」と肩を落とす平良。
また、アタックに入る前の“位置取り”の部分でも、難しさを感じたという。
「レインボー(コーナー)を立ち上がったら、他のドライバーさんがズラっとバックストレートで1列に並んでいたので、そのときにタイヤを冷まさないようにウェービングはしていたのですが……『ちゃんと温めきれていたのかな』という感じはあります」
セットアップを進めていくなかでは、チームとの“初仕事”ならではの壁も出現。「たとえば僕が大・中・小のうちの『大』と言っているのに、エンジニアは『中』と捉えているかもしれない、というところがあったのですが、そこはしっかり数字で言うようにして補っている感じです」。
そして、そのコミュニケーション以上に平良が衝撃を受けたのは、SF23のセットアップのシビアさだ。
「車高に関してめちゃめちゃセンシティブで、0.5mm変えただけで大きく挙動が変わるところがあって、『0.5mmで行き過ぎか、マジかぁ』みたいな感じですね」
記者からの満足しているか、との問いには「全然。ぜーんぜんです」と平良は悔しさを隠さない。
「(1分)6秒台に入ったのは悪くないかなと思うですが、あとコンマ3秒でQ1突破だったという、その数字を見てしまうと……ロガーを見ても、『こっちとこっちとこっちで、コンマ3あるじゃん!』みたいな。そうやってロガーを見るたびに悔しいですね」
予選総合結果では、21台中19番手。天候が崩れるという予報もあるなか、「この順位なので追い上げるしかない。そういった意味では、天候が崩れるとしたら、チャンスがある方向に行くのではないかと思います」と平良。
「普通にドライでスタートしてゴールするなら、なかなかポジションを大きく上げられませんが、レインタイヤでスタートしていつスリックにするか……みたいな、荒れるレースの方が追い上げられるので、そこはポジティブにしっかりと戦略を組み立て、頑張りたいと思います」
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