かつて2015年にAPRCアジア・パシフィック・ラリー選手権をともに制し、2017年にはWRC世界ラリー選手権のWRC2クラスでチャンピオンを獲得したポンタス・ティディマンドが、今季のERCヨーロッパ・ラリー選手権でふたたびインドの巨人、MRFタイヤとタッグを結成。MRFタイヤ・ディーラーチームのエントリー名でフォード・フィエスタ・ラリー2を走らせる。また、同じくWRC優勝経験者のマッズ・オストベルグもMRFカラーに彩られたシトロエンC3ラリー2で開幕戦への出場を表明した。
さらに、ニュージーランド出身の元WRCファクトリー契約ドライバーであるヘイデン・パッドンも、ヒョンデ陣営のBRCレーシングとのジョイントでi20 Nラリー2をドライブ。2023年シーズンは「ERCに注力する」と発表するなど、続々とビッグネームが集結している。
王者チームMRFタイヤが体制発表。防衛に挑むヤレーナにセスク新加入、サテライト含む3台体制に
スウェーデン出身のティディマンドがAPRCを制覇した2015年は、当時のシュコダ・ファビアS2000で全6戦中5勝を挙げる圧倒的な成績でタイトルを獲得。ここでの実績が実を結び、2017年のWRC2王座と、2019年のMスポーツ・フォードWRT加入へと繋がった。
そのティディマンドは、この2023年に向け新たにGNモータースポーツが走らせるフィエスタ・ラリー2のシートを得て、シーズン開幕となる3月10~12日の『ラリー・セラ・デ・ファフェ』に出場する。
「こうしてMRFタイヤに戻ってくることができてワクワクしているよ」と語った現在32歳のティディマンド。
「僕らは2015年からいくつかの素晴らしい思い出を作ってきた。その夢はまだ続く、ということさ」
「こうしたレベルの競技から少し離れると、これまでやってきたことすべてを再評価し、何が正しくて何が正しくないかを考える機会が与えられる」と続けたティディマンド。
その開幕戦ファフェでは、すでに新王者のエフレン・ヤレーナやクレイグ・ブリーン、昨季の地元戦ラトビアで全ステージ制覇の偉業を達成した新鋭マルティン・セスクらの出場が発表済みで、ティディマンド自身も熾烈なコンペティションを覚悟している。
「それらのニュースは全部読んだよ(笑)。つまり競争はWRC2と同じか、WRC2よりも優れている可能性がある。僕にとっては今季初ラリーだし、クリーンな展開で良いポイントを確保することが重要だと思う。それが主な目標だけど、新たな旅に出発するのが待ち切れないね」
■オストベルグがシトロエンで初のERCフル参戦
そして2012年にポルトガルでWRC初優勝を成し遂げたオストベルグも、ティディマンドと同じバナーのもとでタガイ・レーシング・テクノロジーが用意するシトロエンをドライブし、自身初のERCフル参戦に挑む。
「もちろんシトロエンは僕もよく知っているクルマだし、そこに加わる新たな要素がMRFとのパートナーシップだ。これは本当に興味深い。真の上昇志向を持った、やる気のあるブランドと共闘することは、僕にとっても非常にやる気を起こさせてくれる。一緒に良い成功を収めることができれば良いね」と語った35歳のオストベルグ。
「チャンピオンシップを勝ち獲りたいと思っているし、ERCに出場できて本当にうれしい。2022年は大きな選手権に参加できていなかったけど、今は本当に楽しみで、やる気に満ちているよ」
そのオストベルグとは同世代のスターとして鎬を削ったパッドンも、WRC経験が豊富な他のドライバーに続いて、ERCでのタイトル挑戦を宣言した。
「いくつかの主な理由から、今季はERCに注力することを決めた」と明かしたパッドン。「第一に、トップクラスのFIAチャンピオンシップでありながら、競争に必要な予算はより現実的で達成可能な額だ。第二に、個人的な観点から言えば、クラス優勝よりもラリー全体の総合優勝を目指して戦う方が魅力的だよね」
ここ近年は、ヒョンデの地元法人とも共闘しつつ、自身の名を冠したパッドン・レーシング・グループ(PRG)で精力的な活動を続けてきたパッドンだが、こうして欧州大陸で本格的にシリーズを追うことに関して「僕は今、自分のキャリアの別のポイントに到達した」と続ける。
「世界の反対側で、こうして高いレベルの競争を可能にするロジスティクスを考えると、BRCレーシングのような高く評価されているヨーロッパのチームと緊密な関係を築くことには価値がある。そのことは充分に理解しているけれど、それでも僕ら自身の人員も何人かは帯同することになるはずさ」と語るパッドン。
そのBRC代表を務めるガブリエレ・リツィオは「ヘイデンと、ヒョンデ・ニュージーランドを含む彼のすべてのパートナーやスポンサーとともに、このプロジェクトを開始できることを光栄に思う」と述べた。
「ヒョンデとのグローバルな繋がりを拡大し、より広範なモータースポーツ活動の一環としてFIA ERCに挑戦する、我々としてもまたとない機会だ。各ラリーで確かな結果を示すことを目指し、いつものプロフェッショナリズムと細部への注意を払ってシーズンに臨むつもりだ」
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