MotoGP分析|マルク・マルケスはかつての”最強”を取り戻せるのか? “ニューノーマル”に適応が求められるワケ
2021/10/18 12:17 motorsport.com 日本版 2
2021/10/18 12:17 motorsport.com 日本版 2
マルク・マルケス(レプソル・ホンダ)はクラッシュで右腕を骨折したことにより、2020年シーズンを全休し、2021年4月からレースに復帰した。第15戦アメリカズGPまでに、彼は2勝を記録しているが、以前チャンピオンシップを支配していた時のような強いマルケスに戻ることはできるのだろうか。
マルケスが、2020年7月に負った右腕骨折の治療のために3度目の手術を受けてから、10ヵ月が過ぎた。腕の強度や動作の面で、全快に近づいていくのには十分な時間が経ったと言えよう。しかしこれまでの推移を見ると、マルケスが2022年にタイトル奪還を目指すとしても、変わってしまった身体に適応する必要があるだろう。
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10月初旬、マルケスは今年4月のレース復帰後2勝目をアメリカズGPで記録した。舞台となったサーキット・オブ・ジ・アメリカズはマルケスが得意とする左回りのコースで、6月に復帰後初優勝をマークしたドイツGP(ザクセンリンク)も左回りのコースだった。
アメリカズGPでは、マルケスは2位のファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)を引き離して独走優勝。その差は4.6秒と、チャンピオンシップを支配していた頃、怪我をする以前のマルケスの走りを彷彿とさせるものだった。
こうした勝利もあり、マルケスは近いうちにかつての強さを取り戻すのではないかと見る向きもある。ただ実際にはかつての姿に戻ることは難しく、彼が目標とするタイトルの奪還のためには、“ニューノーマル”とでも言うべき状況に適応しなければならないだろうと考えられる。
2021年の復帰以降、マルケスが好成績を記録したのは、ザクセンリンク、アラゴン、COTAの3つのサーキットだ。これらは全て左回りのコースであることは、偶然ではない。怪我をした右腕への負担が少ないからだ。その一方で、右回りのコースではミサノ・サーキットでの4位がベストで、マルケスも「痛みに苦しんだ」と語っているのだ。
「左回りのサーキットは前から好きだったけど、怪我をしたことで、その違いは大きくなっている」と、マルケスは語っている。
「何故か、それは簡単だ。左コーナーでは、上腕三頭筋を使ってプッシュし、曲がる事ができる。でも右コーナーではそれができないんだ。そうした乗り方をするのが難しのが、厳しさの理由だ。そして、だからこそクラッシュもセーブできない」
「肉体的に僕はどうなのか、その正確なところは分からない。腕を使えるようになるまでは、まだ遠い。でも、ブレーキング時にポジションを保持するのはだんだん楽になってきている。でも僕の強みだったスライドコントロールやバイクをねじ込んだりするのはできない。今は他の人たちのようにコーナーに入っているんだ」
怪我以前のマルケスと、怪我後のマルケス……このふたりを比較する上で最も適任な人物のひとりに数えられるのが、彼のクルーチーフであるサンティ・エルナンデスだ。
「我々が以前から知っているマルクと比較すると、今回、彼は違った形で勝利していると思う」と、フェルナンデスは言う。
「怪我以前には、彼はよりアグレッシブかつ機敏な方向転換をしていた。しかし今の彼のライディングスタイルは、かなり違っている」
エルナンデスの話は、視覚的な印象を抜きにしても、データ面で主張が裏付けられる。これまでマルケスは、COTAの最もツイスティな部分である第1セクターでライバルとの差を詰めてきた。しかし今季のタイムを見ると、彼はクアルタラロと同程度のタイムで、3位となったフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)よりも0.1秒遅いタイムとなっていた。
マルケスの側近以外、彼の右腕の状況について、その詳細を把握することはできていない。しかしMotoGPパドックでは、マルケスは見た目以上に肉体的に苦しんでいるというのが、一般的な感覚になってきている。
「マルクは体調が良くなくても、勝利を争う力を持っているライダーだ。詳しいところは知らないけど、肉体面ではとても悪いと思っている。だからこそ彼がしていることはクレイジーだ」
2017年から2019年にかけて、ドゥカティのバイクに乗りマルケスとタイトルを争ったアンドレア・ドヴィツィオーゾ(現ペトロナス・ヤマハSRT)は、そう語っている。
論理的に考えれば、マルケスはどうやって以前の強靭さと動きを取り戻すかという、右腕に関する問題が常に頭にあったはずだ。しかし1年近くつきまとっているこの問題を切り離す必要があるだろう。
MotoGPライダーの手術経験を持つある外科医は、次のようにmotorsport.comに語った。
「カルテを見てはいない。ただ最後の手術から10ヵ月が経過しており、同様のケースではこれより前に最も顕著な改善が見られる。今後、彼の(怪我の)進歩は遅くなり、恐らくこれ以上の進歩はあまりないだろう」
6度のMotoGPチャンピオンが、この先どうなるかを推測することは難しい。だが彼は再びタイトルを争うことを誓っている。たとえ自分自身を“再開発”し、怪我以前とは違った形でレースをしなければならないとしても……。
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