価格は280万円程度に?
執筆:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)
【画像】新型ルノー5【オリジナルやライバルと写真で比較】 全113枚
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)
2024年に欧州発売予定の新型ルノー5が、ミュンヘン・モーターショーで初公開された。レトロな「5」の名を冠した電動ハッチバックである。
このモデルは、ルノー・グループの新しい小型EV用プラットフォーム「CMF-BEV」を採用し、同ブランドの業績回復に向けた新製品計画の一部となる。
ルカ・デ・メオCEOは、新しいプラットフォームとバッテリー技術を採用することで、現行のゾエよりも約33%安い価格で5を販売することができると述べている。ゾエのエントリーモデルが2万7505ポンド(約420万円)であることから、5の目標価格は1万8500ポンド(約280万円)程度と思われる。
ルノーは、新型5に新しいパワートレイン技術とニッケル・コバルト・マンガン系(NCM)バッテリーを採用し、2030年までに1kWhあたりのコストを約58ポンド(約8800円)にまで抑えるという。また、新型5の航続距離は約400kmになるとされている。
新型5は、1972年から1996年まで生産されていたオリジナルモデルからデザインのインスピレーションを受けている。ルノーは2025年までに、新型5を含む7台の完全EVを発売する予定だ。ミュンヘンでは、大型のCMF-EVプラットフォームを採用した新型メガーヌEテックと並んでプロトタイプが展示された。
また、ルノー4の新バージョンである「4ever(フォーエバー)」もラインナップに加わる。
高性能モデルの「R5」も登場か
ルノーは新事業戦略「Renulution」を発表した際に、新型5のコンセプトを明らかにした。5プロトタイプは、2025年までに販売台数の30%をEVにするという同社の目標を達成するための重要な要素となる。
デ・メオCEOは、フィアット時代に500の復活に尽力した人物だ。
「わたしは経験から、カルト的な製品を再発明するとブランド全体に火がつくことを知っています。これは、多くの人が買える価格のカルト的なクルマです。そして、これはルノーブランド全体の始まりに過ぎません」
ルノー5プロトタイプはEVのみのモデルで、デザインは、カルト的な名車であるシュペールサンクやR5ターボなど、初代5の様々なバージョンからヒントを得ている。ヘッドライトは初代のデザインをモデルにしており、フロントマウントのEV充電ポートは、ラジエーターグリルがあった場所に配置されている。
ルノーのデザイン責任者、ジル・ヴィダルは次のように述べている。
「ルノー5プロトタイプのデザインは、当社の伝統を受け継ぐカルトモデルであるR5をベースにしています。現代性をシンプルに体現し、都市的、電気的、魅力的な、時代に合ったクルマです」
公開されたプロトタイプには、幅広のリアフェンダーと、R5ターボを彷彿とさせるレッドストライプのカラーリングが施されており、高性能モデルの登場を予感させる。実際、スポーツカーブランドのアルピーヌは最近、メガーヌEテック・エレクトリックと同じ218psのパワートレインを使用して、5のホットハッチ版を開発中であることを明らかにした。
ルノー5の歴史
1972年に発売された初代ルノー5は、フランスの小型車市場でルノー4とシトロエン2CVの間の大きなギャップを埋めるモデルとして開発された。ルノーのエンジニアには、フランスの自動車購入者の幅広いニーズを満たす小型車の開発が求められた。
最終的には、デザイナーのミシェル・ブエが描いたオリジナルのスケッチに近いデザインが採用され、当時としては少し型破りなものとなった。ルノー4とルノー6のコンポーネントを多く使用し、前輪駆動で2種類のエンジンから選択できた。
5は大ヒットし、1980年には世界で最も売れたクルマの1つとなった。1976年には、世界初の本格的なホットハッチであるルノー5アルピーヌ(5ゴルディーニとも呼ばれる)も誕生した。
1980年には、ミッドシップのターボエンジンを搭載したカルト的なクラシック・ラリーカー、R5ターボが登場した。
1984年に発売された第2世代の5ではエクステリアを一新。新しいプラットフォームを採用したシュペールサンクとして知られている。1990年に発売されたクリオに取って代わられたが、1996年まで一部の市場で販売されていた。
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