昨秋、ワールドプレミアされたコンセプト4シリーズクーペが、ほぼそのスタイルをキープしたまま量産に移されることになった。目を奪われるのは、やはり大胆かつ巨大なキドニーグリルで、このところややコンサバ路線へと回帰しつつあったBMWデザインが久々に放つ話題作。はたして、そこに込められたメッセージとは。
BMWデザインの変革へ向けた狼煙
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昨年のフランクフルト・ショーに登場したコンセプト4シリーズクーペは、BMWデザインとして久々にセンセーションを巻き起こした。それはちょうど20年前、当時のチーフデザイナー、クリス・バングルが発表して大議論となった7シリーズ(E65)を彷彿とさせる出来事だったといえる。当時、BMWは全シリーズを通じて同じようなフロントマスクで、サイズは違うが顔がすべて同じロシアの人形、マトゥリューシカのようだと揶揄されていた。そこへバングルがカンフル剤を打ち込んだのだった。賛否両論はあったが、少なくとも以降、カーデザインとデザイナーが大きく前面に登場することになった契機ともいえる。
コンセプト4シリーズクーペは、当時の7シリーズほどではないものの、たしかに好き嫌いが分かれるデザインではあった。しかし、現在のBMWは1990年代のような傾向にあり、同時にアウディのマーク・リヒテ(51歳)やメルセデス・ベンツのゴーデン・ワーゲナー(52歳)のようなシンボリックなスターデザイナーも輩出していない。こうした状況で発表されたコンセプト4シリーズクーペは、SNS上では「まったくダメ」から「チャレンジングで素晴らしい」まで非常に幅広い反響を呼んでおり、少なくとも再びBMWデザインが語られるいい機会となった。
さて、こうして発表された量産の4シリーズは、ほぼコンセプトモデルと違わないデザインで登場した。スタジオで実車に対面したが、特にメガキドニーといわれる大型のグリルは大胆で個性的、個人的には久々に好印象を受けた。残念なのは、立派なモノキドニーグリルの中央を横長のナンバープレートが邪魔していることで、フロントのナンバープレートを付けなくてもいい北米のオーナーだけが、この素晴らしいデザインを堪能することができるのだ。
大胆なのはキドニーグリルだけではない。BMWファンであれば、シャープなサイドビューを際立たせるCピラーに気がついたと思うが、長年BMWデザインのアイコンとして受け継がれてきたホフマイスターキックが完全消滅しているのだ。ここにもBMWが4シリーズから革命を起こそうとしていることがわかる。ちなみに、ボディサイズは従来モデルから全長が128mm伸びた4768mm、全幅は27mm広がった1852mm、全高は6mm上がった1383mm。すなわち、全体のプロポーションはロー&ワイドでスタイリッシュな、古典的スポーツクーペそのものだ。
実は、スタジオ撮影に先立ち、筆者はプロトタイプを公道で試乗するチャンスを得ていた。車両は2L 4気筒ターボエンジンを搭載した430iとM440i xDrive。前者は258psと400Nm、後者は374psと500Nmに加えて11psの48Vマイルドハイブリッドシステムを採用する。テストは同乗ではなく、新型コロナウィルス感染を避けるためにシャシー開発担当のヨース ・ ファン・アースがZ4を駆って先導、筆者は単独でそれに追従するという異例のパターン。
相手は正真正銘のテストドライバーで、しかもスポーツカーのZ4。追いつくのさえ大変だったが、新しい4シリーズのシャシーポテンシャルはピュアスポーツカーに勝るとも劣らない非常に高いものだった。
この新型4シリーズは今秋の10月24日から世界同時発売を予定しており、最初に市場投入されるのは2L 4気筒エンジンを搭載する184psの420iと258psの430i、そして388psの3L直6エンジンを搭載するM440i xDrive。ドイツ本国での価格は420iが4万5800ユーロ(約552万円)、M440iは6万6900ユーロ(約810万円)と発表されている。
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みんなのコメント
こんなデカ鼻慣れるか、ダサいって思ってたのに