11月29日(水)発売の『auto sport(オートスポーツ)』2024年1月号は、立川祐路特集です。1999年から24年にわたりGT500トップドライバーとして走り続けて、しかも、そのキャリアを通じて一貫してチームセルモに在籍。トヨタ陣営のエースとして君臨してきました。
そのキャリアを振り返ることは同時に2000年代のJGTC~スーパーGT史を振り返ることにもなります。かつて“GT500新人・立川祐路”の兄貴分としてレース界やGTのことを教えた竹内浩典(現シフト代表)は当時をこう振り返ります。「セルモが一番負けられない相手はトムスでありルマン。他のメーカーとの戦いである同時に陣営内での戦いで緊張感があった。チーム独自でのパーツ開発もあって、良ければそれがトヨタ内で全車に採用されることもあった」。そうなると開発費が出てチームが潤うようなこともあってモチベーションになっていたと言います。
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今と違い2000年代はベース車両に縛られた改造マシンだったために、その不利や有利がある反面、そこをどう開発で乗り切るのか、そうした面白さと難しさがドライバーにもあったことがあらためて、今回の特集で確認できました。
今では当たり前の左足ブレーキも立川が先駆者。スープラはホイールベースが短くトリッキーでかつ、エンジンは小排気量+大タービンでどっかんパワーの超ピーキーな組み合わせで、それに対して左足ブレーキでの微妙な制御が武器になったようです。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの“立川さん”をプレス対抗ロードスターレースに借り出したのはオートスポーツチーム。最初は2002年のことでした。最初のGT500タイトル獲得が2001年。ですから大胆にも(図々しくも)前年のGT500タイトル保持者を筑波に招聘したわけです。
「いや~右足でブレーキ踏むなんて何年もやってないっすよ」という立川さん。
練習走行で走りだすと、ヒール・アンド・トゥがうまく決まらないのかタイムがイマイチだし、ばらつきがひどい。予選ではタイムアップしたものの、並み居るロードスターの達人に及ばず……。この手のクルマだとGT500ドライバーでもそんなに速く走れるわけではないのだろうな、とか納得しかけたところ、任せた決勝最終スティントでは本領発揮。
どんどんペースをあげて予選並みのタイムでトップを追い上げだしました。それも我々編集部員が燃費走行をちゃんとしておらずガス残量が少ないにもかかわらずです。
ほぼノーマルのロードスターで筑波を走っているので、そんなにタイムを詰めるところがいろいろあるわけでもないのに、周回ごとにタイムを上げていくところに凄みがありました。GT500のエースドライバーってやっぱり別次元。当たり前の事実ですが、いつものレース取材と違うかたちで確認させていただきました。
さらにレース後、帰ってきた我らのマシンを見るとフェンダーが凹んでいる。おやっと観察していると、こちらから求めていないのに、どういう状況でぶつかったかを立川さんが詳細に説明してくれました。「第2ヘアピンの状況がこうで、1コーナーでこっちからビュッときて、ボクはこうして下がって……」(要約するとオレが悪いのではなくて他のクルマにぶつけられたということ)。感情表現はシンプルですが、状況の記憶量とその言語化能力は極めて高いということをそこで認識しました。ここでも立川さんの“日常の仕事”をちょっと垣間見ることができました。
そんな立川さんを短く表現するなら“華のあるレース職人”でしょうか? 多くを語らず自分を語り表現するのは走り、みたいな……。スターは時代背景とともに輝くもの。ぜひオートスポーツ1月号で味わってみてください。
■『auto sport』No.1591 2024年1月号
特集:SGT最終戦/立川祐路[引退記念特集]
発売日:2023年11月29日(水)
定価:1200円(本体価格1091円)
ISBN:4910121170147
商品ページ:https://shop.san-ei-corp.co.jp/magazine/detail.php?pid=13050
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