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【マレリ】インテリア・イノーべションセンターで見た近未来のHMI

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【マレリ】インテリア・イノーべションセンターで見た近未来のHMI

2024年4月、グローバル・サプライヤーのMARELLI(マレリ)は、3月に開設したインテリア・イノベーションセンターを公開し、次世代車両に求められるHIM等最新の取り組みの説明を行なった。

カルソニック・カンセイからマレリへ

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マレリは2023年7月にインテリア部門の全てを、埼玉県吉見町に集約し、2024年3月にインテリア・イノベーションセンターを設立した。

マレリの沿革は、1925年関東精器と蜂巣工業所をルーツに持ち、社名変更や吸収合併などを経て、カルソニック・カンセイとなり、インテリアやラジエター製品などのTier1であった。そして2018年にイタリアのグローバル・サプライヤーであるマニエッティ・マレリを買収し、2019年にマレリへと社名変更しているグローバルサプライヤーだ。

この吉見工場は96%がインテリア部品を製造している工場で、日産車を対象としたものが多く、他にホンダ、トヨタ、そしてUDトラックといったOEが取引先だ。

マレリのインテリア部門を埼玉県吉見町に集約した狙いは、「異なる専門家が集まってイノベーションを作り出す」ことがある。そしてデジタル環境の中であっても、机上の空論ではなく現場で現物を認識する三現主義に基づき、イノベーションを作り出せる環境づくりとツール作りを目指すこと。

さらに、世界初や日本初を多く輩出した歴史の延長上で、夢や妄想をいかにスピーディに実現するかというマインドセットを持てるようにする、という狙いを持っているとインテリア・エクスペリエンス事業本部の成富光義氏から説明があった。

インテリア・エクスペリエンス事業本部の成富光義氏IICからOEMへの提案

そうした狙いを踏まえてインテリア・イノベーションセンター(IIC)内のラボの見学と実際の製品を製造する工場を見学することができた。

IICでは、OEMへの提案や実際に納品している製品などの展示物を見ながら、エンジニアの説明を受けた。

ここでのポイントは、ひとつにはサスティナビリティが求められる現在、素材開発においてリサイクル、リユースといった再生素材を使った製品が求められていること。そして、VRを使って実際の走行でどんなレイアウトのダッシュボードが良いのか、どんなスイッチがいいのか、視認性はどうかといったデジタルツイン技術を用いた開発をしていることだ。

さらに、光と素材の組み合わせでゆらぐ光やスピードを感じさせる演出、リラックスできる光など、人間の感性に響くマルチモーダルへ結びつく技術を開発し、OEMへ提案していくことなどがあった。

そして現在開発しているもの、求められているものとしてHMIのコックピット開発がある。それは自宅リビングとシームレスにつながることも重要な要件と位置付けている。

サステナブルな素材が要求され、さまざまなリサイクル、リユースから新しい素材が出てくるデジタル・デトックス・コックピット

ここでは、デトックスという言葉が用いられて説明を受けたが、デジタル化、コネクテッド化、技術の高度化などにより、ありとあらゆることが車内でできるようになり、現在地としては情報が溢れている状況だ。そこを、本当に必要なものか?といった視点を盛り込んだ「デジタル・デトックス・コックピット」を体験した。

必要なものはわかりやすく、不要なものは隠すことが必要だと説明されたが、必要、不必要の判断はどこで行なうのか?質問をしてみると「遭遇するシーンで必要なものが決まることと、もうひとつは、個人差があり精神的なもの、空間から受ける感性みたいなものがあるので、その2点がポイントになります。そして個人差に関してはドライビング・シミュレーターを使って、日夜人間の構造研究を進めています」という回答を得た。

一方で、ドライバーアバターを作り、行動学習をすることでクラウドに情報を集約し、必要なシーンに合わせて対応するという方法も研究していることも聞けた。

このようにHMIコクピットは各社開発競争が激しく、また中国市場、北米、欧州、そして日本でもその要求内容が異なる複雑さも持っているため、コストを踏まえた製品開発がこのインテリア・イノベーションセンターで行なわれているわけだ。

職人技が求められる製造工程

後半は実際の製品を作る工場見学をした。最初に見学したのは塗装工程で、特徴は自己修復機能を持つ塗装でピアノブラックに塗装された部分に擦り傷がついた場合、自然と擦り傷が消えていく塗装。これは塗料が柔らかいことで、凹みが自然回復する性質を利用したものだ。

次にバルクヘッドと呼ぶフレーム製造工程で、ラジエターやヘッドライト、コンデンサー等をフロントに取り付ける際のフレーム。こちらはホンダへ納品しているという説明だった。

興味深いのはIICでもサンプル展示されていたが、スマートサーフェイスという部品で、パネルの裏側に電子部品を仕込み、タッチ操作をした際、スイッチからのフィードバックが得られるものだ。これはiPhoneにある「触覚タッチ」のことでハプティック・タッチという機能を持たせたパネルを製造していた。

驚いたのは、これだけ自動化が進む中でも、人の手により職人技が必要な部品があることだった。GT-Rのダッシュボードにレザーを貼る工程では、表皮がグレードにより3パターンあり、本革、アルカンターラ、合皮で、それぞれを職人が丁寧に貼る作業を見ることができた。

GT-Rのようなスペシャルな車両には、こうした職人技が盛り込まれているほうが高い付加価値があるというわけだ。

HMIの領域はADASの進化、そして完全無人自動運転車両などが今後出てくるわけで、そうした次世代モビリティにおいて、重要な役目を果たす領域ということだ。

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