5.0L V8にスーパーチャージャーで700ps
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
イタリアの自動車メーカー、デ・トマソが復活する。限定生産されるスーパカー、P72に搭載されるのは、スーパーチャージャーで過給されるフォード製V8エンジンだ。
ミドシップされる5.0Lユニットは、アメリカのエンジニアリング企業、ラウシュ社によってチューニング。最高出力700ps、最大トルク83.9kg-mほどを叩き出すと見込まれている。
ドライサンプ方式の潤滑システムを採用し、ハードコーナリング時でもエンジンオイルをくまなく送り込むことが可能。熱効率と動作速度を高め、気流を改善し振動を抑えた、新しいスーパーチャージャーが組み合わされる。
デ・トマソによれば、「V8エンジンは自然吸気のような性格を持ち、アメリカンV8サウンドを損なうことなく、スムーズでリニアなパワーカーブを実現している」 という。
新しいP72がデザインの着想を得ている、1965年のデ・トマソP70もフォード製の5.0L V8エンジンを搭載している。そちらは、エンジニアのキャロル・シェルビーによってチューニングを受けていた。パフォーマンスの詳細はまだ未公表だが、数カ月以内に実車のビデオクリップを発表するという。
カーボン製シャシーはLMP規格に準拠
香港を拠点とするイデアル・ベンチャー社によって復活することになるデ・トマソ。P72のカーボンファイバー製モノコックシャシーは、LMP(ルマン・プロトタイプ)規格に準拠したものとなっている。同社はハイパーカーのアポロ・インテンス・エモツィオーネにも関わっている。
エクステリアデザインは1960年代のルマンレーサーや、かつてのデ・トマソとの共通性を感じられるものだが、見事に現代風に処理されている。インテリアはパガーニのようにシフトレバーのリンク機構が露出し、最高級の素材を落ちいて、極めて豪華な設えが施されている。
イタリアの自動車メーカー、デ・トマソの歴史はさほど広く知られてはいない。アルゼンチン出身で元F1ドライバーのアレハンドロ・デ・トマソが1959年に設立した企業だ。歴史の中でフランク・ウィリアムズにF1マシンを開発しているほか、1975年から1993年にかけてはマセラティも所有していた。
新しいゼネラルマネージャーのライアン・ベリスは、「アレハンドロの挑戦は正確に広く知られていません。彼の功績は、エンツォ・フェラーリやフェルッチオ・ランボルギーニと同じように、認められるべきだと思います」 と話す。
デ・トマソの復活計画は今回が初めてではない。2009年には元フィアットの幹部がブランド名の使用権を購入し、SUVや高級車などを販売する計画があった。
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