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歴代最強Sクラス登場 メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンスへ試乗 PHEVで802ps

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歴代最強Sクラス登場 メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンスへ試乗 PHEVで802ps

4.0L V8ツインターボに駆動用モーター

メルセデス・ベンツのラインナップで、最も豪華絢爛なサルーンといえるのがSクラスだ。その最新のW223型へ、突出した動力性能を武器にするAMG版が登場した。

【画像】最強Sクラス登場 メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス 競合クラスのサルーンと比較 全111枚

大型の高級リムジンにモータースポーツで名を馳せるAMGという組み合わせは、不自然に思えなくもないが、実は長い伝統を持つ。1972年以来、各世代のSクラスへ別格な技術が投入されてきた。

ただし7代目となる最新のAMG S 63では、従来との大きな違いがある。これまでは、大排気量のV型8気筒やV型12気筒のエンジンに、強力なターボチャージャーやスーパーチャージャーをドッキングし、大幅なパワーアップを叶えるのが定石といえた。

だが最新版では、プラグイン・ハイブリッドを採用。エンジンは4.0L V型8気筒ガソリン・ツインターボだが、そこへ駆動用モーターが組み合わされている。

このシステムは、メルセデスAMG GT 63S Eパフォーマンス 4ドアクーペのものの派生版。主な違いとなるのは、203psから190psへ若干パワーが絞られた駆動用モーターと、6.1kWhから13.1kWhへ容量が増やされた駆動用バッテリーを積むことだ。

その結果、AMG S 63では、電気のみで走れる距離が20kmプラスの最長33kmとなっている。といっても現在の水準では、長いとまではいえないだろう。パワーでは遥かに劣るが、同クラスのBMW M760eは85kmも走れる。

最大トルク145.5kg-m スーパーカーのような加速

AMG S 63のシステム総合での最高出力は802psで、最大トルクは実に145.5kg-mを達成。先代の5.5L V8ツインターボを積んだS 63から、190psと53.7kg-mも増強されている。歴代のSクラスで、最もパワフルになった。

そのかわりハイブリッド・システムは軽くない。車重は309kg増え、2520kgもある。

目をみはるほどの大トルクを巧みに操る可変式の四輪駆動システムと、迅速に働く9速ATによって、0-100km/h加速は3.3秒でこなすと主張される。走りへ強い興味が湧くほど、印象的な数字が並んでいる。

ドライブモードには、エレクトリック、コンフォート、バッテリーホールド、スポーツ、スポーツ+、スリッパリー(滑りやすい路面用)、インディビジュアルの7種類が用意されている。特性の変化は大きく、Sクラスに驚くほどの多様性をもたらしている。

複雑なパワートレインを日常的に活用するには、コンフォート・モードが1番。必要に応じて内燃エンジンと駆動用モーターを巧みに制御し、圧巻のたくましさと洗練性へ浸れる。高速道路では、常に巨大なエネルギーが控えているという、余裕も滲ませる。

スポーツ+モードを選択すると、AMGらしい怒涛のパワーが繰り出される。2基のターボがブースト圧を高めるまでの短い時間を駆動用モーターが補い、レスポンスは即時的。右足を目一杯倒せば、さながらスーパーカーのようなダッシュを披露する。

優れたシャシー技術で敏捷な身のこなし

知的な四輪駆動システムと、電子制御のリミテッドスリップ・デフは、確実なトラクションを生み出す。それでも、みなぎるパワーをパワートレインは完全には受け止めきれない様子。低速域でも高速域でも、不自然な一拍が時折感取された。

V8エンジンは、いかにもな迫力のサウンドを響かせる。ただ、車内にはステレオで増幅された人工音も再生され、若干の違和感があった。お好みでなければ、その人工音はオフにもできるが。

サスペンションには、AMG S 63専用チューニングのエアスプリングとアクティブ・ロールシステムが組まれる。また、3度まで操舵される後輪操舵システムも付く。これらにより、巨大なボディをフラットに保ちつつ、敏捷な身のこなしを実現している。

カーブが連続する区間へ飛び込んでみると、車重を軽く感じさせるほど軽快。ボディサイズもひと回り小さく思えてくる。

乗り心地は硬めだが、衝撃吸収性には優れる。ミシュラン・パイロットスポーツ4Sというスポーティなタイヤが組まれ、引き締められたサスペンションと相まって、路面が荒れてくるとロードノイズは小さくないが、洗練性を霞ませるほどではないだろう。

ちなみに試乗車のタイヤサイズは、フロントが225/40、リアが285/35だった。

伝統のストロングポイントを新技術で昇華

最新のAMG S 63は、多様性をさらに拡幅したといえる。プラグイン・ハイブリッドを受け入れてしまえば、極めて訴求力の高いドライビング体験を享受できる。AMG GT 4ドアクーペより実用性は高く、ラグジュアリーなインテリアはSクラス水準でもある。

ドライブトレインの洗練性も極めて高い。駆動用バッテリーの容量は大きく、通常は駆動用モーターの力で発進するよう設定されている。滑らかで静かに、キビキビと速度を変化させていく様が気持ちいい。

確かに、従来的なAMGのSクラスとは異なる特性ではあるだろう。だが、伝統が築き上げてきたストロングポイントを、新しい技術で昇華し、現代的な魅力へ結びつけていると筆者は感じた。

メルセデスAMG S 63 Eパフォーマンス(欧州仕様)のスペック

英国価格:18万6015ポンド(約3255万円)
全長:5179mm
全幅:1921mm
全高:1503mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:3.3秒
燃費:22.7km/L
CO2排出量:100g/km
車両重量:2520kg
パワートレイン:V型8気筒3982ccツインターボチャージャー+同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:802ps(システム総合)
最大トルク:145.5kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速オートマティック/四輪駆動

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