2013年に日本で発売されたルーテシアがフェイスリフトを受け、インテンス、ゼンが2017年2月9日から、アクティフは3月23日に発売される。今回のフェイスリフトでは、内外装のデザイン小変更と、装備の充実が図られている。
<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
ルーテシア(現地名はクリオ)は、ヨーロッパでは2012年秋から発売され、フランスのベストセラーカーとなったのはもちろんだが、競合車が多いヨーロッパのBセグメントの中でもトップに躍り出ている。デザイン、走り、パッケージングなどトータルな魅力が評価を受けているのだ。現行ルーテシアは、2016年にも年次改良を受け、エンジンがユーロ6対応の最新仕様に変更されている。また、トランスミッションのギヤ比も変更されていたが、デザイン面での変更はなかった。今回のフェイスリフトではそのエクステリア、インテリアに初めて手が入ったわけだ。
エクステリアでは前後のバンパー、ライト周りに手が加えられ、ワイド感を強調。インテンス、ゼンのヘッドライト、リヤライトはLED化されている。また新型ルーテシアには0.9L・3気筒ターボ・エンジンに5速MTを組み合わせ、価格を抑えたスタンダードモデル「S MT」が100台の限定車として設定され、2月9日から発売される。この「S MT」はフランスでは人気モデルで、価格も199万円(税込み)という魅力的な設定になっている。
そのエクステリアでは特にフロントバンパー・エアインテークが従来の横長の楕円形から逆台形に変わり、ワイドさ、ダイナミックさを強調している。また、LEDヘッドライトとなりその外側に常時点灯するC型のLED灯が配置され、鋭い眼光を持つ風貌になっている。
ライトの機能は、オートライトはもちろん、ドアを開錠するとヘッドライト部外周のC字型ランプが点灯する仕組みになっている。C型ランプはウエルカムライト、クルマを離れる時のグッドバイ・ライト、クルマから離れて一定時間点灯し、暗がりを照らす「シーミーホーム」など多様な働きをする。
インテリアは、インテンスのみは新しいカラーコーディネイトとなり、シート形状やドアトリムの質感もアップされている。センターディスプレイは7インチサイズのタッチスクリーン式で、ラジオ、Bluetooth、USB対応で、スマートフォンと連携し、ナビやエンターテイメント、メール、ガソリンスタンドや駐車場検索などスマートフォン+ルノー・アプリの機能をすべて表示することができる。
こんな感じで、もはや装備や仕上げもBセグメントの常識を上回るレベルに達している。グローバルな視点で見て、最新のBセグメントでもこのくらいの装備や質感が求められるということが実感できる。
■ルーテシア インテンスに試乗
発売前にいち早く試乗したのはフル装備のルーテシア インテンスで、1.2L 4気筒・直噴ターボにデュアルクラッチの6速EDCを組み合わせたモデルだ。ホイールも従来はボディカラー同色のアクセントを付けたものから、ブラックのアクセント付きの新デザイン・ホイールに変更されている。インテンスはもちろん17インチサイズで、タイヤは205/45R17のミシュラン・プライマシー3を装着していた。
走りに関しては今回は変更がない。中低速トルクの太さを生かした気持ちよい加速感、変速レスポンスが素早く、しかも滑らかな6速EDCでの走りは十分にスポーティだ。ECOモードを選択すると加速もやや穏やかになり、シフトアップのタイミングも早くなるが、市街地ではこのECOモードでの走りで不満がない。
そして走行中のボディ全体のがっちりした印象は、舗装路面が変化してもロードノイズの変化が穏やかなこと、不快なフロアの微振動などがうまく抑制されていることなど、長距離を走っても疲労は少ないだろうと感じさせてくれる。
サスペンションの接地感やステアリングの滑らかさ、正確さも初期モデルより一段と熟成されたと感じられた。ステアリングは過敏すぎず、高速直進時の安定感と、操舵角に応じてドライバーの思い通りに切れるフィーリングは、このクラスでもトップレベルの質感がある。ステアリングを切ってコーナリングする瞬間の気持ちよさ、爽快感はレベルの高いドライビング・プレジャーとなってドライバーに伝わってくるのだ。
ルーテシアというクルマは決してマニアックな、特別なクルマではなく、ヨーロッパの定番であり、国民車といったイメージのクルマなのだが、その走りのレベルの高さは脱帽モノであり、ヨーロッパでトップセラーとなっていることに素直に納得することができる。
■ルーテシア S MT
今回は試乗できなかったが、2017年2月9日から100台限定で発売される「S MT」。ベーシックな装備と0.9L・3気筒ターボエンジン(90ps/140Nm)と5速MTを組み合わせ、価格は199万円(税込み)
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