プーマに7速デュアルクラッチAT版が追加
text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)
【画像】【プーマは標準グレードが一番】フォード・プーマ STライン X ヴィニャーレへ試乗 前編 全161枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
今回試乗するクロスオーバー・ハッチバックのフォード・プーマは、上級トリムグレードのヴィニャーレ。7速デュアルクラッチATが、新しく組み合わされている。
このSTライン X ヴィニャーレもプーマに多様性を加える存在だが、フォードの花形仕様といえば、ラインの付かない本物のST。こちらも間もなく登場する予定だ。
現行のプーマには、1.0L 3気筒のエコブーストと呼ばれるターボ・ガソリンエンジンが搭載され、124psと155ps版が用意される。電圧48Vのマイルド・ハイブリッドが組み合わされ、英国ではトランスミッションはどちらも6速MTだ。
そして新たに、ハイブリッド版ではない124psの1.0L 3気筒エンジンに、7速デュアルクラッチATというペアが選択できるようになった。
マイルド・ハイブリッドのエンジンで、デュアルクラッチATが選べないのは不可解。機械的な都合があるのだろうけれど、エンジンやトランスミッションは自由に組み合わせられた方が、断然イイ。
2ペダルのプーマは、20年ほど前にATのハッチバックを選ぶような、つまらない選択だと感じる読者もいるかもしれない。それでも、スペックや装備、馬力や燃費、値段を比較するという時間は、クルマ選びの醍醐味だと思う。
華やかさがプラスされるヴィニャーレ
もしフォード・プーマに最も多くの金額を投じたいと考えたのなら、今回のグレードが相当するだろう。STライン X ヴィニャーレは、プーマのトップ・トリムグレードになっている。
ドライブトレインなど機械的な部分は、ほかのプーマと違いはない。見た目では、バンパーやフロントグリル、アルミホイールのデザインが専用となる。インテリアの素材や、装備も上級仕様になっている。
フロントグリルやボディ側面には、ほかのプーマにはない多くのクロームメッキも与えられている。ヴィニャーレがベースとするのは、スポーティなSTライン Xだから、18インチホイールやボディ同色のフェンダーアーチ・モールとサイドシルも付いている。
フロントのエアインテークは大きく、リアバンパーの下からは2本のマフラーカッターが突き出ている。筆者的には、クロームメッキの多用は少し時代遅れ感がなくもない。個人的な印象だから、華やかで好きだと感じる人もいるだろう。
フォードは数年前、プレミアム・サブブランドとして「ヴィニャーレ」を立ち上げた。せっかくの上級グレードながら、プーマのボディにはヴィニャーレを示すエンブレムは付かない。おそらく戦略的なものなのだろう。
レザーが多用される、実用性の良い車内
モンデオやフォーカスなどには、トランクリッドやフロントフェンダーに、エンブレムが誇らしげに貼られていた。ちなみに、最近フェイスリフトを受けたクーガにも、ヴィニャーレのエンブレムが付いている。
インテリアには、ヒーター内臓のレザーシートに、ステッチ入りのレザー張りダッシュボード・トップとドアパネルがおごられる。標準装備もかなり充実。それでも全体的な雰囲気は、上級感がそれほど高いわけでもない。
少なくとも、組み立て品質やパーツのしっかり感は高い。試乗車では、ガタついたり不自然に変形するような部分はなかった。
装飾パネルのテクスチャーは、カーボンファイバー風。あまり近づいて見ない方が良い。スイッチ類や操作系の部品は標準グレードと同じだということは、見ればすぐわかるだろう。
アウディQ2やミニ・カントリーマン(クロスオーバー)など、ハイエンドSUVを検討している人にとって、インテリアの質感は重要。プーマの場合も、子細に観察されるに違いない。
大きめのボディサイズのコンパクト・クロスオーバーとして、乗員空間は納得できる広さがある。荷室の床下にはメガボックスと呼ばれる、高さの深い収納が付き、実用性に優れる。泥だらけの長靴を入れたり、背の高い観葉植物を立てて載せることも可能だ。
この続きは後編にて。
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