現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「フェアレディZ432」には「A級ライセンス」を持ってないと買えないモデルもあった! 日産本気のクルマづくりとは?【国産名車グラフィティ】

ここから本文です

「フェアレディZ432」には「A級ライセンス」を持ってないと買えないモデルもあった! 日産本気のクルマづくりとは?【国産名車グラフィティ】

掲載 24
「フェアレディZ432」には「A級ライセンス」を持ってないと買えないモデルもあった! 日産本気のクルマづくりとは?【国産名車グラフィティ】

日産最強のS20型直6DOHC4バルブエンジンを搭載

究極のフェアレディとして与えられた「Z」の称号。人々を魅了するクーペスタイルは、快適性と安全性の観点から次なる時代を先見し創られた。登場時から世界のスポーツカー市場を震撼させた性能と価格。9年にわたるモデルライフで累計販売台数54万台という金字塔を打ち立てたのである。

日産「フェアレディZ カスタマイズド エディション」の販売は2023年度内!? セット販売か単品販売かはただいま検討中!

多くの確執がありながらも選んだレーシングエンジン直系のパワーユニット

スポーツカーの歴史を大きく変え、世界を驚かせた名車がフェアレディZである。鮮烈なデビューを飾ったのは1969(昭和44)年10月だ。初代「S30」は、発売すぐにセンセーションを巻き起こした。車名末尾の「Z」とは、究極のフェアレディであることを意味している。

搭載エンジンは、2種類の直列6気筒SOHCユニットを設定。国内仕様は税制面で有利な2LのL20型、海外仕様のダットサン240Zには2.4LのL24型を搭載した。

ボディは、軽量で高い剛性を誇るモノコック構造を採用し、フォルムもロングノーズにショートデッキの流麗なファストバッククーペとした。クローズドボディだから天候に関わらず快適性は高い。ロングランの高速走行も余裕でこなす。

フラッグシップは「PS30」の型式を与えられたZ432。搭載するのは、PGC10型スカイライン2000GT-Rから譲り受けたS20型直列6気筒DOHC4バルブユニットだ。当初は、横浜市鶴見区に本拠を置く日産のエンジン設計部が高性能ユニットを開発するはずだった。この計画は頓挫したが、高性能にこだわる川又克二社長はS20型エンジンの搭載を切望したのである。多くの確執があった。だが、トップダウンによって旧プリンス系のS20型エンジンを積むフェアレディZが誕生することになったのである。

S20型エンジンは、レーシングエンジン直系の精緻なパワーユニットだ。多球形燃焼室や日本初の吸・排気4バルブ、7ベアリング支持のクランクシャフトなどの設計は、ニッサンR380が積むレーシングエンジン、GR8型から受け継いだものである。ただし、メンテナンス性を高めるためカムシャフトの駆動はダブルローラーチェーンに、オイル潤滑はドライサンプではなくウエットサンプ式に変更している。

ボア82.0mm、ストローク62.8mmの6気筒エンジンだから総排気量は1989ccだ。燃料供給はミクニが内製化したソレックスN 40PHHキャブレターで、これを3基装着している。プレミアムガソリン仕様の圧縮比は9.5だ。最高出力は160ps/7000rpm、最大トルクも18.0kgm/5600rpmと、GT-Rのエンジンと変わっていない。もちろん、当時の2Lエンジンとして最強スペックだ。

Z432のグレード名は、この4バルブ、3連キャブレター、ツインカムを表している。 トランスミッションは、SP&SR311と呼ばれた時代のフェアレディから採用しているポルシェタイプのフルシンクロ・マニュアルが選ばれた。温めたナイフでバターを切ったときの感触、と言われる独特のシフトフィーリングが特徴だ。運転に慣れてくると狙ったギアに気持ちよく入れることができる。

エンジンパワーを引き出しやすい5速MTで、オプションで異なるギア比も用意された。エキゾースト系の取り回しが違うためかエンジン音はGT-Rと微妙に異なる。

Z432-Rは専用整流アイテムを装着しクーペスタイルの優位性をさらに向上

Z432は、軽量ボディでクーペルックのためエアロダイナミクスも優れていた。最高速度はGT-Rより10km/h高い210km/h。0-400m加速も15.8秒で走りきる実力を秘めていた。1970年秋には無鉛ガソリン対応としたレギュラーガソリン仕様を追加。圧縮比を9.0に下げたため、パワースペックは155ps/17.6kgmとなる。

フルオープンのフェアレディがそうであったように、フェアレディZもモータースポーツを強く意識して開発されている。Z432もレース参戦専用車として、飛び抜けてポテンシャルの高いグレードを販売した。Z432を軽量化したライトウエイトバージョンのZ432-Rだ。Z432は「PS30」の型式だが、Z432-Rは「PS30SB」と末尾に2文字が加わる。

エクステリアは、ちょっと見ただけではZ432と違いがわからない。だが、軽量化するために軽量部材を採用した。黒っぽいガングレーのボンネットは、軽くて丈夫なFRP製だ。また、フロントエプロンもスチールからFRPに変更された。ボディパネルはスチールだが、他のZより板厚がコンマ2mm薄い鋼板を使って軽量化に励んでいる。

外観での専用装備は、エンジンルーム下の整流用アンダーカバーだ。現代のクルマと同じようにパネルでフラットにして空力特性を向上させている。リアスポイラーも標準で装備された。しかし、バンパーのコーナーラバーは装着されていない。

フロントウインドウは合わせガラスだが、これ以外は軽量なアクリル製だ。具体的にはドアガラス、リアクオーターガラス、テールゲートガラスをアクリルに変更している。Z432はマグネシウムホイールを装備するが、Z432-Rはオプション設定とし、スチールホイールを履いていた。レースではワイドホイールに履き替えるからだ。ちなみにレース用のマグネシウムホイールは8.0Jのワイドなものになる。

インテリアからは時計やラジオ、ヒーターなど、走るのに不要な装備は外され、ドアトリムや内装材もスポンジを抜き取っている。シートはフルハーネスのシートベルトを装着できるように配慮した専用のFRP製バケットシートだ。イグニッションキーがシフトレバー後方に移されているのは、フルハーネスのベルト着用時でも操作できるようにするためだ。

ラゲッジルームには、容量を100Lに増やした燃料タンクが設置され、燃料計はFゲージの下に「100L」と記した専用品だ。ボディカラーはグランプリオレンジだけの設定だった。Z432の車両重量は1040kgだが、軽量化したZ432-Rは960kgと、80kgもの減量に成功している。

S20型直列6気筒DOHC4バルブエンジンに変更はないが、スポーツオプションのオイルクーラーを標準装備し、エアクリーナーに換えてファンネルを装着した。そのためかZ432-Rのほうが軽やかなパワーフィーリングだ。

Z432-Rは1970年からサーキットに姿を現した。デビュー戦の鈴鹿300kmレースはリタイアしたが、その後は好成績を残している。だが、S20型エンジンは繊細で、高回転まで回すと振動が出るのが弱点だった。そのためフェアレディZは、主力を240Zに切り替えている。

フェアレディZ432-R(PS30-SB) ●年式:1969  ●全長×全幅×全高:4115mm×1630mm×1290mm ●ホイールベース:2305mm ●車両重量:960kg(1040kg) ●エンジン:S20型直列6気筒DOHC4バルブ ●総排気量:1989cc ●最高出力:160ps/7000rpm ●最大トルク:18.0kgm/5600rpm ●変速機:5速MT ●サスペンション(前/後):ストラット/ストラット ●ブレーキ(前/後):ディスク/リーディングトレーリング ●タイヤ:6.95H-14 4PR ※( )内の数値はZ432

こんな記事も読まれています

R36「GT-R」はR34のようなルックスに原点回帰か!? クラシックなボディに収まるエンジンは「1000馬力の4.1リッター」もラインナップ
R36「GT-R」はR34のようなルックスに原点回帰か!? クラシックなボディに収まるエンジンは「1000馬力の4.1リッター」もラインナップ
VAGUE
トヨタ「アルファード“スポーツ”」発表! ド迫力「60万円超えホイール」×精悍「メッキアクセント」がカッコイイ! 高性能化する「トムスパーツ」9月に登場
トヨタ「アルファード“スポーツ”」発表! ド迫力「60万円超えホイール」×精悍「メッキアクセント」がカッコイイ! 高性能化する「トムスパーツ」9月に登場
くるまのニュース
うおおおお新型フォレスターだ! 東北道で積載された姿を補足! 日本発売はいつよ!?
うおおおお新型フォレスターだ! 東北道で積載された姿を補足! 日本発売はいつよ!?
ベストカーWeb
暑~い夏を乗り切れ! 夏に食べたい[涼]を感じるSA・PAのおススメひんやりグルメを紹介!!
暑~い夏を乗り切れ! 夏に食べたい[涼]を感じるSA・PAのおススメひんやりグルメを紹介!!
ベストカーWeb
SYM「ジョイライドS 125i 」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
SYM「ジョイライドS 125i 」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
究極の個人空間がここに! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー
究極の個人空間がここに! トヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
トラック運転手は中高年「第二の人生」にベストな職業か? 部長職からドライバーに転身「収入減ったが、楽になった」という現実、若手確保が無理なら逆転発想だ
トラック運転手は中高年「第二の人生」にベストな職業か? 部長職からドライバーに転身「収入減ったが、楽になった」という現実、若手確保が無理なら逆転発想だ
Merkmal
今見ても攻めすぎ!! グランディス今見ても未来感満載じゃない!?
今見ても攻めすぎ!! グランディス今見ても未来感満載じゃない!?
ベストカーWeb
マルク・マルケス、タイヤ内圧違反で16秒のペナルティ。4位から10位へ降格した理由は/第8戦オランダGP
マルク・マルケス、タイヤ内圧違反で16秒のペナルティ。4位から10位へ降格した理由は/第8戦オランダGP
AUTOSPORT web
角田裕毅、イギリスGP初日は厳しい1日に。でも悲観せず「理想的なスタートは切れなかったが、FP2で十分なデータを集められた」
角田裕毅、イギリスGP初日は厳しい1日に。でも悲観せず「理想的なスタートは切れなかったが、FP2で十分なデータを集められた」
motorsport.com 日本版
井戸田潤「欲しいな、これ!」 「Gクラス 320」試乗で大興奮!購入即決で妻を説得!?
井戸田潤「欲しいな、これ!」 「Gクラス 320」試乗で大興奮!購入即決で妻を説得!?
グーネット
330なのに2リッターだと!? エンブレム見てもわからん!! エンジンの排気量と車名が全然一致しなくなった今
330なのに2リッターだと!? エンブレム見てもわからん!! エンジンの排気量と車名が全然一致しなくなった今
ベストカーWeb
プジョー「408GTフレンチタッチ」発売!ドラレコ付きディスプレイミラー装備の特別仕様車
プジョー「408GTフレンチタッチ」発売!ドラレコ付きディスプレイミラー装備の特別仕様車
グーネット
フェラーリ、スペインGPから悩まされたポーパシングの解消に自信。イギリスGP前に解決策をテスト
フェラーリ、スペインGPから悩まされたポーパシングの解消に自信。イギリスGP前に解決策をテスト
AUTOSPORT web
全幅190cm!スモールキャブコン「リバティ50DB」 選んで楽しい全12色のカラバリ追加
全幅190cm!スモールキャブコン「リバティ50DB」 選んで楽しい全12色のカラバリ追加
グーネット
新型「トライトン」4台体制で王座奪還に挑む!AXCR参戦 チーム三菱ラリーアート
新型「トライトン」4台体制で王座奪還に挑む!AXCR参戦 チーム三菱ラリーアート
グーネット
F1イギリスGP FP2速報|マクラーレンのノリスが2セッション連続で首位。レッドブル以下に大差をつける。角田裕毅16番手
F1イギリスGP FP2速報|マクラーレンのノリスが2セッション連続で首位。レッドブル以下に大差をつける。角田裕毅16番手
motorsport.com 日本版
マクラーレン1-2! ノリスとフェルスタッペンのペースは同等……再び一戦交えるか? 角田裕毅16番手|F1イギリスGP FP2
マクラーレン1-2! ノリスとフェルスタッペンのペースは同等……再び一戦交えるか? 角田裕毅16番手|F1イギリスGP FP2
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

24件
  • で、A級ライセンスが無いと買えないモデルってどれなんだ?w
  • 432Rの活躍はごく一瞬だったね。北野が乗ってたっけ?
    柳田の240が大活躍していたにを覚えています。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105.8128.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

7.088.0万円

中古車を検索
Zの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

105.8128.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

7.088.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村