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インディカー第7戦デトロイト:エリクソンが初優勝で今季7人目のウイナーに輝く。琢磨は悔しい4位に

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インディカー第7戦デトロイト:エリクソンが初優勝で今季7人目のウイナーに輝く。琢磨は悔しい4位に

 ダブルヘッダーで開催されているインディカー・デトロイト戦。12日に行われたレース1となる第7戦決勝レースは、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)がインディカー初優勝を挙げた。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、上位を争うも残り3周のリスタートで順位を落とし、4位でレースを終えた。

あと一歩で表彰台を逃した佐藤琢磨「今日はこれが精一杯だったかも……」/インディカー第7戦デトロイト

 デトロイトGPはダブルヘッダー。今年は予選方式が3段階ではなく、2段階にされた。

 金曜のプラクティスでの奇数順位、偶数順位の2グループに分かれ、それぞれの上位6人が第2セグメント=ファイナルラウンドに進み、“ファイアストン・ファスト12”がポールポジションからの上位12グリッドを競い合うのだ。

 最速はパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)で、今季2回目、キャリア3回目のPP。予選2位はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。ラップタイムはオーワードが1分15秒5776、ロッシが1分15秒6584だった。

 予選3番手は“ルーキー”のロマン・グロージャン(デイル・コイン・ウィズ・RWR)。チームメイトのエド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)が予選4番手だった。

 チーム・ペンスキー最上位はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)の5番手。その後ろがコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)で、金曜のプラクティスで最速だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は7番手だった。

 8、9、10番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、セバスチャン・ブルデー(AJ・フォイト・エンタープライゼス)。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は11番手にしかなれず、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)もファイナルには進んだが、そこでのパフォーマンスは低かった。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選の第1セグメントで敗退する16番手だった。チームメイトふたり、グラハム・レイホールとスポット参戦のサンティーノ・フェルッチも予選20番手、22番手と苦戦していた。

 ポイントリーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)はさらに厳しい状況。第1セグメントをクリアできない予選21番手で、その上にインディ500でのカーブデイ後のエンジン交換によるペナルティ(=6グリッド降格)があるので、最後尾25番グリッドからスタートすることになった。


 雨の心配もされたが、レースは好天下、そして暑いコンディションで争われることになった。

 意外にも、スタートして6周目までで12台がピットインし、タイヤをレッドからブラックに替えた。彼らは3ストップ作戦で、安定間の高いブラックタイヤで勝負することとしたのだ。

 ピットせずにトップに躍り出たのはジョーンズで、その後ろはパワー、ディクソン、琢磨だった。トップグループでただひとりレッドタイヤを装着していたディクソンは、ジョーンズが後退した後にパワーをパスし、レースリーダーとなった。

 しかし、24周目にフェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP)の大クラッシュによって起こされた赤旗で、彼が築きかけていたアドバンテージは消滅した。

 1時間18分の中断の後にレースは再開。赤旗の前にピットしていたパワーが今日二度目のトップに立った。第一スティントよりも明らかにスピードがあったパワーは、2番手のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、3番手の琢磨を寄せ付けずに周回を重ねた。


 オーワードらの3ストップ作戦は失敗に終わり、レッドタイヤをスタートに選んだディクソンの快進撃も実らず、パワーが今季初優勝を手にするものと思われた。チーム・ペンスキーのシーズン初勝利は、ロジャー・ペンスキーがプロモーターを務めるレース、シボレーをタイトルスポンサーとする、シボレーのお膝元デトロイトで、シーズン7レース目にしてようやく飾られるもの……と誰もが考えた。

 しかし、そうはならなかった。グロジャンがターン9で壁にハードヒットし、ゴール前7周でイエローフラッグが出され、すぐさまレッドフラッグに。インディカーはイエローのままゴールとなるのを嫌ったのだった。

 2回目のレッドは7分強で解除され、レースは再開されることに。しかし、パワーのエンジンがかからず、オフィシャルはかなり長い時間的猶予を与えたが、ついに彼のマシンを列から外れさせ、エリクソンを先頭にしたマシン軍がコースへと戻っていった。2番手は琢磨、その後ろにはヴィーケイ、オワードが続いていた。

 残り3周でグリーンフラッグ。ここでヴィーケイが素晴らしいダッシュを見せ、琢磨をターン1でパス。ラインを外れた琢磨はタイヤかすに乗って大幅スピードダウン。その横をオーワードがすり抜けていった。

 エリクソンはスタートダッシュで築いたリードを最後まで保ち、ヴィーケイに1.7290秒の差をつけてゴールした。

 レースを終えたパワーは、「僕の怒りはインディカーに向けられている」とコメントした。

「トップだった僕は赤旗が出されて最初にピットレーンに入って来た。そして、最後のマシンがピットレーンに止まるまでサイドポッドにファンで風を送ることを許されなかった。待っている間にECUが熱でやられてしまったのだ。今日の僕は力を出し切ってのドライビングを行っていた。その結果がコレとは!」

「オフィシャルは黄旗を出したんじゃない。赤旗という愚かな判断を下した」と怒りは治らなかった。

 確かに彼はレースをほぼ掌中に収めていた。自己ベストのラップを次々更新してもいた。2番手につけていたエリクソンが彼の背後に迫ることはあったが、コーナー入り口で並びかけるところまで攻め込むことはなかった。

 最後の赤旗が出された時、残り周回数はもう7周になっていた。しかし、パワーの言い分が100パーセント正しいとも言えない。ほぼ同じタイミングでマシンを停めたエリクソン、その後ろの琢磨のホンダエンジンは問題なくかかったし、4番手のヴィーケイ、5番手のパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)のシボレーエンジンも熱によってECUに熱によるトラブルを発生させることはなかった。


「パワーに起きた不運は、とても残念なことだ。彼の心情を察する。彼は素晴らしい走りをしていた。しかし、僕だって過去2シーズン、不運に見舞われ続けてきた。勝つのは本当に久しぶり」

「いちばん最後に勝ったのは、僕がまだ子供の頃だ。そろそろ幸運に恵まれても良い頃だと考えていた。今日はこの結果を素直に喜ぶことにする。レース再開でのリスタートはうまく切れたし、その後のゴールまでのラップもクリーンに走り、差をコントロールできていた。勝つのは久しぶりだ。とても気分がいい。このためにハードワークをこなしてきた」

「最後のレッドフラッグが出された時には頭に来たが、少しして、これは自分たちが勝つチャンスに繋がると考えた。そして、レースが再開されたら自分たちの方がパワーより速く走れる……とも考えた。勝負を仕掛ける、闘志が湧いてきていた。スティントの最初では自分たちの方が速いと考えられたからだ」とエリクソンは喜んでいた。

 琢磨は4位でフィニッシュし、嬉しさと悔しさ、両方を表情に浮かべていた。

「たくさん抜いたけれど、抜かれもした。最後のリスタートではトップを狙いにいくつもりだったけれど、最終コーナーでトラクションが得られず、ターン1に入る前にヴィーケイにインに入られた」

「そこでタイヤかすを拾って万事休す。最後に自分の抜いたライバルたちにまた抜き返されたのが悔しい。4位という結果は、スタート位置(16番手)を考えると悪くない。明日のレースでは、ブラックタイヤでのペースをあと少し速くしたい。チームの3台で得られたデータを利用して、明日の予選、決勝のレースを良くしたい」と琢磨は語った。

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