岡山国際サーキットで行なわれた2021年のスーパーGT開幕戦。GT500クラスを制したのは、#14 ENEOS X PRIME GR Supraの大嶋和也と山下健太だった。
ただ、楽に勝利を手にしたわけではない。特に山下がドライブした第2スティントは、終始#36 au TOM'S GR Supraの坪井翔からプレッシャーをかけられ続ける厳しい状況。しかし山下はこれに耐え、トップチェッカーを受けた。
■スーパーGT第1戦岡山決勝:スープラの山下と坪井の手に汗握る一騎打ち。ルーキーレーシングが初優勝を飾る
一歩及ばなかった坪井はレース後、「悔しかった」とその心境を吐露した。
「悔しいですね。僕の方が圧倒的に速かったので、違うコースならば良かった……」
そう坪井は語った。
「ここ岡山は、インを抑えられたら抜けないですし、際どいラインでの走行でした。少し接触もありましたが、スープラ同士でぶつかってはいけないと思いながら、無理せず仕掛けていきました。その中で際どいところを攻められ、コースをはみ出すしかない状況が何度か続きました」
75周目のヘアピンで、坪井はアウト側から山下に並びかけ、そしてブレーキング競争になった。しかし坪井は減速し切れず、グラベルまで飛び出してしまい……これで勝負は決した。
「(オーバーテイクを成功させるためには)アウト側から行って、あれくらい突っ込むしかなくて……その結果コースをはみ出してしまいました。そこは反省点ですけど、あそこで行かなければ『ああ、コイツは仕掛けてこないドライバーなんだな』と思われてしまうかもしれません。そう思われるのは嫌なので、行くところは行くんだというところをしっかり見せました」
「ただ、3~4番手争いのマシンがすぐ後ろにいたら、僕は表彰台に登れなかった……そういう意味では、飛び出してはいけません。飛び出さないギリギリのところで行けるかというのは、自分の課題だと思います」
「でも冷静に考えれば、3番手からスタートして2位でゴールできたので、それはポジティブなことです。第2スティントは誰よりも速かった。だからまた頑張ろうと思います」
あと一歩のところで優勝には手が届かなかった坪井。しかしこの速さを発揮し続けていけば、いつか勝つチャンスが来るはずだと語る。
「スーパーGTはサクセスハンデが載せられてしまうので、勝てる時に勝っておかないと、次にいつ勝てるか分かりません。でも一番重要なのはチャンピオンを取ることなので、2位で終われて幸先の良いスタートが切れたと思います」
「圧倒的にクルマの速さはありそうなので、勝つチャンスもやってくると思います。なので、しぶとく戦っていきたいです。次の富士はスープラが得意とするコースですし、ウエイトも30kgしか積みませんから……粘り強く戦えばチャンスもあります。500kmと距離が長いですから、勝ちたいですね」
ただ今回速さを見せられたことで、悲願のタイトル争いに手応えを感じていると、坪井は語る。
「ウエイトを積んでいないレースでこれだけの速さを見せられたということは、チャンピオン争いに加われるだけのパフォーマンスがあるということだと思います。重いウエイトを積んだ時に、どれだけポイントを獲ることができるか……そこをうまくやって、今年こそチャンピオンを掴み取りたいと思います」
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