現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 市民のクルマの完成形 フォルクスワーゲン・マルチバンへ試乗 T7世代へモデルチェンジ

ここから本文です

市民のクルマの完成形 フォルクスワーゲン・マルチバンへ試乗 T7世代へモデルチェンジ

掲載 8
市民のクルマの完成形 フォルクスワーゲン・マルチバンへ試乗 T7世代へモデルチェンジ

完成形といえるVWのワンボックス

フォルクスワーゲン・マルチバンは、1つの完成形にある。先代のイメージを展開させたスタイリングに、低いフロアが生む広大な車内空間と充実装備、多彩な仕様で、多くの市民のニーズに応える。

【画像】T7世代へ進化 フォルクスワーゲン・マルチバン 欧州の競合ワンボックスと比較 全124枚

フォルクスワーゲンはT6世代まで、このワンボックスを英国ではカラベルと呼んでいた。T7世代への進化と同時に、マルチバンへ改めたようだ。

タイプ2を想起させる見た目の純EV、最新のID.バズがショールームへ並ぶ日は近い。だが、こちらは慣れ親しんだ構成で成り立っている。グループ内の多くのモデルが利用する、MQBプラットフォームをベースにしている。

このMQBは、コンパクトなアウディA3も採用するもの。洗練性と汎用性の高さを、証明する事実といえる。

ライバルは、フォード・トランジットからシトロエン・スペースツアラー、メルセデス・ベンツVクラスまで幅広い。だが、いずれも商用車用のプラットフォームがベース。質感ではマルチバンに及ばない。

新しいT7世代で注目すべきは、プラグイン・ハイブリッド版の登場だろう。150psを発揮する1.4気筒ターボガソリン・エンジンと115psの駆動用モーターが組み合わされ、システム総合218psを発揮する。

すべてのパワーは、前輪のみに伝えられるFF。最長49kmを電気だけで走れる、駆動用バッテリーも搭載される。

従来的なパワートレインとして、150psの2.0Lターボディーゼルと、135psの1.5Lガソリンターボ、203psの2.0Lガソリンターボもラインナップされる。今回試乗したのは、後者の2.0L版だった。

2.0Lターボが生むクラスで称賛すべき走り

サイズ・バリエーションは、標準ボディと、オーバーハングが200mm長いロングボディの2種類。トリムグレードは、英国では基本のライフと上級のスタイルから選べる。

近年はボルボXC90やランドローバー・ディスカバリー、アウディQ7など、7シーターのSUVという選択肢が少なくない。それでも、スクエアなボディを持つマルチバンを選びたいという層は少なくない。その嗜好は明らかに異なる。

SUVの場合は、躍動的なスタイリングや威勢の良い走り、悪路走破性などが強みとしてある。一方のマルチバンは、圧倒的な多様性や実用性がストロングポイントだろう。

車内のフロアには堅牢なレールが敷かれ、5脚か4脚のシートをスライドさせたり、回転させたり、取り外すことも可能。センターコンソールを後ろにスライドさせ、テーブルを展開すれば快適なリビングを作れる。在宅ワークにも丁度いい。

シートはどの列でも快適。クッションは適度に柔らかく、頭上空間も広々としている。

ホイールベースは3124mmあり、車重2850kgと軽くはないものの、2.0Lガソリンターボ・エンジンは大きなマルチバンを力強く進めてくれる。このクラスとして称賛すべき走りに、パパやママも喜ぶはずだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフやポロ GTIにも積まれる4気筒エンジンだが、最大トルクが32.5kg-mと太く、さほど回転数を高めずとも高速道路をこなせる。アクセルペダルを踏み込むと、明確にノイズが車内へ届くけれど。

T6と比べると新世代感が大きい充実装備

着座姿勢は、ワンボックスらしく起き気味。運転席はだいぶ前方にあり、長く伸びるリアに気を使うことも事実だが、運転は難しくない。座面位置が高いことで視界は良好。遠くまで良く見え、駐車時はボディサイズを掴みやすい。

サスペンションは、コーナリング時のボディロールを巧みに抑えている。ステアリングホイールの反応は、素早く滑らか。手に伝わる感触が薄く、やや軽すぎるものの、許容範囲といえる。

7速デュアルクラッチATの変速は、キビキビしていて好感触。合流などで素早い加速を求めると若干躊躇するような癖は、従来から変わらない。

今回の試乗では、高速道路で約160kmを走らせてみたが、燃費は12.7km/L。大きさや車重を考えれば、褒めて良いだろう。

ダッシュボードには大きなタッチモニターが据えられ、運転支援システムも最新のゴルフと同水準。高機能で扱いやすく、数年前のT6と比べると新世代感はかなり大きい。

ただし、多くの車載機能のインターフェイスがタッチモニターへ集約されている。安くない価格に見合った装備ではあるものの、すべての人が扱いやすいとは感じないと思う。

エアコンの温度調整ができるタッチセンサー式のスライダーは、夜間にイルミネーションが灯らず、暗い状態では操作しにくい。操作時にクリック感が伴わず、ステレオなどは意図通りに反応したのか、わかりにくいことも気になった。

技術的なアップデートで価格も上昇

T7世代へとモデルチェンジした、フォルクスワーゲンの大型ワンボックス、マルチバン。技術的なアップデートを受けてか、価格も大幅に上昇している。

今回の試乗車の場合は、ロングボディでスタイル・グレードの2.0Lターボガソリンに数点のオプションが追加された状態だったが、英国価格は6万779ポンド(約1015万円)。7シーターの上級SUVも、文句なく選べる金額となっている。

ただし、7名が座れるとしても、SUVの場合は全員の大人が快適に過ごせるとは限らない。フォルクスワーゲン・マルチバンなら、取外し可能なシートに、キャンピングカー風のテーブルも付いている。定評のある訴求力は、しっかり受け継いでいる。

フォルクスワーゲン・マルチバン・スタイル・ロング 2.0TSI(英国仕様)のスペック

英国価格:6万779ポンド(約1015万円)
全長:5173mm
全幅:1941mm
全高:1907mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:9.0秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:204g/km
車両重量:2850kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps/6000rpm
最大トルク:32.5kg-m/1500-4500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

「無償アプデ」で20ps増し マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(3) タイヤ交換で速くなる?
「無償アプデ」で20ps増し マクラーレン・アルトゥーラ 長期テスト(3) タイヤ交換で速くなる?
AUTOCAR JAPAN
昭和の遺物か「信号機のゼブラ板」いまや激減 しかし稀に新設されるのはなぜ?
昭和の遺物か「信号機のゼブラ板」いまや激減 しかし稀に新設されるのはなぜ?
乗りものニュース
永遠の謎?「インターチェンジ」と「ランプ」何が違うのか 首都高「小松川ランプ入口」が意味するものとは? 混乱招く「2つの専門用語」どう使い分ける
永遠の謎?「インターチェンジ」と「ランプ」何が違うのか 首都高「小松川ランプ入口」が意味するものとは? 混乱招く「2つの専門用語」どう使い分ける
くるまのニュース
ハイエースの覆面って何よ…… 編集部が遭遇した覆面パトカー列伝
ハイエースの覆面って何よ…… 編集部が遭遇した覆面パトカー列伝
ベストカーWeb
ニューウェイに続きさらなる離脱者も? レッドブル、上級スタッフ流出の噂も体制維持に自信
ニューウェイに続きさらなる離脱者も? レッドブル、上級スタッフ流出の噂も体制維持に自信
motorsport.com 日本版
【試乗】このご時世にガソリンエンジンの魅力が味わえるクーペを導入! メルセデス・ベンツCLE200はクルマ好きのハートをくすぐる一台
【試乗】このご時世にガソリンエンジンの魅力が味わえるクーペを導入! メルセデス・ベンツCLE200はクルマ好きのハートをくすぐる一台
WEB CARTOP
ランボルギーニ・ウルスのプラグインハイブリッドモデル「ウルスSE」が発表
ランボルギーニ・ウルスのプラグインハイブリッドモデル「ウルスSE」が発表
カー・アンド・ドライバー
デザインはジウジアーロ! 走りのテイストはゴーカート! 軽自動車界に衝撃を与えた「スズキ・フロンテクーペ」が傑作すぎた
デザインはジウジアーロ! 走りのテイストはゴーカート! 軽自動車界に衝撃を与えた「スズキ・フロンテクーペ」が傑作すぎた
WEB CARTOP
三菱『デリカD:5』ついにフルモデルチェンジへ! 車名は「D:6」!? 2025年内発表か
三菱『デリカD:5』ついにフルモデルチェンジへ! 車名は「D:6」!? 2025年内発表か
レスポンス
【MotoGP】ミシュラン、MotoGPルーキーのアコスタに詰められる。振動問題に「これは彼らが考えるべきこと」
【MotoGP】ミシュラン、MotoGPルーキーのアコスタに詰められる。振動問題に「これは彼らが考えるべきこと」
motorsport.com 日本版
マクラーレン、ノリスが初優勝も本領発揮は次戦以降? マイアミGPで大型アップデート投入も「コース的に効果を発揮しにくい」
マクラーレン、ノリスが初優勝も本領発揮は次戦以降? マイアミGPで大型アップデート投入も「コース的に効果を発揮しにくい」
motorsport.com 日本版
守るARTA松下信治 vs 攻めるAstemo太田格之進。抜きつ抜かれつ&同門同士の極上の表彰台バトル
守るARTA松下信治 vs 攻めるAstemo太田格之進。抜きつ抜かれつ&同門同士の極上の表彰台バトル
AUTOSPORT web
九州道接続の「中九州横断道路」一部有料になる?“早期整備”に向け熊本県と市が提案 その背景は?
九州道接続の「中九州横断道路」一部有料になる?“早期整備”に向け熊本県と市が提案 その背景は?
乗りものニュース
ホンダ改良新型「ヴェゼル」登場 全長4.3mの人気コンパクトSUVがマイナーチェンジでどう変わった?
ホンダ改良新型「ヴェゼル」登場 全長4.3mの人気コンパクトSUVがマイナーチェンジでどう変わった?
VAGUE
ドゥカティの最新人気モデル「モンスター+(プラス)」にアクティブバイク女子、指出瑞貴が挑戦! 軽やかでスポーティーな五つ星のイケメンバイクです!!
ドゥカティの最新人気モデル「モンスター+(プラス)」にアクティブバイク女子、指出瑞貴が挑戦! 軽やかでスポーティーな五つ星のイケメンバイクです!!
バイクのニュース
ブルース・ウェインが依頼主、ピニンファリーナが電動ハイパーカー4台をデサイン
ブルース・ウェインが依頼主、ピニンファリーナが電動ハイパーカー4台をデサイン
レスポンス
GT3マシンのタイヤは1セット50万円! レースはとんでもないお金が動くのでファンは魅了されるのです【Key’s note】
GT3マシンのタイヤは1セット50万円! レースはとんでもないお金が動くのでファンは魅了されるのです【Key’s note】
Auto Messe Web
フェラーリもノリスの初優勝を祝福。しかし次は”俺たち”の番「イモラではもっと良い戦いができるはず。勝利を目指す」|F1マイアミGP
フェラーリもノリスの初優勝を祝福。しかし次は”俺たち”の番「イモラではもっと良い戦いができるはず。勝利を目指す」|F1マイアミGP
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

8件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1530.02050.0万円

中古車を検索
FFの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

3200.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1530.02050.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村